表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/114

第111話 遅れてきた英雄



「なに……あれ………」



目の前に広がる光景に呆然とした。

先程までソウタと魔王が束になっても敵わなかったヨハネと互角の勝負を繰り広げる赤と白の服の女性。

ルナの集中力は完全に途切れてしまった。



「やぁ、ルナちゃん久しぶりだね」



そんな呆然と立ち尽くしているといきなり後ろから声をかけられる。

見るとそこには魔王との戦いの前散々引っ掻き回して姿を消したアザゼルの姿があった。



「あ、あなたは!」



ティアラも驚き声をあげる。



「ははは、良かった。 ここにはミーナはいないんだね。 いたら何言われるかわかんないからなー」



のんきに笑いながらそんなことをアザゼルはいう。



「ミーナさん、心配してましたよ!? 今までどこに行っていたんですか!?」



「あれと戦ってたのさ。 まぁ殺されちゃったけどね」



「ころ……!」





そのあとアザゼルは簡単ではあるが今までどんなことがあったかルナとティアラに話した。






















「てな訳で今あそこで戦ってるキリちゃんが復活させてくれたんだけど、まぁそれはいい。 ルナちゃんその矢と弓を貸してくれる?」



アザゼルはルナの持つ矢と弓を指差しそういう。

ルナは言われた通り矢と弓をアザゼルに渡す。

これはこの戦いに臨む前ミーナが改造してくれたものなのだが、アザゼルはそれを眺めてうーんっと唸る。



「ミーナもまだまだだなー。 …………よし、これでオッケー」



そういって何やら魔法の詠唱を始めるすると弓矢は淡く光り始め、アザゼルが詠唱を終えると淡い光は消えた。

それをアザゼルはもう一度眺め、何か納得したように、満足げにルナに矢と弓を返す。



「何をしたんですか?」



「ヨハネのバリアーを破れるように細工をしたんだよ。 あれはもともとエルフ特有のものだからね。 だからあれ自体にはエルフに行う対象方法でやればいいのさ。 その対象方法は企業秘密ということで」



とアザゼルはルナの質問に答える。

さらにこれからの作戦がちょっと変わったからといって説明をし始める。



「まぁだからと言ってルナちゃんのやることは変わらないよ。 あれにその矢を打ち込みヨハネを追い出す。 追い出すのはちゃんと成功するから大丈夫だよ、ルナちゃんと違ってあのにはその『エルフの秘薬』に対する抵抗力はないみたいだからね。

大きな変更点はないよ。 ただあのままだとルナちゃんが狙いにくいだろうからまずヨハネの動きを大きな封印結界で止める。 その準備のために今キリちゃんが時間稼ぎと気をそらすために戦ってるんだからね。 で、動きを止めたところでルナちゃんがその矢でヨハネを撃ち抜く。 そして最後はのこのこ出て来た弱ったヨハネを君たちも一回見たでしょ? 『高出力星間圧縮粒子砲カタストロフ』で消し炭にして終了。 どうざっくりとこんな感じ」



説明を聞く限りでは最初のソウタとイヴが提案したものよりもいくぶん楽に、確実になった感じはある。

だが、色々と疑問な点はのこる。



「でも、どうやってその封印結界を?」



ティアラもそう思ったのかアザゼルに聞く。



「それは今みんなで協力して配置に移動してる最中さ。 かくいう僕もそろそろ行かないといけないんだけどね」



だが、アザゼルは詳しいことは言わずに時間がないからとどこかへいってしまった。
























「ルナさん、今の話信じます?」



ティアラがそう尋ねてきた。

当然である。 アザゼルには私たちを騙した前科がある。 なので簡単に信じられないというティアラの気持ちもわかる。

でも、



「ここは信じるしかないよ」



ルナはそういって再びヨハネと3人の勇者が戦う方へと目を戻した。































「はは、なかなかやるな、小娘!」



キリとヨハネは依然として激しい空中戦を繰り広げている。

もちろん俺とユーリも戦いに参加しているのだが、ヨハネは勇者3人でようやく互角というバカみたいな力を誇っている。



「弱いくせに弱いくせに弱いくせに弱いくせに弱いくせに弱いくせに弱いくせに弱いくせに弱いくせに弱いくせに弱いくせに弱いくせに!!! ちょーしにのるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



ヨハネはさらに力を解放する。

その圧倒的存在感に押しつぶされそうな感覚に襲われる。

だが、こんなところで倒れるわけにはいかない。

こんなところで屈するわけにはいかない。

俺はこの世界を守るんだ!!



「少年! ビビってる場合じゃないぞ!! 男ならちゃんとついてるんじゃろ!!」



「こんな時に下ネタ突っ込んでんじゃねぇよ! オラッ!」



ヨハネと激しく打ち合うたび火花が蛍のように輝き散る。

体力の方はそろそろ限界でまるで体が紙のようになったかのように軽く、風が吹いたら吹き飛ばされそうなくらいに感じた。

だが、あともうちょっとだ!

あともうちょっと粘ればみんながやってくれる!



「ちょこまかと! ハッ!!」



ユーリが手を前にかざすとヨハネの左足が石化する。



「ナイスじゃ! 闇落ち勇者の少年!!」



おいおい、そのあだ名はないだろ。

ユーリも微妙な顔してるし………



「こんなもの!!」



ヨハネは石化された足を切り捨てる。

足が切り捨てられたところはおびただしい血が溢れたのだが、それはすぐに止まり代わりに魔法で木でできた義足を傷のところから出現させる。

そして錆びたどす黒い赤色の剣を後光の剣の一つと取り替える。



「『第六の審判』解放。 英傑の指揮する軍勢は悪鬼の全てを蹂躙する!!」



ヨハネが剣を振りかざすと剣は光り輝きヨハネの後ろに大きな扉が出現する。



「あはは! これであなたたちはもうおしまい! 4人の騎士と二億の兵士たちにあなたたちは蹂躙されるの!!」



扉が開きはじめその中にはたくさんのうごめく影が見える。



「さぁ聖なる4人の騎士よ。 目の前の敵を打ち滅ぼしなさい!!」



はじめに出て来た騎士がそれぞれの武器を構えようとすると大量の『砲撃』が大きな扉に向け打ち込まれる。



「なっ!?」









































「ふぅなんとか間に合ったか」



「あ、あなたは」



エディはなにが起きたかわからない。

突如現れたどこの国かわからないが恐らく軍人であろう衣服を着た男たちが睡蓮の指揮を少し任せてもらえないかといい半ば無理やり艦を動かしヨハネが出した大きな扉を打ち壊したのだ。

しかもその操縦の腕はイヴの力を借りてなんとかやっていた自分たちよりも明らかに手馴れており比べ物にならないくらい上手いものだった。

さらに武器は魔法弾を使っていたのを変え、元から艦にあった弾(・・・・・・・・・)を使ったのだ。

その破壊力は物理バリアーなど物ともしないほど段違いだった。



その全てを指揮した初老の男は被っていた帽子とり右手を揃え、額に斜めに当ててエディに名乗る。



「大日本帝国海軍中佐 ハヤカワ リュウタだ」




















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