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第110話 勇者が揃うまで!



「あはっ♪ まさかあれで懲りずにわざわざ挑んでくるとは思わなかったよ」



俺とユーリはありったけの魔力を放出しヨハネを待ち構えていた。

すると彼女は予想通りに俺たちの前に姿を現わす。

場所はの海岸線。

周りにあまり被害が出ないようにという配慮だった。

もちろん念には念を入れてここから近いところの住民にも避難をしてもらっており、準備は万端であった。



「あの時は魔力も枯れかかってたからな。 だが、あの時からは違うぞ」



ユーリは魔装を見に纏いヨハネに剣を向ける。



「『終末の笛』だからなんだか知らないが勇者と元勇者の力思い知らせてやるぜ!!」



俺も剣を抜き、『吸血鬼化』してヨハネと対峙する。
























今回の作戦はこうだ。

俺とユーリがヨハネを足止めし、その先にルナが例の『エルフの秘薬』を魔法の矢に込めヨハネを撃ち抜く。

そしてヨハネがリンの身体から離れたところを待機していた諸王国連合や魔王軍で一気に叩く。



簡単に説明してしまえばこういうことだ。



だが、この作戦の肝は秘薬を打ち込むことでもリンの身体からヨハネが出てきたところを叩く所でもない。

この俺らとヨハネが戦うことが肝なのだ。














「あはは、いいね! いいね! 君たちは本当に面白いよ!!」



「喜んでもらえてよかったよ!!」



俺は全力で足に力を入れヨハネに飛びかかり一気に間合いを詰める。

ヨハネは例のごとく7本の光の剣を展開させその一本で俺の攻撃を受ける。

受けた剣と俺の剣の間激しい火花が散る。

相手の剣も伝説級の剣だろうがこちらも伝説級の剣だ。

こんなとこで折れるわけはない。












しばらくの鍔迫り合い。

いくら『吸血鬼』の力でドーピングしているとはいえやはりヨハネとは自力では分が悪い。

俺はタイミングを計り後ろへ大きく下がる。

それと同時に、



「『奇襲一閃プローマチェス・ヤソニクス』」



どこからともなくユーリが現れ、ガラ空きになったヨハネの横腹に一太刀を叩き込む。

が、それは光の壁によって塞がれてしまう。



「おっと危ない。 あ、ごめんね。 これ出しっぱなしだった。 今無くすから」



そういってヨハネは身体の周りに纏っている物理攻撃を通さない光の壁を消す。

そう、これが目的だったのだ。

ヨハネはおそらく何よりも楽しさを優先する。

現に1番最初に会った時、面白そうなのがいるからという理由で俺たちの元を訪れたくらいだ。

なので俺たちが全力を出せる形となって彼女に再戦を挑もうとしたら彼女は間違いなく面白がって食いついてくる。

さらに彼女は光の壁がなくともその圧倒的力で俺たちを退けることは可能である。

つまり面白さを優先する彼女は必ず縛りプレーというか舐めプをしてくるに違いないそう思った。







その予想通り彼女は光の壁を消し、俺たちに対しこういう。



「そうだな。 これから先、僕の体に傷をつけることができたら君らの方でいいよ。 その時は人間と魔族を滅ぼすの辞めてあげる♪」




「へ、舐めやがって! 光の壁なくしたこと後悔させてやるぜ!! はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」



俺はガンガンヨハネに剣戟を入れる。

その刀が打ち合うたび、火花が散り、その一撃一撃の重さを物語る。

一方ユーリの方は遠距離から魔法を使って俺を援護する。

即興とは思えないコンビプレー、しかしヨハネはそれをも軽々とあしらってみせる。




くっ! はやくしてくれよ、ルナ!









































「ルナさん! いけますか!?」



「動き回りすぎて的が定めづらい!」




全て私の手のかかっている!

