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107話 噛ませが復活するまで!

 アルシノエのアザゼルの部屋に取り残された俺たち。



「とは言ってもあの化け物どう倒すんだよ。 魔法もダメ、物理攻撃もダメなんてどう考えてもダメだろ」



はぁとため息をつき、来客用のソファに身を投げる。

手詰まりもいいとこである。

これで時間制限までつて、負けイベじゃないからたちが悪い。



「そんなこといったってしょうがないだろ? やらなきゃみんな仲良く消されるだけだ」 



アリーも腰を下ろし机の上に出されたクッキーを一つ手に取り、口へ放りこむ。

その態度からわかるようにアリーのほうも何とかしたいが打つ手なし、そんな風に見えた。



「それは困る。 ご飯たべれなくなるし」



そういってフーカもソファに座り残りのクッキーを流し込む。

心配するとこそこかよ!

どんな状況でも変わらないそのメンタルは見習いたいものである。



「そうはゆうけど実際なんか作戦あるか?」



俺はヤケクソで2人に聞く。

そうすると即座に答えが返ってきた。



「誘惑する」  



「ご飯をご馳走する」



どちらも使えない提案であった。



「まじめに考えろよ!」



俺は2人に突っ込み、頭を抱える。

本当にこいつら!

もしかしたらユーリの奴、話し合いじゃ使えないからこいつら置いてったんじゃないだろうな?

俺はそんなことが頭に浮かんだ。



「まぁここで話し合っても所詮この程度の意見しか出ない。 ここは一旦他の連中と合流してはどうか?」



そんな俺の様子を見ていたアリーはやれやれとそう提案する。

確かにその通りなのだが、なぜかアリーにそう言われるのは納得いかない。



「となれば善は急げだ。 いくぞ」



そういってアリーはゲートを開き、中にはいる。

フーカがそれに続き、俺も釈然としないままではあるも2人に続きゲートをくぐる。




























「あれ? 生きてる」



目を覚ますとそこには満天の星空。

そしてどこまで広がってるのか分からないくらい広い白い砂の砂漠。

そんな場所に似つかないまるで部屋を切り取った様に並べられた家具。

が、その家具には見覚えがない。

ベッドやローテーブルはわかるのだが、用途の分からない家具もたくさんあり本棚にはよく分からない本が所狭しと並んでいる。

先程まで自分は『終末の笛』ーーーヨハネとの戦いで………




「いや、お主は死んでいるぞ 、アザゼル。 ここはまぁ死後の世界というやつじゃな」



そんな変わった空間にさらに変わった少女の姿を見つける。

赤と白の見た目薄そうな服を身にまとった少女である。



「君は……」



「君とは失礼な。 まぁ初めて会うんじゃから無理もない。 私こそこの世界を担当している神じゃ」



混乱するアザゼルに少年が世話になってるねと笑いかけながら少女は答える。

そこでアザゼルは理解した。

ここは死後の世界であることと、今目の前にいるのが噂の新しい神様であるということを。



「失礼しました、神様。 でも、なぜ僕をここに呼び出したのですか?」



アザゼルは非礼を詫びてからなぜ死んだ自分をここに連れてきたのか聞いた。

そもそもアザゼルは天使をやめた身である。

なので死後は天界ではなく地獄に落ちるはずであった。

だが、周りを見渡してもここには地獄の様な要素はなく、さらには自分の目の前に神様が現れたのだ。

まぁ地獄に行ってもさっき自分をなぶり殺しにしたやつがうじゃうじゃいるとか考えたくもないが……



「そんな硬くなくても良い。 さっきのは冗談じゃ、キリで良い。 お主だけではないぞ。 ほれ」



キリはそう行って指を指す。

そこにはあの化け物にやられたルークやベリアル、『元神様』を連れ出そうとしたカマエルたちが転がっていた。



「あ、悪魔や吸血鬼まで助けたんですか!?」



アザゼルは驚く。

元天使だった自分はまだなんとかギリギリ地獄に落ちなかったのも理解できる。

であるが、堕天し、悪魔とかしたベリアルや元魔王であり吸血鬼でもあるルークを助けるとは理解ができなかった。

というかそんなことしたら『天界』が黙っていないだろう。

そんなアザゼルの疑問にもそれはな、とキリは答えてくれる。



「助けたと言うより拾ったといったところかの。 実際皆、助かってないんじゃし。 ただまぁ案の定上がうるさくてな、人類どころか天界も滅亡の危機なのに今更メンツも何もなかろうて」



やれやれと、キリはベッドに腰掛ける。



「 それはどういう……」



「あの小娘、天界にまで宣戦布告しおった。 本当に面倒なことになった」



「なっ!?」



天界に宣戦布告など正気の沙汰ではない。

過去にいないわけでもないのだが(魔王君とか)、もちろん負けたことはなく、というか負けたら負けたで世界がひっくり返る。



「あの娘はここにきたんですか!?」



「『ここ』にはいない、と言うか気づかれていない。 だが、今天界の方に行ってあるのじゃろ。 さっきから『聖宮』との連絡が取れない。 おそらく落ちたであろうな」



『聖宮』というのは天界にあるいわゆる天使や神様の総本山。

そこには元老院と呼ばれる人たちがおり、そこで彼らにより様々な方針が決められている。

ちなみに魔王を追いやったのもここが原因だったりするし、何より『元神様』が思いつめたのも彼らが原因だったりする。

アザゼル自身彼らのことは好きではない。

だが、そこが落ちるというのは衝撃的なことであった。

そこが落ちる=世界の秩序が乱れてしまうということである。




「ではあなたは危険を察知してここに逃げてきたと?

そういえばここはどこなのです?」



「そんなわけあるか。 私はもともとここに住んでるのじゃよ。 あの連中と一緒にいてもストレス溜まるだけだしの。 ちなみにここはお主もよく知ってる場所じゃ」



そう行って今度は遥か白い砂漠の地平線を指を指す。



「ほら、あそこ。 ちょうど上ってきた」



目を凝らすとまるで宝石の様に青く輝く月が上ってくる。

いや、あれは月ではない!



「そう、お主らが住む星じゃ。 そしてここはお主らが『月』と呼ぶ場所じゃ」



「なぜ、こんなところに……」



「それはまぁいろいろあっての。 それより本題じゃ」



といってキリは立ち上がる。



「本題?」



「うむ。 アザゼル、お主もう一度あの小娘と戦え」



ビシッとアザゼルにそう言いつけるキリ。



「ですが!!」



あんなのともう一度戦えって!?

そんなの無駄死にもいいとこだ!

そんなアザゼルの意図を汲み取ったのかキリはニヤリと笑いアザゼルに言う。



「わかっておる。 じゃからもちろん策はある。 それに」



キリは見たこともない剣を一振り出現させる。



「次は私も出るからの」
















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