第10話 お金を稼ぐまで!
「なんというか、Lv.25ともなるとここまで魔物と戦うのが楽になるとな」
「本当なら魔法も覚えるからもっと楽になるんだけどね」
ルナは笑いながらそう言う。
俺たちは商隊に同行し、道中襲ってくる魔物を蹴散らしながら次の街を目指していた。
「そういえば俺らが向かってる街ってどんなとこなんだ?」
「『スイーン』っていう港街だよ。 ここからはこの国の皇都である『ミタリア』への船や、『虚無の大陸』への船とかここら辺地域の玄関口みたいなところになっているの」
「虚無の大陸ってなんだ?」
「虚無の大陸っていうのは、ここから海を渡って南に行ったところにある大陸だよ。 海からちょっと行った先には高い山脈があって、それを越えたら一面の砂の海。 砂以外なにもないところだから『虚無の大陸』って呼ばれてるんだよ」
「でも、なんでそんななんにもないとこに船出してるんだ?」
「実はその砂漠を越えた先に楽園があるっていう伝説があってね。 それで砂漠の向こうを目指す冒険者が後を絶たないの。 実際行って帰れた人はいないらしいんだけどね」
「なるほど」
「ちょっと冒険者さん! 喋ってる場合じゃないですよ、また出たのでお願いします!」
と商隊のおじさんが叫ぶ。
ここもまたサクッと片付けますか!
あの後も何回か魔物の蹴散らし無事に『スイーン』の街につくことができた。
「さて、街に着いたはいいけど特に東にいく以外目標なかったな。 これからどうするんだ?」
「そうだね、ここでとりあえず皇都への船に乗り換えて皇都に着いたら国境を越える許可書をもらう。それから東に向かうという感じになるかな」
なるほど、この世界でも国境を越えるのに元の世界でいうパスポートの発行みたいなのが必要なのか。
「というよりソウタは東の国から来たんだからこんな感じできたんじゃないの?」
「いや、俺はちょっと特殊な方法で来たから。 それにきた方法についてあんまり覚えてなくて」
笑ってごまかす俺。
知るわけないだろ。この世界初めてなのに。
「ふーん、まぁいいや。 とりあえず船着場にいこ」
ルナも深くは追求しないみたいだ。
船着場につき、皇都行きの船を探す。船はすぐ見つかったんだが…
「えーと、大人2人で2000ゴルド!? 高っ!
前来た時はこんなの高くなかったのに!」
とルナは驚く。
「あーそれな。ここ最近海で魔物に襲われることが多くてそれでこんな値段になっているんだよ」
と船着場にいたおじさんが答えてくれた。
世の中うまくいかないもんだなー
「私たちお金どれくらい持ってたっけ?」
俺らはコツコツとクエストをしていたのでお金はある程度溜まっていたように思えたが、見てみると1800ゴルド、ギリギリ足りなかった。
「はい、これから私たちはどうするか会議始めまーす」
とルナがきりだす。
俺らはひとまずこの街のギルドに来ていた。というかどこのギルドも酒場併設なんだな。
「どうもこうもここでまた地道にクエストやってお金を貯めるしかないよ」
「そうなるとこの街にしばらく滞在しなきゃいけないよね」
「こればっかりは仕方がない。 とりあえずクエスト探しにいこうぜ」
そういうことでクエスト依頼板を見に行ったけれどもあるのは小銭程度しか稼げないクエストか金額は高いが、難易度のものすごく高いクエストだけしかなかった。
どーすんの、これ。
途方に暮れていた時、後ろから声をかけられた。
「おこまりかい? 冒険者さんたち」
みると黒髪のロングドレスのお姉さんがいた。しかしただのお姉さんではない! 出るとこが出ていて引っ込むところは引っ込んでいるとてもナイスバディなお姉さんだった。これは…とにかくすごいぞ!!
「ソウタ、顔に出てる」
おっと、いけない。
ルナは俺に冷たい視線を送りながらそう言うと、
「あなたは誰なんですか? まず名乗るべきでは?」
「これは済まなかったね。キーナ、この酒場で働いているものだ。さっきの会話を聞いてる限りお金に困ってるんだろ。 私がいい仕事紹介してやってもいいけど、どうする?」
「いい仕事ってのは?」
俺はキーナさんに聞いてみた。
「簡単さ。そっちの女の子がこっちの用意する衣装を着て身体で払ってくれれば」
クスリと笑うキーナさん。
それより言い方エロすぎませんか?
「かかかかか、身体でって! そんなのやるわけないでしょ! 私はそんなに尻軽じゃないの! それに初めてだって…だし、相手は…決まってるし…」
と顔を真っ赤にして怒り、最後には何かゴニョゴニョいうルナ。
「女の子は何を想像したのか知らないけど、大丈夫よ。とりあえず受けるなら私の家に来て」
キーナさんはそういう仕事じゃないと説明してくれた。
いや、言い方といいなんといい、そう思わせぶりにしたのはキーナさんの方だと思うんですけど、てかこの人絶対ルナをからかったな。
真っ赤になって頭から煙を出しているルナを引きずってとりあえずキーナさんの家に行くことにした。
「さて、それで本題なのだけれども」
とキーナさんがきりだす。
ルナはというと先ほどようやく正気にもどった。
「実はこの街の酒場は踊り子のダンスで有名なんだけど、私のペアの子が怪我してしばらく出れなくなっちゃったのよ。 それで今日は代わりの娘が見つかったからいいんだけど、明日の夜が見つからなくて、そこであなたたちに協力してもらいたいのよ」
「つまり、怪我した娘の代わりにルナが踊り子として踊るということですか?」
「その通りよ。 冒険者なんだから運動神経はいい方でしょ? ならすぐにダンスも覚えられるわ」
「ルナはどうする?」
俺はルナに聞いてみた。
「ダンスは自信ないけど、お金のためなら…
ああ、でもみんなの前で踊るのは恥ずかしいなー」
「大丈夫よ。 私がリードしてあげるから。 それになれればカイカンになるわよ。ルナちゃんどうかしら」
また、エロい言い方を。
「うーん、ソウタがどうしてもっていうなら」
というので、
「それじゃよろしく!」
とルナにいう。
ルナの顔が少し曇るが何かしたか?
「…ルナちゃんもいろいろ大変ね。 もちろんあなた…」
「ソウタです」
「ソウタくんの方にもやってもらうことがあるわよ」
やってもらうこと?
なんだろう?
「詳しくは姉の方に聞いてちょうだい。 奥の部屋にいるから」
とキーナさんはそれだけいうと服の採寸があるからとルナを連れて出て行ってしまった。
俺はキーナさんに言われた通り奥の部屋をノックして入ってみる。
「ようこそ、パシリくん。 わが、研究室へ!」
そこにいたのはどう見てもキーナさんの姉というより妹にしか見えないメガネに、ボサボサの髪、ブカブカの白衣を来た小学校高学年くらいの女の子だった。




