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第34話 人造天使と戦うまで!

街は騒然としていた。

あちらこちらで火の手が上がり、街は逃げる人たちの悲鳴と怒号で溢れていた。




「なんてことだ。 衛兵、その『人造人間(ホムンクルス)』は誰が操ってる! 『操縦者(コントローラー)』がいるだろう?」



レオが衛兵に聞く。

衛兵はかなり動揺しているようだったがレオの質問に答えてくれる。



「それがわからないのです。 突如として街に数体の『人造人間』が現れて街の人たちを襲い始めたのです」



「数体だと? 『操縦者』は複数いるのか!」



レオはそれを聞くと連合パーティの面々に指示を出し始める。




「え、え? なに? どういうこと?」



「『人造人間』というのは単独は不可能。司令塔となる『操縦者』の存在が不可欠です。 さらに『人造人間』を操るには相応の魔力が要求され、一度に複数を操ることは現実的に、人間には不可能です」




1人状況がわからないでいる俺に説明してくれるイヴ。

こういう解説してくれるのってアニメやゲームじゃ「解説乙www」と思ってたが現実にいるとこうもありがたいとは。




「それじゃあその『操縦者』ってのを止めれば暴れてる奴も止まるってことか?」



「相手が『人造人間』であるならそうですが現状、相手が本当に『人造人間』か未確認のためソウタ様の案に肯定はできません」



そういうことか。

おそらくレオは相手が『人造人間』であると仮定して『操縦者』を手分けして探しに行ったのだろう。

ただイヴ曰く相手を見るまではわからないので対処のしようがないという。

となれば俺たちは暴れてる方を直接相手をして被害を最小限に食い止めるのが最善か。

もし、相手が『人造人間』なら俺たちが食い止めてる間にレオたちがなんとかしてくれるだろうし、仮にそうじゃなくても自力でなんとか倒せるだろう。




「なんか、私たちと離れてる間につれてきた子、やけにソウタと仲良くない?」



「え?」



「それは私も思っていました。 先ほどは感動の再会に水を差すようなので聞きませんでしたがなんなんですか? あの子は」



ルナとティアラが俺に詰め寄る。

そこにイヴが答える。



「はい。 私は仮のマスターであるソウタ様のお世話をする召使いのようなものと思ってもらって結構です」



「仮のマスター?」



「はい。 私はソウタ様と私の本当のマスターを探すのに協力する代わりにソウタ様の手足になることを契約しました。 ゆえに私がソウタ様の側に常駐し、積極的にコミュニケーションをとることは妥当と判断します」



と自分の状況を説明するイヴ。

それにしてもなんか契約のとこ変わってない?

俺は道案内を頼んだだけなんだけど




「召使い? そ、そそそそ、それじゃあソウタさんのあんな要求やこんな要求、どんな要求にも答えるってことですか?」



なぜか顔を赤くしてアワアワし始めるティアラ。

お金持ちの間の召使いの扱いってどうなってんだ?

一度ティアラと徹底的に話し合いたいもんだ。




「はい。 命令とあらばどんな無理難題にもお応えします」



イヴも待て!

全く話が噛み合ってないからその発言は誤解を生む!



「ソウタ! どういうことなの! 私たちが心配してソウタを探しに行ってる間になにをやってたの!?」




ついにルナは俺の胸ぐらを掴みブンブンと揺する。



「ま、まて、 落ち着けルナ、 話せばわかる、」



途切れ途切れになりながらもルナの説得を試みる。

だがルナは引くことはなく、さらに追求する。



「そういえば町外れの廃墟で会ったって言ってたよね!? も、もしかして… ソウタ! 昨日の夜なにをしてたのか答えなさい!!」



ルナもティアラに影響され話がとんでもない方向に飛んでいる。

そこにイヴが、



「はい。 私とマスターは昨日の夜、片時も離れず一緒にいました。 就寝も同じベッドです」



爆弾を投下する。

マル○インもびっくりの大爆発だった。



「…ソウタ? なにか言い残すことは?」



「ちょっと!? なんでそうなる! あとイヴも勘違いさせるような言い方で言ってんじゃねーよ!!」



「このような状況に遭遇した場合なるべく勘違いさせるような応答になるようにマスターから教育されたためそれを実行したまでです」



と答えるイヴ。

こいつを作ったマスター、ぶん殴りてぇ。

俺はとりあえずルナを置いていてティアラから説得を始めることにした。

さすがに2対1はキツイ!




