ナーラ、6
最近グレンが妙にイライラしている。
事情を聴いても何も言わないからわからなかったけどきっとあれだわ。
スライル様がクビになったせいね、大統領を!
お姉ちゃんの勘!
元々おかしいとは思っていたのよ。
グレンがスライルさんのボディーガードの仕事をクビになってもそんなにショックを受けてるように見えなかったことが……。
あれはきっとスライル様に私には言えない何か違う仕事を任されたんだわ。
知っていれば私も口うるさく働けって言ったりしなかったのに……。
それはもういいわ。
そして今グレンがイライラしている最大の原因はきっとスライル様がクビになったことでグレンのお給料を払う人がいなくなったせいだわ。
間違いない!
でも大丈夫よ。あなたが悪いのでなければ私のバイトで稼いだお金で少しは養えるから!
心配しなくて大丈夫よ!
って言ったら
「姉さん、全然違うから!少し黙ってて!」
ってグレンに言われちゃったんだけど、これって姉に対するというか目上の人に対する態度がなってないと思わない?
せっかく心配してあげているのに……。
私はグレンにはあまりイライラしてもらいたくないのよ。
たった一人のかわいい弟だから……。
ねえ、テンチョー、そう思わない?
テンチョーは黙って聞いていたが、少しの沈黙の後小さくため息をつくと、がっかりしたように言う。
「ナーラちゃん……、今度は僕のイライラの原因を考えてみない?たまにグラスを地面にたたきつけたくなるんだけど……。」
今まで気づかなかったけどどうやらテンチョーもイライラしているようだ。
普段温厚な人だから怒っているところなんて想像つかない。
これで数年前まで戦場に出ていた人だなんてもっと想像がつかない……。
もしかして、男の人って私が思うよりストレスをためやすいのかしら?
「それは違うと思うよ……。男の人が皆ストレス溜めやすいってわけじゃない……。……グレンくんも大変だね。」
そう言い残しテンチョーは店の奥の貯蔵庫へ一人向かって行くのを眺めていた。
おっと、接客接客!
いつ弟の収入がなくなっても私が面倒見られるように蓄えておかなきゃ!
と今日も一生懸命働く私であった……。
奥からため息が聞こえる……。




