第99話 魔王vs勇者
立ちはだかる2つの大きな壁。
この2人を突破しないとどうやら先には進めなさそうだな。
「ソウタさん、ここは任せてください」
「ここは私たちが足止めする」
そう言ってルナとティアラは魔王軍幹部であるサーニャとベンケイと対峙する。
「おい! いくらなんでも…!」
「この人たち止めないと魔王のとこいけないんでしょ? だったらここは私たちに任せてよ。 私たちだってソウタがいない間強くなってるんだから」
ルナは剣を抜きこちらに笑いかけながらそういう。
「そうです。 それにこれは私のリベンジマッチです!」
ティアラも鋭い眼光をベンケイに向けながら俺にそういった。
「ふっはは! 面白い!! その誘い受けでやるぜ『氷雪平原』!!!!」
それを聞いたベンケイは海に向かって魔法を放つすると、海は辺り一帯全てが凍りつく。 そこへ、ベンケイは降り立ち、足場の強度を確認するように片足で何度か足踏みをするように叩く。 いきなりそのような行動をしたベンケイに対し、サーニャはもちろん怒る。
「なにをやってる、ベンケイ! なぜ敵に足場を与えるような真似をしているんだ!!」
「まぁこの船にこれ以上先に進まれても困るしな。 それにこれなら飛べないお前らでも戦えるだろ? さぁ始めようぜ!!」
ベンケイはそうこっちに、にゃっと笑いかける。 それに答えるようにティアラは船から氷原におりてこちらは叫ぶ。
「さぁ、ソウタさん! 早く!!」
「勇者らしく世界すくってきなよ!」
さらにルナもダメ押しのように肩をポンっと叩いておれを急かす。
「わかった! ありがとう!!」
俺はそういいルナ、ティアラに任せて魔王のところへ向かうため飛び立つ。
「私から逃げられると……ッ!!!」
それを追おうとしたサーニャだったのだが、後ろから攻撃が飛んできて邪魔されてしまう。
「おっと、逃がさないよ。 使っちゃダメと言われたけどいまがその使いどきでしょ。 悪いけどこの私の身に変えてもソウタは合わせないよ!」
そこには淡い光が身体の周りを包み透き通るような綺麗な翡翠色の眼はまるで深海のように深い紺色となったルナの姿があった。 さらには背中には薄く透き通った羽根が生えており、空中にいるサーニャと対峙する。
「くっ!!! 『エルフの秘薬』か! でもなんで正気を保ってられる!?』
「私は純粋なエルフじゃないからね。 それでも『彼女』を抑えるのに相当苦労したけど」
そう答えるルナの隙を見てサーニャは間をすり抜けようとするが『エルフの秘薬』を使ったルナは速さだけならトップクラスのサーニャのスピードについていく。
「にがさないっていったでしょ! 最初っから全力でいくよ!!」
「はっはっは! 確かに強くなってるじゃねーか!! 何時ぞやの洞窟であった時とは別人みたいだぜ!」
「私はもう負けません! 私には守るものがたくさんできました。 あんな思いをするのはもうたくさんです!!」
猛攻を仕掛けるベンケイの攻撃を華麗な剣さばきで受け流していくティアラ心なしか以前戦った時よりも余裕があるように見える。
「なるほどな、受け止めるんじゃなくて受け流すか。 確かに剣さばきや身体のさばき方がいい前より良くなってる。 だが、そんなんじゃ俺は倒せないぜ!!」
一撃一撃がそれなりの威力があるはずなのだが、それを涼しい顔でさばき続ける。
「『氷像の番犬』」
攻撃を受け流しつつティアラは魔法を唱える。 すると氷で出来た大型犬が2匹現れベンケイに襲いかかる。 だが、ベンケイはいとも容易く犬たちを殴り倒し、粉々に砕いてしまう。
しかしここで怯むティアラでもない。
ベンケイが犬たちに一瞬気を取られた隙に次の魔法を唱え放つ。
「『激流回廊』!!!」
まるで噴水のように足元の氷を割り水柱が立ったかと思えばそれは龍の形へ変わりベンケイを飲み込む。
そしてそれはベンケイを閉じ込めたまま丸い球状の形となる。
「確かに今の私ではあなたに白兵戦では敵わない。 だけど魔法の勝負なら別です」
ベンケイはこの水牢から逃れようとするも身動き1つ取れない。
「無駄です。 あなたは私がその魔法を解除するまで動けません」
ティアラは閉じ込められたベンケイにそう言い放つ。
だが閉じ込められたベンケイは焦る様子もなくニヤッと笑う。
そして、
「!?」
ティアラが、動きを閉じ込めたと思われていたベンケイは自ら水牢を破って出てきてしまった。
それに先程までとは明らかに様子が違う。
「まさか、久しぶりに『狂獣化』するとはな。 やっぱ俺が見込んだだけはある」
楽しそうに語るベンケイ。
その体は赤いオーラを纏っており身体からは湯気のようなものが出ている。
そして見た目以上にベンケイの魔力は先程とは比べものにならないくらい大きくなっていた。
「確かに俺は細かいことが苦手だから魔法は得意じゃないが、使えないってわけじゃないんだぜ? まぁ後は好き嫌いというのもあるけどな」
「くっ!」
「さぁウォーミングアップはお終いだ。 楽しくやろうぜ?」
俺はあの場をルナとティアラに任せ1番魔力がでかいやつがいるところへ向かった。
そして、見つける。隆々とした身体は俺の2、3倍はあろうかという長身、赤黒くなった皮膚。 そしてまるで見るものを刺し殺しそうな鋭い眼光まさに魔王と呼ぶにふさわしい人物が仁王立ちのような状態で浮かんでいた。
「さて、決着をつけようか。 元勇者殿」
俺は剣を抜き魔王に対して構える。
すると地獄の底から響くような声で魔王が話す。
「ふん。 なにも知らないやつが…… 。 今からでも遅くない我々とともに来ないか? どうせ貴様も裏切られるぞ」
「お断りだね。 どこぞの竜王みたいなこと言いやがって。 そんなの百も承知、じゃなきゃここにいねーよ!」
「愚かな……」
ついにこの世界に来た目的でもある魔王との一騎打ちがはじまった。




