第3話 パーティに1人目が入るまで!
森から帰って来てすぐにギルドへ向かった。そして受付のお姉さんにカードを見せた。
「お、おめでとうございます! クエストをクリアしたのですね。クエストクリアの報酬があります。これからも頑張ってください。」
受付のお姉さんはとてもびっくりした顔をしていたが、俺の後ろにいたルナをみて、あーなるほどという顔になった。
そこまで俺は弱く見えるのか?
それより
「ルナってそこそこ強いってことでみんなに知られてるのか?」
「うん? まぁ私は便利屋としてはいろいろなパーティに参加してだけどそれで顔が知れてるんじゃない?」
なるほど、お姉さんの反応も納得だ。
ともかく報酬として100ゴルドと回復ポーションを受け取った。ゴルドとはこの世界のお金の単位らしく、これでなにが買えるのかといろいろ市場のものの値段を見たが、だいたい1ゴルド=100円とみていいようだとりあえず報酬のお金、先ほど『デビルラビット』を倒した時に得たお金とヒノキの棒、お鍋のふたを売り払ったお金をつかいそのお金で買える最高の武器を買った。
「ソウター お疲れ様。早速報酬で武器を買ったんだね。うん、なかなかさまになってるじゃないかな、その剣」
そう、俺はとりあえず持っているお金全て使って片手剣を購入した。なぜこれにしたかといえばただ単純にかっこいいからだ。
いよいよ、これから俺の勇者としての冒険が始まるわけだ。
とりあえず最初はこの街周辺の雑魚を狩ってレベル上げだな。
「ありがとうな、ルナ。いろいろと助かった。それじゃ俺はとりあえずレベルを上げるためじゃんじゃん魔物を倒しにいくから!」
「あ、うん。どういたしまして。ねぇ?ソウタがもしよければなんだけど、私も一緒にい…」
ルナが何かいいかけたがそんなこと耳に入らなかった。
なぜなら、
「あら、ソウタさん。冒険者には無事になれましたか?」
そう、我らが天使セリアさんのご登場である。
「ええ、おかげさまで。セリアさんに見せてあげたかったですよ。俺の活躍を」
「頑張るのもよろしいのですが、あまり無茶はなさらないでくださいね?」
「はい、無理しない程度に頑張りますのでどうか俺の無事を祈っていてください」
「うふふ、私もあなたに危険な目にあって欲しくはないので祈らせていただきますわ」
セリアは俺にそう笑いかける。笑顔も素敵だが先ほどからチラチラと視界に入る胸にどうしても目がいってしまう。
「それでは、私は教会での仕事がまだ残っていますので」
そういうとセリアはいってしまった。
あーまだ一緒に話してたいと心から思う、さすが我らが天使!
「ソウタ、鼻の下伸びきってるよ?」
その声に正気を取り戻す。
後ろを振り向くとルナがいた。というかさっきからいたのだが完全に意識の外にやってしまっていた。なんだろう、たいそうむすっとしていらっしゃる。
俺は話しをずらす意味を込めてさっきルナがいいかけたことを聞いてみた。
「そういえば、ルナはさっきなんて言おうとしたんだ?」
「ふんっ! なんでもない!レベル上げでもなんでもひ・と・り・で好きに行けば!?」
普通に怒られた。
ルナは怒ってかえってしまったので、レベル上げには1人で行くことにした。俺はその後街の外で順調に魔物を倒していき、お金も経験値もどんどん溜まっていった。この調子ならもう少し遠くでレベル上げしても大丈夫だな。
そう思い、一旦街に戻り、溜まったお金で準備を整え、西の森に行ってみることにした。さっきは森に入ってすぐのところしか入ってないからな、どうせならもっとおくまで探検してみよう。
「なぁ、少年? 確かに私も適当に送り出したかなーとか少し思ったよ? でも、早すぎじゃろ、死ぬの」
目の前は見覚えのある巫女服の少女。
あたりは一面の砂漠、空を見上げれば満点の星空。
「え? 俺死んだの? てかここどこ?」
巫女服の少女ーーーキリにそう尋ねた。
「ああ、森の中で迷子になってな、それとここは私の新しい職場じゃ」
なんと! 俺は森に潜ったはいいが道に迷って力尽きたと!