「なぁティアラこれは勘違いであって、イヴは俺の護衛をしていてだな…」




「ルナさん、加勢します」



こちらも説得は不可能そうだ。




「なにをやってるんだ君たちは…」




と呆れ顔でいってくるレオ。

俺だって好きでこんな状況になったんじゃない!




「とりあえず僕たちは『操縦者』を探す。 君たちもそれが終わったら手伝ってくれ。 あとソウタ君、心に決めた人がいるのにひょいひょいと他の女の子に手を出すのはどうかと思うよ」



そう言ってレオは仲間たちと『操縦者』を捜しに行く。

いや、それも勘違い!









終わった…



援軍を失った俺はもう大人しく首を差し出すしかない。

そう思いルナとティアラに潔く投降しようとした時に、



「!?」



ギルドの前の家の壁を突き破って『何か』がこちらへ襲いかかってきた!




それにいち早く反応したのがイヴだった。

肘より少し下を再び刃にしてそいつの攻撃を受ける。

奇襲に失敗した突き破ってきた家の屋根にヒョイっと飛んで降りた。



俺たちはそれを見て言葉が出なかった。

イヴと同じ白い髪の女の子だ。いや確かに背格好や年齢はイヴとそんなに変わらないのだが、大きく違うのが、燃えるような緋色の瞳に背中に生えた髪と同じように真っ白な羽。


その姿はまるで、




「うそ… 天使…」



ルナはそれを見て信じられないといった顔をしている。 そしてティアラも言葉こそ出てなかったが同じような顔をしていた。



「イヴ。 まさかあれってお前と同じ…」



「はい。 おそらくあれは『人造天使創造計画(プロジェクトダブルA)』によって作られた『人造天使』でしょう。 私はプロットとして作られましたが、おそらくあれは実戦で使用できるように量産されたものと推測されます」



やはりか!




「どうやら先ほどのソウタ様の案は有効でしょう」



「どういうことだ?」



「はい。 そもそも『人造天使』というものは計画当初から『人造人間』よりも調整が難しいのが実用化への難点でした。念のため調べてみたら彼女らどこからか電波を受信していることが確認できました。 おそらくはその命令シグナルによって無理に動かされているのでしょう。ゆえに彼女らを操っている人物あるいは、ものを制止あるいは破壊すれば彼女らを無力かすることができると推測します」




長々とイヴが説明してくれるのだが、要は操ってるやつを止めろってことだ。(わかってるんだけどね。 いや、ちゃんとわかってるんだよ?)



「しかし、それには目の前の彼女をどうにかしなければなりません」



「よくわからなかったですけど、とりあえずあいつの足止めをすればいいのですね?」




「その間にソウタたちが黒幕突き止めるんでしょ? 全くお仕置きは帰ってきてからね!」



そういってルナとティアラが、おれとイヴより前に立って目の前の『人造天使』に剣を向ける。



「任せていいんだな?」



俺は2人にきく。



「お二方、それは危険です。 あれは単体でも人間の歩兵大隊に匹敵する強さをほこります。 お二人では無謀…」



「今、あいつらの黒幕の居場所わかるのはイヴちゃんだけなんでしょ? ならソウタ、イヴちゃんと一緒に私の分までぶっ飛ばしてきて」



「ソウタさん、イヴさん。 私の分もお願いします」



ルナとティアラはイヴの言葉を遮ってそういう。

ここは2人を信じて任せることにした。



「ルナ! ティアラ! それならあとは頼んだ! 帰ったらパーっとやろうぜ! もちろん俺の奢りでだ!」



そして俺はイヴを引っ張り2人を背中にその場を後にする。

別にあいつらを生贄にして逃げるわけじゃない。軍隊の歩兵大隊1つの? そんなのあのじゃじゃ馬たちに任せれば余裕だ。



「普通はこういう場面じゃ立場逆なんだけどね」



とつぶやいたルナにティアラはクスクスと笑う。



「なんで笑ってるの?」



「いえ、すいません。 逆の立場でボロボロになって帰ってきたソウタさんに膝枕ですか?」



ティアラには珍しくニヤニヤと笑いながらルナをからかう。




「な!? な、なにいってんの! ティアラのバカっ!」



「あははは、ごめんなさい。 ルナさん、来ますよ!」



屋根の上の天使は2人に向かって飛び込んできた。



「€¥°○*☆%#☆○*$@€¥!!!!」



「なに言ってんのかわかんないけど、溜まった鬱憤を晴らすための生贄になってもらうよ!」









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