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ブローム、自警団本部前にて

私は昨日起こったしょうもない事件のせいでこの門出の日に仕事をしなければならない。

私の仕事はこの街の建造物や建設物の設計から施工までを取り扱っている。

先ほどメンデルさんから直接連絡が来た。

どっかの厳つい巨漢が飲み屋を半壊にしたせいでやむなく調査に向かうところだ。

おっ、噂をすれば……。

その厳つい巨漢が前から豪快でかつ軽やかに歩いてくる。

この後何かいいことがあるのだろうか……。

荒くれ者、時代を間違えれば社会のゴミだというのに!

まったく、お前のせいで私は忙しいというのに……。

これは小言の一つも言ってやらないと気が済まない。


「おや、ゴルジオ将軍ではないですか。」

内なる怒りとは裏腹にやんわり接触を図る。

「おお、ブロームさん。悪いね、またやっちまった。」

「知ってますよ。そのせいで今も仕事に向かっている途中ですから。」

「なんか悪いね。」

私が始めに思ったのとは違って彼の表情は少しイライラしているようだが、だがしかし、そちらの事情は知ったこっちゃない。私は見た通りイライラしている!

「なんか悪いね、ではありませんよ、もう。あなたが建物を壊すたびにこうやって私が仕事に駆り出されるんですから。」

「まあまあ、前は仕事が増えるからどんどん壊してもらって構いませんよって言ってたじゃないか。」

「時を考えてください。今日仕事したい人がいますか?」

「ああ、悪いな。」

少しゴルジオ将軍の表情が曇る……。

だが、ここまで来た私の怒りは誰にも止められない!

「まったくもう。今度から私は建設大臣としてスライルさんとともに街全体のことを考えていかなくてはなりません。いちいち壊れた建物の修理のために調査して補修または改修するなんてことはできません。街全体を考えればまだまだ人や物を通すための道や国を動かす施設の建設などを造らなければなりませんし、まだほかの地域の整備もあります。やることは山積みなんです!」

何が気に障ったのかはわからないが、ゴルジオ将軍の顔が明らかに変わった。

「だから!悪いなって!言ってるだろ!」

急にすごい剣幕で怒鳴られた。

「ヒィイ。すみません。あの……次からは……。」

さすがは元荒くれもの。チョーコワイ。

私の怒りは一瞬にして引っ込んだ。

「ああ、わかったわかった!もういいだろ!なあ!」

「はい……。」

「俺行くぜ!」

そう言ってゴルジオ将軍はどこかへ立ち去った。

あのガタイであんな凄まれ方をされては私などでは太刀打ちできない……。

そのでかい背中をただ見送った。

あー怖かった。


くそ、あいつ何なんだよ!

しかし、何があんなに怒らせたのだろう。


何にせよ、あんな人間とはできるだけ関わりたくないものだ。

とは言えまったくやりたくはないが今からその巨人が踏み荒らしたという店の修理に向かわねば……。


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