絶対外せない。





光の弓を握るルナの手はビッショリと汗に濡れていた。

そして番える矢はミーナが作った特製の矢でこれをヨハネに打ち込めば『エルフの秘薬』が打ち込まれる仕組みとなっている。

ミーナが用意できた矢は一本。

今までに経験したことがない緊張感がルナの心臓を早鐘の様に騒々しく音を立て彼女を焦燥に駆り立てる。

もう周りの音は、景色は、意識に入らなかなっていた。

極限まで高めた集中力。

その集中力でルナはおそらく一瞬であろうその瞬間を待つ。



























2対1だというのに逆にヨハネの絶対的力の前に俺とユーリは圧倒的される。

吸血鬼の回復速度をもってしても追いつかないほどの攻撃すでに俺はボロボロであった。















「あははっ! 『第2の審判』 解放。 煮えたぎる熱血の剣。 その強欲な力をもって全ての生きる者の生気を奪え!!」



ヨハネは自身の後ろ、後光のように輝く剣の一つを手に取る。

手に取った剣は光を失いまるで錆びたかのようにどす黒い赤色に変わる。



「あはっ! それじゃあいくよ♪」



今度はヨハネの方から攻撃を仕掛けてくる。

だが、見た所単調な攻撃だし、剣技だけならヨハネは自身の能力に頼ってるためか俺の方が上だ。

俺はヨハネの錆びた剣の一撃を受け流す。

だが、



「なっ!? 剣が!!」



錆びた剣に当たった俺の剣はグズグズに腐ったかと思うとボロボロと崩れ去る。



「ソウタ! 離れろ!! 『獅子王の一撃』!!!」



ユーリが叫び、俺はとっさに引く。

するとユーリが放った雷撃がヨハネを襲う。



「ははっ! 無駄無駄ぁ。 そもそも魔法や物理攻撃の無効化なんてしなくても私にはそんなの効かないよ!」



しかしヨハネはその剣で雷撃を切り裂く。



「なら、これならどうじゃ?」






















突如現れたまるで『異世界』の紅白の衣装に身を纏う女性。

光り輝くその特徴的な形の剣でヨハネの赤黒い剣を真っ二つに叩き折る。

そしてニヒッと俺に向けて笑いかけたその女性を俺は知っていた。



「キリ!?」



そう、彼女はこの世界に俺を派遣した張本人であり、またこの世界の神であった。



「ああ、少年、久しぶりじゃな。 元気にしてたか?」



「こいつが、今の………」



ユーリは驚きを隠せないでいる。

当然だろう。

考えてみてほしい。

自分たちのピンチに神様が突然現れたのだ。

驚かない方が無理というものだ。



「こいつとは失礼じゃな。 さて、お主らの作戦は聞いているがそれじゃあ甘いの」



キリはコツンとユーリの頭を剣の峰で叩く。

おいおい、そいつ魔王だぞ?

さらにキリは俺たちが考えた作戦は甘いと一蹴する。



「甘いって、でも!」



自分たちでもわかっていたが、これくらいしか今のヨハネに対抗できる力はない。



「じゃから私がわざわざ出張ってきたんだろ? それにそら、そんな錆びた剣とっとと捨ててこいつを使え」



そういってキリは自身が持つ剣をこちらへ放り投げる。

そしてもう一つ自分は同じような剣を出現させる。



「これ……」



キリから渡された剣は刃の部分がまるで枝のように別れた剣。

確か七支刀っていうんだっけ?

3本にしか別れてないけど………




「どうじゃ? かっこいいじゃろ。 中二病感あるデザインにしたんじゃ」



とキリは俺に感想を求める。



「それ必要ある!? まぁ強いのはさっき見たけど扱いづらい!!」



そこが問題だった。

こんな真面目な場面にどこまでも形にこだわるキリ。

どんだけ遊び半分なんだよ!?



そんな俺のツッコミは華麗にスルーし、キリは再びヨハネと向き合う。



「さて、待たせたの。 随分派手にやってくれたな、小娘」



「ふふ、神様自らくるなんて。 天界滅ぼされて弔い合戦のつもり?」



見た目は余裕を装っているが明らかにキリを警戒している様子がわかる。



「フン、あんな連中のためにわざわざ重い腰をあげるか。 私は可愛い後輩たちのために来たのじゃ。 ああ、待っててやるから変な結界張っておけ。 本気で来ないと知らんぞ」




キリはそう言い切るとニヤッと不敵に笑い、



「初代『勇者』の力、見せてやろう」














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