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第1話 勇者が派遣されるまで!

みなさんは学校から帰ってきて見ず知らずの巫女服姿の少女が自分の部屋にいたらどう思うだろうか。警察に通報する?それともついに自分にもマンガやアニメの主人公のような展開が来たと飛びまわり喜ぶ?

俺はどちらでもなかった。


「あの、俺の友人がイタズラで電話したのでその友人の家に家に行ってもらえます?住所教えるんで」


「は?」


巫女服少女はなにをいってるんだという顔で首をかしげる


「あれでしょ?お姉さん、自宅で大人なサービスしてくれるやつでしょ?全くケントのやつも悪ふざけすぎるな。やっぱアホだ」


ケントとは俺の友人というか悪友であり幼稚園来の付き合いだ。ただとんでもなくアホで信じられないことをたまにやらかしてくる。おそらくこの巫女服のお姉さんを電話して俺の家に宅配してくれたのだろう。というかお姉さんというには見た目幼すぎるか?童顔なだけか?


「だ、だだだだ誰がデリ○ルじゃ! 違うわ! たわけ!!」


バンっと机を叩き立ち上がり真っ赤な顔して怒る少女。ふむ、背丈などからは同級生くらいか少し下だろう。キーキーと騒ぐ少女をなだめとりあえず聞いてみた。


「それじゃ、あんたは誰なの?強盗とか?」


「盗っ人などと一緒にするな。私はここら辺一帯を管理する神じゃ!」


少女は胸を張りフフーンとドヤ顔をしている。どうやら俺の悪友よりも頭のオカシイのがこの部屋にいるようである。


「なんじゃ?その『こいつ頭オカシイんじゃないか』みたいな顔は?」


おっと、顔に出ていたらしい。ポーカーフェイスを心がけなければ


「フン!そんなに信じられないというのなら証拠を見せようじゃないか!」


そういうと少女は机の上に置いてあるマンガ本を手に取る


「見ておれ、そして神の力に恐れおののくがよい」


マンガ本のページを適当に開き、手をかざすするとマンガ本が淡い光を放つではないか!そして少女はかざした手をなにかをつかむように握ると光は消え、マンガ本は床に落ちた。すると少女は床に落ちたマンガ本を手に取りパラパラとページをめくってこちらに見せびらかしてくる。


「どうじゃ?今のでこの本に印刷されていたインクは全て取り除いたぞ?すごいだろ?」


再びのドヤ顔である。


「ふざけんな!!なにやってんだよ!この本まだ読んでないんだよ!!」


「よよよ、よいではないか。ノートが増えたと思えば」


この自称神、俺がいない間に他にも何かやらかしてるいるのでは?そう思い部屋を見渡してみる。もともと散らかっている部屋だったが、その中でも空いたペットボトルやポテチの袋が転がっている。こいつどれだけくつろいでいるんだ。しかしそれ以上に衝撃的なものが目に飛び込んでくる。


「なっ!『モンクエ』のパッケージが開けられてる!お前これ開けたのか!?」


「ふむ、それならお前が帰ってくるまで暇だったからやったぞ?裏ボスまでクリアできたわ!それにしても最近のゲームはなかなかストーリーやグラフィックに手が込んでるんじゃの」


悪びれもなく答える少女。おれは最近はめっきりと減った妹との取っ組み合いのケンカを目の前の少女とすることにした。



ボコボコにされた。



「まぁまぁ落ち着け少年。いや、ハヤカワ ソウタといったか?」


「…」


まさか見た目同級生かそれより上の相手に負けるとはさすが神といったところか。それよりもなんで俺の名前を知ってるんだ?


「なんじゃ?不思議そうな顔をして?名前は知ってて当然じゃろ。先ほどから行っているように私はここら辺一帯を管理する神だと、担当地域の人間の名前くらい調べればあっとゆー間にわかる。そんなことより私は少年に頼み事があってきたのだ」


よっこらしょと少女はベットの上に座り、ポンポンと自分の座った横を叩く。座れということなのだろうか?というかそもそもそれは俺のベッドである。


とりあえず催促されるがまま少女の横に座る。そして尋ねる。


「なんだかしらないですけど、頼み事っていうのはなんですか?そもそもまだ名前も聞いてないんですが?」


「私の名か?うーむ、私の名はとてつもなく長いからのー、まぁキリとでも呼んでくれ。それで頼み事の件なのじゃが…」


と話に入るキリ。見た目同級生かそれより少し上くらい顔立ちは整っておりいわゆる可愛い系だ。髪は黒髪で腰まで伸ばしている。もしかしなくても容姿だけで見てもどストライクである。そんなキリの頼み事とはいったい?

まさか『ソウタくんのお嫁さんになりたい!』とかか!!


