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バルテニー、5

……やはり私に間違いはなかった。

スライルさんはすでに限界だったのだ……。


スライルさんの恫喝に最初はひるんでしまったが、大きく深呼吸して落ち着きを取り戻して私は話し出す。

「賛成が規定を満たしたので本日をもってスライルさんを――」

「待て、バルテニー!勝手なことをするな!私がいなかったらただの一介の商人に過ぎなかったお前が私に楯突こうというのかァ!調子に乗るのもたいがいにしろよ!」


今まで呼び捨てにされたことも意味もなく否定されたこともなかったのに……。

ただ悲しい。

そうされたこと自体は別にどうということはないが、

私たちが何より大切にしてきたはずのスライルさんが目の前で壊れてしまっていることが

そして、それを止められなかったことが

ただ悲しかった。


いや、今の私には悲しんでいる暇はない。

これは私が、私たちが蒔いた種……。

原因は何であれ、最後に彼にとどめを刺したのは私だ。

最後まで責任をもってけじめをつけなくては!

「スライルさんを解職します。」

できるだけ力を入れ、はっきりとスライルさんの解職宣言をした。


「貴様ァアアア!」

叫び声にふと反応するとスライルさんが殴りかかってきていた。

スライルさんが人に手を挙げる……。

そんなことまるで予想していなかった。

というかこんな状態になることさえも想像できていなかった。

私たちはいったい彼の何を見てきたのだろう……。


彼の拳が私の顔面にまっすぐ伸び、私はそのまま後ろに倒れた……。

今の彼を開放する手段はこれしかない。

何のしがらみのない世界でもう一度自分と向き合ってください。

あなたが太陽として昇るべき本当の世界の姿を……。


そのままどうしようもなく暴れまわるスライルさんは会議室内でいつも待機している警備の人に取り押さえられ、そのまま部屋から連れていかれた。

外部からの侵入者のためにいた護衛の初仕事が守っていた人を追い払うことだなんて皮肉な話だ。

守っていたものが変わっていくのに気づかない。

宝箱は空になっても宝箱……。

箱に価値なんてないのに……。


あわただしく太陽は沈んでいった。



「バルテニーさん、大変なことをしましたね。」

横になったまま天井を眺めているとブロームさんが嘆息混じりに言った。


確かにこれ幸いとメンデルさんがいなくなったことに便乗してこの議題を持ち出し、そして、実はゴルジオさんに賛成するように会議が始まる前に根回ししておいたことは悪いとは思っている。


ただ、こういう結果を私は悔いてはいない。

私は何もスライルさんが嫌いでやったわけではない

この世界にもこの国にもスライルさんは必要だ。

必要だからこそ彼には戻ってほしい、輝いていたあの頃に……。

そして、いつか帰ってきてほしい、私の尊敬するスライルさんに戻って……。


そのために私はやったんだ。

だって明けない夜はないのだから、太陽は再び昇る。


ただこれからは私の頑張り次第。

私がこの国を夜にした張本人である以上、この国から目をそらしてはいけない。

いつ終わるかわからない夜だけど、太陽が再び昇るまではこの国に芽吹く新芽たちを絶対に枯らさせやしない。

この国を成長させること。

そのために私ができることは次の時代を支えることになるであろう者たちを育て上げること。


目の前の若草たちを見てそう決意した。




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