ナートル、6
「はーい、会議を始めまーす!」
新体制の第一回会議の進行のあいさつを我ながら参加者の気分を心の底から明るくするような大きく張りがあってちょっと可愛らしくぅ言えたと思われたが、
「ナートルちゃん……、今のはちょっと……。」
おじさんに注意された……。
ま、いっか!
「はいでは始めます!何か意見のある方どうぞー!」
私自身も大統領になってまだそんなに日が経ってないが毎日充実している。
とりあえず朝から晩まで研究研究の日々。
毎日がお祭りの日々!
大統領なんてやることはない。
国の重要な取り決めは各大臣に割り振ってあるし、私の到らない点というか勝手にバルテニーおじさんが私のために色々と手回ししてくれるから何もしなくてもうまくいく。
今日ものほほんと研究の段取りでも考えておきますか。
しばらくのほほんとしていたが、誰も手を挙げなかった……。
どうやらここ数日ではなにも起こらなかったらしい。
うん、平和が一番!
「ないようなので今日の会議は終了でーす。それでは皆さん、さようなら。」
私が席を立とうとすると、
「ちょっと待て!」
ブロームさんが強く机を叩いて私の神懸った進行に待ったをかける。
「はい、何でしょう。ブロームさん。面倒くさいなー。」
「ナートルちゃん、面倒くさいなーは声に出さないように……。」
バルテニーおじさんにしれっと注意される。
「あの大統領!まず早すぎるし、議題はあるでしょ!第一、あなたの後釜の産業大臣が決まってないでしょ!」
ブロームさんが必死こいて叫ぶ。
言いたいことがあるなら手を挙げればいいのに……。
チェ、まだ終わらんのか。
「これは……。さすがに思っていた以上だ……。」
ブロームさんがしかめ面で愚痴をこぼす。
しかし私はめげない!
何せ最高に気分がいいから!
「ええっと。産業大臣は私の一存で適任者を決めたいと思いますが、ブロームさん、よろしいでしょうか?」
「いいですよ!勝手にしてください!」
せっかく大統領としてビシッと決めたのにブロームさんに適当に流される。
もうなんなのこの人!
ブロームさんはそんな私の鬱蒼とした雰囲気を全く気にせず大きく息を吸い込むとはっきりとした声でしゃべりす。
「ここで私からも一つ提案があります。我々の真のリーダーであるスライルさんをここに戻しましょう!」
「はい可決!」
私は脊髄反射で間髪入れずに答える。
この会議で上がる提案なんてそれなりに一流の人が考えた結果なのだから間違っているわけがない。即採用よ!
……ってあれ?
それってもしかして……。
「ちょっと待って!それってどういう意味ですか?」
「いえ、今回は現リーダーがどうこうってわけではなく、やはり彼抜きでこの会議が成り立つことはないでしょう。」
なーんだ。私が悪いんじゃなくてスライルさんが必要って話ね!
いやでもスライルさんが復帰したらその役職は当然、ここになるのか……。
ってことは私は元の役職に逆戻り?
え、それは嫌……。
「……。それはつまりあの判断が待ちがっていたということでしょうか?いまさら掘り返さなければならない問題ですか?」
バルテニーおじさんが食って掛かる。
おじさんはスライルさんを追い出した張本人としてまだ引きずっている部分があるのかもしれない。頑張れおじさん!私の分まで!
その間に私は……、
確か今は建設業における新しい工法とその理論について部下のマーリンから審査してほしいって頼まれてたんだ。
あの子、従順で私が頼んだことをしっかりきっちりやってくれるからすごく助かるわ。
今回渡されたのもきっと面白いことになっていると思う……。
顔を上げるとバルテニーおじさんとブロームさんがまだ何か激論していた。
まだ終わんなそう……。
でも今の私には力がある!
「お二人とも!今回で結論を出すには考える時間が足りないと思います。それはまた次回にして今回はお開きにしましょう。そんで次回この話について煮詰めていきましょう!何の話をしてたのかは知らないけどね。」
大きな声でそう言うと二人はしゃべるのをやめた。
私の魅力に参ったか!
……。
何だこの妙な沈黙……。
「おう、じゃあ次回スライルさんの話をするってことでもう帰っていいんだな。じゃあ、おつかれ!」
と言い残し今回一言もしゃべらなかったゴルジオさんが会議室から出ていくと、その後誰もしゃべらないままそれぞれ会議室を後にした……。