「少年、お前ゲームは好きか?」


キリはそう尋ねてくる。一瞬想像とは全く違った言葉に固まるがすぐさまこう答える。


「もちろん、キリに邪魔されなければその『モンクエ』を今頃はやっていただろうよ」


「なかなか根に持つな。そんなんだから彼女とかできないし、幼馴染も他の男と付き合ったりするのでは?こういうのなんていったか、確か『NTR』とかだったか?」


「誰が寝取られだ!そもそも付き合ってもいないわ!!」


なんだろうこの神さまやたら俗世に毒されている気がする。


「まぁよい。そんな容姿も普通、学力は受験に必要な数国英は悪く社会理科だけ飛び抜けていいという中途半端さ、運動能力もまぁいいほうじゃろうが上にはたくさん人がいる。そんな中途半端なお前でもヒーローになれる仕事があるといったらやるか?」


なんかものすごい馬鹿にされたような気がするがそれよりもヒーローになれるといったところに興味がわいた


「ヒーロー?変身して悪の組織とかと戦ったり、勇者になって魔王から世界を救ったりするあれか?」


「そうじゃ、少年には異世界にいって魔王を討伐してほしいのじゃ!」


キリの話をまとめるとこうだ。

キリの祀られている神社、一島神社はここら辺一帯の土地開発で場所を移動することになった。それで上司から異動命令で一島神社からある世界の神さまになるらしい。だがその世界は現在魔王を総大将とする魔族に侵略されており、情勢も不安定でそのせいでその異世界の神さまは仕事のしすぎでノイローゼになり降板、キリが新しくその席に着くという。それで自分はいろいろ楽したいから日本から人間を連れて行き魔王を代わりに討伐させるということ。そこで俺に白羽の矢が当たったのである。


「ゲーム好きの俺としては是非行ってみたい世界だが、俺は魔王を退治できるほど強くないぞ?それに異世界なんていってもそこの言葉話せないし、学校あるからゴールデンウィーク明けには帰ってこなくちゃいけないし」


「その辺は大丈夫じゃ、ちゃんとそれなりの強さにして言葉も理解できるようにする。それに学校の心配もしなくても時間の流れが違うから問題ない」


そういうとキリは袖をゴソゴソと何か探すような仕草をみせ、一枚の紙を取り出した。


「なにこれ?」


「契約書じゃ。一応私はお前の雇い主ということになるからの。世の中いろいろ書類に残しておくのは常識じゃぞ?」


なんとまぁファンタジー感ぶち壊しな。そう思いつつ書類に目を通しサインを…


「ちょっと待て、この『死んでしまった場合、当社は一切責任を負いません。また万が一死亡された場合蘇ったり、元の世界に戻れることは保証しかねます』てなんだ?教会とかで蘇生とかできるんじゃないのか?」


「なにをバカなことをいっている。死んだら死ぬに決まっているじゃろ」


とんでもない契約書にサインするところだった。


「お前の言いたいことはわかる。まぁ教会が使えない縛りプレイじゃと思えば良かろう。それでも満足いかんというなら、こうしよう魔王を倒したらなんでも1つ願いを叶えてやろう」


「それでもわりに合わんわ!やめだやめだ、こんなもの!」


「まぁまぁあれじゃぞ?その異世界には人間種だけではなくいろいろな種族がいるから、蘇生魔法の1つや2つ使えるものがいるかもじゃぞ?」


「いろいろな種族?」


「そうじゃ、エルフだのドワーフだの獣人種だのいろいろじゃ」



「さぁ!行こう!!魔王退治とやらに!!!」


即決だった





とりあえずいろいろ準備があると神さまは部屋を出て行き、夜中の12に駅前の噴水の前に集合となった。

それから12時までの間異世界に必要そうだなと思うものを買いに行き、いろいろと妄想をしながら過ごした。



「なんだかやけに大荷物じゃの」

先に待っていたキリはニヤニヤしながら俺にいった。


「異世界に行くなら当然だろ?それよりも高校2年の俺がこんな時間うろついてて大丈夫か?来年受験とかあるんだけど?」


「まぁ大丈夫じゃないかの。この町は寂れてるし、こんな時間うろつく人もいなかろう。」


そういうとキリは手を前に突き出し、詠唱を始めた。


「我を過ぐれば憂ひの都あり、

我を過ぐれば永遠の苦患あり、

我を過ぐれば滅亡の民あり

義は尊きわが造り主を動かし、

聖なる威力、比類なき智慧、

第一の愛、我を造れり

永遠の物のほか物として我よりさきに

造られしはなし、しかしてわれ永遠に立つ、

汝等このに入るもの一切の望みを棄てよ」


するとものすごい光とともに目の前に大きな扉が現れる。てか、さすがに寂れた地方都市とはいえ駅前でこんなのやったらばれないか?

そういえば今のって確か地獄の門のやつとかじゃなかったっけ?なんと物騒な…


「それじゃ、このドアをくぐれば少年の大冒険の始まりじゃ」


こうして俺の神さま代理の派遣勇者としての冒険が始まった。




























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