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第4話 魔法を覚えるまで!

身体も本調子に戻った。瀕死の状態から回復し思わぬところでまた瀕死になった俺としては久々の外である。


「ルナー! そろそろ魔物引き付けるの辛いんだが、まだかー!!」


「あと、もうちょっと!」


そして今、はれてパーティの仲間になったルナとクエストに出ているのである。

クエストの内容は畑を荒らす魔物の討伐。初心者としてはベタ中のベタなクエストらしい。

俺はもう少し勇者らしいクエストを希望したんのだが、ルナが


「だって、ソウタすぐ死んじゃうじゃん」


とのことで簡単なクエストを選んできたらしい。

とはいえ、さすがに5体の魔物を一気に相手にするのは辛いな。この勇者の服とかいう補助アイテムなしじゃきついかも…


「ソウター! 準備できた!! 『拡散する矢(ディフューズ・アロウ)』!!」


ルナが放った光の矢は空中で無数の矢となりに魔物の群れに突き刺さる。あれほど、苦戦していた。魔物の群れを一掃した。


「これでクエストクリアだね! あ、今回復魔法かけてあげるから待ってて」


そういうとルナは回復魔法をかけてくれる。


「ありがとう、ルナ。 しかしもっと魔法を連続でバンバンと打てないもんかね」


「さっきも説明したでしょ? 魔法はその威力と難易度によって次に打てるまでの時間があるって。例えばこの回復魔法の『治療(キュア)』は初級中の初級魔法だから、次がすぐに打てるけど、『拡散する矢』は中級魔法でしかもそれなりに魔力込めたからすぐには打てないの!」


うーん、この世界の魔法には現実のゲームのようなリキャストタイムがある。ただゲームと違う所では同じ魔法でも、込める魔力によって威力や範囲などが変わるらしい。



「本当はソウタもいろいろ魔法を覚えるといいんだけど」


「うっ…」


この世界の魔法は大きく分けて2つある。1つはレベルアップに応じてそれぞれの職業に適した魔法を覚えていくもの。もう1つは魔法道具屋で売っている『魔法液』を飲むこと。 この『魔法液』は飲むだけで魔法を簡単に覚えられるマジックアイテムであるのだが、体内の魔力量やその人の人柄によってその魔法が覚えられるかどうかが変わるらしい。


「まぁ確かにそろそろ魔法と技の1つや2つ覚えたいよなー」


「しょうがないよ、ソウタは職業わかんないから私も確かなことは言えないけど…」


そういって慰めてくれるルナ。


ちなみに俺もルナが持っていた『魔法液』をいくつか試して飲んでみたのだが、覚えた魔法は『逃走(エスケープ)』のみ。なぜこんなのしか覚えないんだ!

あの神さまやはり人のことを適当に調整したんじゃないかと疑いたくなるというかほとんど確信犯だろう。


「職業かー もしなれるなら俺も『弓兵』がいいなー」


「なんで?」


「だってルナさっきっからいろんな魔法使ってるじゃん。 あの矢とかカッコよかったし」


「あはは、ありがと。でも私の魔法は『弓兵』由来のものよりどちらかといえば、『魔法液』で習得したものだからね」


「元々の魔法に対する適性が高かったのか? ん? それでも『魔法液』でそんなにじゃんじゃん覚えられるものなのか?」


「私は普通の人間とはちょっと違うからね」


「違う?」


「うん、私はエルフのクォーターだからね」



なんと! 衝撃の事実だった。確かにエルフといえば弓矢や魔法を得意とするイメージが

あるがまさかこんな身近にいたとは!


「ん? でも、ルナの耳…」


「あー、まぁ1/4ともなるとエルフとしての外見はなかなかね」


なるほど、ということはルナが混血種であるというなら、この世界では異人種との交配はありのようだ。

ということは俺でも、エルフや猫耳の女の子と結婚できるということか!!


なんと素晴らしい世界!





