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エピローグ2

ゴルジオ

「いや、本当にサイコーの気分だぜ。美女に囲まれ酒はもちろん望めば何でも手に入る。こんな生活ができるのもお前のおかげだな!キーデル。」

「もういいですよ、感謝しなくても。」

「そういうわけにはいかないだろ!あの時お前が俺を王にするって言った時はまさか実現するとは思ってなかったしよ!」

「ハハ。まあ、ゴルジオ様が喜んでいるならよかったです。」


あの事件から半年、何もかもが変わった。

まさか俺がこうやって王様になれる日が来るなんて夢にも思わなかったぜ!

平和平和とどいつもこいつも馬鹿みたいに……。

平和なんて退屈な世界にどれほどの価値があるんだ!

あのころ、夜な夜な首都に言って人を殺しまくっていたがまったく気が晴れなかった……。


だけどもう違う。

街に出ればゴルジオ様ゴルジオ様!

エロい体つきの若い女も俺を戦いだけの野蛮人と馬鹿にしていた学者共ももはや俺にひれ伏すのみ。

賞賛の嵐、サイコーに気分がいい。


今では望めば何でも手に入る。

豪華な食材と手の込んだ料理で毎日が晩餐会。

若い女を何人も呼んで毎日がパーティー。

気に入らねえ奴がいればすぐにでも首をはねられる。

俺を陰で馬鹿にしてきた奴らはすでに俺がこの手で何人も殺してやった。

何をやっても許される。

なぜならこの国はすでに俺のもの。

俺が王様。俺が神様。俺に逆らうやつはみんな死ね!


さてと今日は何をするかな?

やっぱり女を囲って夜の……グフフ……。

「おい、キーデル!」

「何でしょう?」

「今晩、極上の女を10人は用意しろ!服は全部脱がして俺の部屋に置いておけ!」

「わかりました。その前に今日はこちらの薬をお飲みください。ゴルジオ様ったら王になったあの日から半年間毎日酒を飲まれているじゃないですか。医者がゴルジオ様の体を心配していましたよ。この薬を飲めば肝臓が楽になるそうです。」

「ああ、わかった。別に体の調子が悪いわけじゃねぇけど飲んでおくわ!お前には本当世話になるな。」

「旦那。こいつのことあまり信用しすぎると痛い目見ますぜ!何せあれだけの戦略を練った男、国中のすべての人間を手玉に取った男ですぜ。それ程の男がゴルジオ様のために金も酒も女も準備してきてって。そんなのおかしくありませんかい?」

その様子をあまりよく思わない様子で見ていたギミーが口に出した。

こいつは何を言っているんだか……。

「キーデルがそんな悪い奴に見えんのか?あの事件を起こしたのだってあの2刀流の手練れのガキにぎゃふんと言わせたかっただけであとのことは興味がないって言ってただろ。それにおれがこいつに殺されるわけないだろ!あの事件で傷を負って動けなくなっていた俺を全力で看病してたんだぜ!殺したいならその時やってるはずだろ!あれから半年もたってるんだ!何かしたいなら今まで何もしてこなかった方がおかしいだろ!」

「しかし……。」

「うるせぇぞ、ギミー!わけのわかんねぇこと言ってるとお前でも殺すぞ!」

まったく馬鹿が多くて困る。

キーデルは今や俺の右腕。

いや、もう一人の俺みたいなもんだ。

とくにあいつには誰よりも女も酒も金もやってるんだ。

そんなキーデルが俺にそんなことするわけないだろ!


キーデルにもらった薬を口に放り投げ、水も使わずごくりと飲み込む。

「そうだ、キーデル!お前も今晩俺の部屋に来るか?お前の好みの女がいたらやるからよ!」

「いや、俺はいいですよ。今晩あんたの部屋にいるのはそこのギミー参謀や辻斬りするときぐらいしか使えなかったあんたの戦闘バカな部下だけなんですから。ハハッ、そいつの言う通り、あんたはあまり人を信用しすぎちゃいけないよ。馬鹿なんだから。」

キーデルは不敵な笑みを浮かべると俺に背中を向けて歩き出した。

あいつ何だ急に態度が変にな――。

突如、ガクッと全身の力が抜ける……。

……ん、息が……、息が……苦しい……。

なんだ?まさか……、さっきの薬は……、……毒?


「あんたを生かしておいたのはあんたが必要だったからさ!

あんたの欲望が国民の不信感を一手に引き受けてくれる馬鹿が必要だったんでな。

ただ……、もうあんたはいらない。

一年間世話になったな!じゃあな!」

そう言い残すと背を向け倒れて体が動かなくなった俺を振り返ることもなく、キーデルはどこかへ立ち去った。


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