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第32話 街に戻る方法を見つけるまで!

「ゲストユーザー? そもそも君は何者なんだ?」



「はい、私は検体番号052、検体名『イヴ』。 私は『人造天使創造計画』に基づいて作られました。あなた様はここの正規のログには存在しません。 しかし、この部屋の存在を把握、私を起動させたことによりマスターから権限を与えられたものと判断します 」



と事務的に教えてくれるイヴと名乗る少女。



「そもそもその『人造天使創造計画』なんなんだよ。 あんな、狂った計画」



「詳しいことを話す権限は私には与えられていません。ゆえにその質問には答えかねます。 しかし、目的というのであれば『人造天使創造計画』は究極には人類の幸福という名目で始まりました」



「人類の幸福?」



「はい。 私たちは人類に変わり労働、兵役をこなすために作られました。 私たちは人類に平和と栄華を与える存在として開発、製造された人工生命体です」



「それが奴隷に変わる新たな労働手段としてってことか?」



俺が聞くとイヴは相も変わらず機械的に肯定する。



「はい。人類の発展のため私たちは奴隷や民衆に変わる労働力として造られました。 戦場で消して士気が下がることがなく、過酷な労働で反乱も起きない。私たちはそういった存在です。」



「本当に君たちはそれでいいのか? 自分たちがそんな扱いされて嫌だとは思わないのか?」



「私たちは生まれつき感情を欠如させられているので人間と同様の感情があるといえば否です。ゆえにその仕事が嫌悪するかどうかと聞かれてもはじめからそんなことについて考える能力は私たちにはありません」



と終始淡々と答えるイヴ。

なんかもうiPhoneのSiriと話してるみたいな感覚だった。

というよりそういった存在に近いのだろう。



「…そうか」



いわゆるロボットのような存在だとわかっているのだが、見た目が人間の女の子のようなのでこのようなことを言われるとものすごくいたたまれなくなる。

すると今度はイヴの方から訪ねてきた。



「ゲストユーザー様。 1つ確認事項があります」



「なんだ?」



「マスターの所在についてなにか情報はありませんか? 私が休眠状態の間にマスターの反応を消失(ロスト)。当施設にマスターの生体反応が確認されません。 私の行動にはマスターの存在が欠かせません。 故に私はここにきたゲストユーザー様にマスターの所在の情報協力を求めます」



「悪いが、俺は君のマスターについて知らない。 俺もさっきたまたまここへ来たところだからな。 そもそも上はボロボロで廃墟みたいになってるぞ? おそらくだが君のマスターはもう他のところに行ってるんじゃないか?」



「そう…ですか」



「だからお前もこんな廃墟にいつまでもいないで自由にどこかへ行ったらどうだ?」



「いいえ。 私に自由にと言われてもそもそも自由にするという行動がわかりません」



俺は今なら捨てられてる犬とか猫とか拾ってきてしまう人の気持ちがわかるような気がした。

帰るかどうかわからないのに無責任だ! と非難する奴に是非とも同じ状況に立ってみろと心の底から思った。



「じゃあ俺についてくるか? 君のマスターが見つかるまで俺が臨時のマスターになってやるよ。実は今、迷子なんだ。 だから街までの案内をしてくれると助かる。 街に戻ったら一緒にマスターの居場所を探すよ。そうすれば俺も街に戻れてハッピー、君もマスターを探せてハッピー、だろ?」



「なるほど。わかりました。 マスターが見つかるまであなたを臨時のマスターとして承認します。 よろしくお願いします、マスター(仮)。」



「あの、マスター(仮)ってのはやめてくれない? ソウタでいいよ」



「わかりました。ソウタ様」



こうして翌朝からイヴと街に戻ることになった。













「なぁイヴ? この状況は一体?」



「はい、ソウタ様に万が一があるといけないので。 それにマスターとは毎晩このように寝ていました」



本当のマスターはとんでもない変態なのでは?

やばい、こんな狭いベットでこんな至近距離で!

俺の理性は保てるのか!?

















次の朝、



「おはようございます。 ゲストユーザー様。 それでは参りましょう」



「ああ、行こうか」



俺はイヴにそういう。

目の下にはクマがあった。

俺は見えざる敵と一晩中戦っていた。

ふと自分のギルドカードを見てみる。レベルが1上がり、新しい魔法『忍耐』を覚えていた。

なんだろ。嬉しいような悲しいような。




「ソウタ様、どうされましたか? 」



「…なんでもない。行こう」



こうして俺とイヴは1番近い街を目指すのであった。


































薄暗い実験にはたくさんの円錐状の水槽があり、中には人間の子供のようなものが入っていた。




「どうだ? ミーナ・ウィルキンス。 調子の方は」



「だからその呼び方は… はぁ、もういいよ。 この子たちなら順調だよ」



僕は今ここの研究室で他の研究者とともに『人造天使』の製造をやらされている。



「『形』はできた。 あとは中身だよ、カマエル」



「任せておけ」



そういうとカマエルは1つの水槽の前に立ち、手をかざす。

すると中の『人造天使』が淡く光る。




「とりあえず一体目は成功したぞ」




カマエルがそういう。



「それじゃあテストしてみますか。 ええっと君、この子をテストルームに持って行って。 今から性能のモニタリングするから」



僕は近くにいた若い男の研究者にそう支持する。

彼は他の研究者数人と準備に取り掛かる。




「さて、君も見に行くかい?」



「無論だ。 これで使えなかったら話にならないからな」



僕たちはモニタリングルームに向かった。














「どうだい? 『人造天使(おにんぎょう)』の性能は?」



僕はカマエルに聞く。



「ふん。 天使が聞いてあきれる。私のデータが入ってあの程度とは」



「そういうなよ。 確かに君の生体データを取り込んで形は作ったけど。 あんなもんだよ、作ったものだもん。 それでも君の計画には十分な力はあったと思ったけど?」



「使えなくはないが、性能は高いに越したことはない。 しかしさすがだな。 こうもあっさりと成功させるとは」



「なに、それほどでも。 それじゃああと99体のほうもよろしくね。 僕はもう寝るよ」



と珍しく人を褒めるカマエルに適当に答え、寝室へ向かう。

まぁ僕の場合『あの子』の成功例があったんだけどね。

そういえば『あの子』今はどうしているだろう?



僕はそんなことを考えつつ私は寝室の冷たい布団の中には潜るのであった。









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