「ソウタ、今なんか変なこと考えなかった?」


「いや、別に?」


いったら、確実に殺される。






「さて、クエストも済んだし、ギルドに戻ろうよ。 そしたらうちの酒場でパーっとやろっ。 サービスするよー!」


「おっしゃっ! じゃあ戻るか!」


クエストも終わってさぁ帰ろうときた道を戻ろうとした時、帰り道のほうから大きな影が近づいてくる。


屈強な四肢に隆々とした筋肉、そして鋭い牙そして同じくらい鋭そうな眼光をこちらに向けていた。


俺はあの動物を知っているーーー虎だ。


しかし、こちらの世界の虎は元いた世界の虎より大きくそして凶暴そうなのだが…



「ひっ! 『斬り裂きヒョウ(ジャック・パンサー)!!』



虎ではなくヒョウらしい


でも、俺は既視感を覚えるそういえば俺があのアホ神にやられた『モンスタークエスト』のシリーズに確か畑を荒らす虎みたいなモンスターを手懐けるイベントがあったはず…


ということはあのおっかないモンスターは俺たちの仲間になるのでは?


そういえば、現実世界で中学の時、お腹を空かせたトラ柄の猫を助けた覚えがある。てことは、俺だとわかるものの匂いをかがせれば仲間になるのでは?



「どどどどど、どうしよう、ソウタ!!」


「大丈夫だ、ルナ。俺はこいつの攻略方法を知っている」


そう、敵がどんなに強かろうが攻略方法さえ知っていればどうってことないのだ。 とりあえず、今手持ちで中学の頃から持っているものといえば…財布だ、というか財布の中に入っている御守り…中学校の時流行った入れておけばいいことあるよという『アレ』だ。



俺はその例の四角い袋に入った『アレ』をそのままジャックパンサーの前に出してみる。


差し出された『アレ』の匂いを嗅ぐジャックパンサー。


そして、匂いを嗅ぎ終わったジャックパンサーはこちらを見ている。


よっしゃ! ジャックパンサーゲットだぜ!!


俺はジャックパンサーへ歩み寄り、ジャックパンサーのほうは…





強烈な猫パンチを繰り出してきた




そりゃもう強烈なものだった。俺はゴミのように飛ばされ地面に叩きつけられる。


あ、あれ?思ってたのと違う。てか、喋れないくらい痛い!

ふと、自分の身体を見てみると服が真っ赤に染まっていた。殴られた時に爪を立てられたのだろう。血が止まることなく溢れ出してきた。


ルナはかなり衝撃を受けた顔でこちらへ駆け寄ってくる。


ジャックパンサーは走ることなく悠々と歩いてこちらへ向かってくる。


やばい、だんだんと意識が朦朧としてきた。

駆け寄ってきたルナは必死に回復魔法をかけてくれているが、手遅れのようだ。



また死んだら、神さまに怒られるかな…

そう思ったとき



『少年諦めるにはまだ早かろう。全く、ほれ、選別じゃ。この魔法を唱えてみろ』



どこからともなく声がした。最後の力を振り絞り俺はその魔法を迷わず唱える。











「『後は野となれ山となれ(デスペレーション)』!!!」








すると地面に魔法陣が出現し、そこから大きな巨人が現れたではないか。するとジャックパンサーは目の前にいきなり現れた巨人に襲いかかってきた。

巨人は飛びかかってきたジャックパンサーにカウンターのような形で拳を振るう。直撃したジャックパンサーは短く悲鳴をあげ、どこかへ逃げていった。






俺が覚えているのはそこまでである。







気がつくと、見慣れない天井が見える。いや、見慣れてないだけであってこれを見たのは2度目だ。




「あ、起きた? 」


その声を聞き起き上がろうとすると身体に激痛が走る。


「ダメだよ! あんな大怪我したんだから、安静にしてなきゃ!」


「ああ、悪かった。まさかまたお世話になるとは」


「本当にもう! 何が『俺は、攻略方法を知っている』よ!! 心配ばかりさせて!」


どうやらまたルナを怒らせてしまったらしい。

とりあえずどこかで感謝の形で何かしないとな。


それよりもあの魔法…



「それにしても、ソウタがあんな召喚魔法が使えるなんで知らなかったよ? なんであんなギリギリになるまで使わなかったの?」


「俺も瀕死になって無我夢中で唱えたから」



そう、あの魔法は瀕死になったとき、あの神さまの声が聞こえたような気がして、それを唱えたのだ。


ということは、キリが俺を助けてくれた?



なんだかんだ適当に人をほっぽり出しといて何かと面倒を見てくれるとか、ツンデレなのか? あの神さま?



どうやら、キリにもいつか感謝の形でなにかしないといけないみたいだ。



















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