なんというか主人公とかじゃなくてモブのような死に方だな。
「全くお前というやつはあれほど死なぬように気をつけるよういったのに不注意にもほどがあるぞ? 私だってまだまだ忙しいというのに」
「忙しいって死ぬのは仕方ないだろ? あんな装備と手持ちで人を見ず知らずの世界に放り出しやがって!」
「じゃからそれにつしては、反省しておる。それでもレベルの低いうちにソロで行くとかいうのはお前の過失であろう?」
これにはぐぅのねも出ない。なにせ初めてのクエストに協力してくれた人を怒らせて帰らせてしまったのだ。
「で、どうするのじゃ? 少年。 戻るのか戻らないのか?」
とキリは聞いてくる。
ん?戻れるのか?
確か契約書には死んだら責任取れない云々と書いてあったような気がするのだが…
「お前が死ぬ寸前に助けてくれ他ものがいてな、お前は正確には死んではおらんのじゃ」
これは朗報である。まさかあの森で助けてくれた人がいたとは!これは生き返ることができたらその人には猛烈感謝だな。
「それでどうするのじゃ?」
「戻ります! どうせならもう少し活躍してから死にます!」
「いや、魔王を倒すまで死んでもらっては困るんじゃがな」
まぁ良いとキリは手をかざすと扉を出現させる。
「それでは、行ってこい。少年」
目を開けると見知らぬ天井。
見知らぬのは当たり前だ戻ってきたのは異世界だからな。
それよりも天井があるということは誰かが瀕死の俺を担いで安全なところまで運んできたということだ。
とりあえず助けてくれたことのお礼をいわなくちゃならんよな
するとガチャっとドアが開き、見知った顔が現れる。
「あ、起きた!? どこか痛いとか具合悪いとかない?」
そうやって起きたての俺を心配してくれたのはルナだった。
「ルナが助けてくれたのか?」
「うん、ソウタが心配で街のいろいろなところに聞きまわったら1人で西の森の奥に行ったって! 嫌な予感がしたから私も行ってみたらソウタが倒してれてて! 」
興奮したように俺を見つけた経緯を話してくれる。
「もう!まだ駆け出しなのに無茶して死んだらどうするの!!」
最後には泣きながら怒られた。俺はルナをとても心配させてしまったらしい。キリにも言われたが自分の軽率な行動を反省する。
「ごめん、ルナ。俺が悪かったよ。もうあんな無茶はしない」
「うぐっ、信用できない」
ようやく落ち着いたルナに言われる。
そりゃ当たり前か。
「信用ならないから、これからは私も一緒に冒険に出る。ソウタが無茶しないようにずっと見張ってる」
つまり俺と一緒に冒険してくれるということか?
それは願ってもない申し出だ。
「ああ、よろしく、ルナ」
答えを聞いたルナの顔はとてもかわいい笑顔だった。
こうして記念すべき派遣勇者パーティの1人目が仲間に加わった。
「ところでソウタ。昼間のセリアさんのこと随分とある一部分をジロジロとみてたじゃない?」
「なんだルナ、セリアさんを知っているのか? あとその一部分ってどこだよ」
「知ってるよ。だって有名人だもん。あんな優しくてキレイでよくできたシスターはしないってね。あと男の人からは違う意味でも有名人だよ。特に『胸』の部分で」
ルナはこちらをジト目で見てくる。
「やっぱり男の人って大きい方が好きなの?」
「大きいというかセリアさんはそれだけじゃなく全体としてとんでもなく魅力的なんだよ! もはや本能で反応しちまうくらいに!!」
「ほーう、じゃあ私じゃソウタの本能は全く反応しないと…」
「それは…えっと…」
ルナを上から下まで見てみる。どうやら俺の本能は反応しないみたいだ。
とりあえず笑ってごまかそう。
「それが答えなんだね、ソウタ…覚悟はいい?」
くそッ! 闘いは避けられなかったか、いやあの暴力神さまには負けたが、今回の相手は冒険者といえども女子! レベルの上がった今の俺の敵ではないはず!!
こうして見事にボコボコにされたのであった。