ブローム、4
ああ、もう。
なんで私がこんな人前に立たなくてはならないんだ!
メンデルさんが勝手にやってくれればいいでしょ!
立ったところで何かできるとは思えないし、何よりいうことなんてない。
戦うもののための会議でしょうが!
私を巻き込むな!
殺す殺されるはサルどもでやっていろ!
となんだかんだ思いつつも今私はメンデルさんの無言のプレッシャーの前に屈し、結局辻斬り討伐会議に参加している。
辻斬りを取り押さえる装置の製作と設置をした代表の一人として……。
部屋には30人程度の血気盛んそうな若者たちがいる。
昔から戦い大好きっ子とはウマが合わない。
ここにいるだけで息苦しい……。
討伐隊のメンバーが全員集まったのだろうメンデルさんが前に立って話始める。
「今夜は原則として二人一組で行動してもらう。作戦というかやることは基本的に夜の街をパトロールしてもらい、怪しいものを見つけたらそのままそのまま尾行してほしい。決定的な証拠が欲しいから、誰かが襲われそうになるまで待つこと。犯人だと確信した時点で二人組の片方が襲われている人の助けに入り、もう片方が本部まで連絡し、増援の要請をしてほしい。残念だけど辻斬りが現れるのは真夜中で閃光弾や音爆弾は使えない。急いで走ってきてくれ。本部に向かう途中で味方の班があるようならその時点で声をかけてくれてかまわない。2人組には必ず戦えるものと戦争経験者ではない者で組ませる。班の組み合わせと担当エリアはこの紙に書かれている通りに!」
渡された紙には当然私の名前は書かれていない。
だって私は戦闘経験がないばかりか、足だって遅い。
何で私はここに呼ばれたんだ?
もう帰りたいんだが……。
「本部には必ず私かここにいるオーネンスがいる。ここに連絡を入れてほしい。」
オーネンスと紹介された男は一礼する。かけているメガネのせいか、いかにも知略で戦いますと言った風貌で頭がいいことがうかがい知れる……。というか最近までどこにいたんだその男!全然見かけなかったぞ!
そいつがいればわざわざ私が装置を作ったり、設置したりしなくてもよさそうなのに……。
本当になんで呼ばれたんだ?
「あと言い忘れたが辻斬りに遭遇したらできるだけ地図に印があるエリアに誘導してほしい。そこには辻斬りを捕獲するための罠がある。ここにいるブロームさんが作ってくれた。」
その場にいる全員の視線が一斉に集まる。
ここで来たか!
なんだ?一礼すればいいのか?
とりあえずさっきのオーネンスと同じ動きをする……。
って!
まさかそんなことのためだけに呼んだんじゃないだろうな!
「おそらく過去の被害から考えるに辻斬りは結構な手練れだ。自力では勝てない可能性が高い!しっかり使い方をブロームさんに説明してもらうから心して聞くように!」
おっと、まあそのくらいはそうだよな……。
ここはガツンと言って戦ってばかりの戦闘オタクどもに本当の頭の良さってものを教えてやるか!
「えっと、この装置は平たくいうと雀取りみたいなものだ。ロープで釣ってある檻がある。近くにあるロープを斬れば落ちてくるという寸法だ。つまり、敵に気付かれないように誘導し、そこで閉じ込める!」
聞いてる人たちの反応は……、表情が何一つ変わってない……。
あれ?思ったより感触がない……。
「……それだけだ。」
まあ、所詮はメンデルさんに言われたままに作った装置だ。この程度だろう。
「まあ、辻斬りを捕まえるための準備がいまいちできてないから、シンプルなものになった。」
お前が作れって言ったんだろうが!
「罠があることはあまり意識しなくていい。敵に悟られるのが一番厄介だ。基本的に辻斬りを抑えるのは数に頼ってくれ!」
じゃあ、なんで作ったんだよ!
「以上だ。誰か聞いておきたいことはあるか?まあ、やっている最中でも構わないけどな。」
……疲れたわ!もう帰らせろ!
「じゃあ、最後にこの国の大臣の一人としてブロームさん何か士気の高まる一言をお願いします。」
……は?
私が締めるの?
そんないきなり……。
「皆さん、平和のためにエイエイオー」
……。
……よし、帰ろう。




