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キーデル、4

「ああ、俺の番だね……。何かもう、勝手だけどやりつくした感があるんだが……。えー、俺はゴルジオ様を見張っていたわけだけど……、結果から言って黒っぽいところが全く見つからなかった。あの人飲んでは遊んでの繰り返しで仕事すらまともにやってない……。」

「それは大変だな……。仕事が……。」

グレンが同情してくれた。

分かってくれるか……、俺の苦労が……。


「とにかく事務仕事は俺に回ってくる。

一応、俺の上にはギミーというゴルジオ軍参謀がいるのだが……、あいつ、ゴルジオに殴られる以外の仕事をしねぇ!もう、俺にも殴らせろって言いたい……。

最近仲良くなったオーネンスさんが手伝ってくれるんだけどそれでもやることが多いんだよな。もうあいつらにも少しやらせたいぐらいだ。簡単な奴、例えば判子を押すだけの奴とかならできるだろうけど……、俺一人でやるよりも時間がかかったりする……。付き合ってみると意外といい奴なんだが、如何せんバカすぎる。」

「おい!仕事の愚痴になってるぞ!」

グレンがヤジを飛ばす。

「たまには溜まっているものを吐き出したい時があるんだ……。わかってくれ……。」

こいつらは頭がいいから言わなくてもわかってくれるだろうけど、捌け口にしてごめんな……。


ちょっとした間の後、グレンが話を本来の目的に戻す。

「それでキーデル。ゴルジオ様はどうだ?」

「まあ、あの人は犯人じゃないと思うよ。根拠は……、さっきフレロレに散々怒っちゃったけど根拠はバカだから……。計画とか立てられないからな、あいつ。俺もよく考えたら根拠なかったわ。さっきはごめん、フレロレ。」

「いや、もういいよ。その件はこっちこそごめんね。」

まあ、ここはお互いさまってことで……。


「あともう一つごめんだけど、トルニエ様を捕まえたときのゴルジオ軍の足取りをもう一度教えてくれないかな?」

どうしたんだフレロレ?

その話は本部があった時に何度も説明しただろ……。

そういや、勘なんてあまりに不確定要素の強いことを言うあたりいつものフレロレではないのかもしれない。

こいつも心に何か溜まっているのか?

まあ、詮索するのも野暮だし、フレロレの気のすむままにここは言っといてやるか……。


「ええっと、俺たちはその日の前日に北区に入った。理由はお察しの通り、ゴルジオの女遊びで……。俺も行きたくなかったけどつき合わされた……。あいつがしない仕事を俺が片づけてやってるっていうのに親睦会だとかで全員行くとか言って強引に邪魔しやがって……。おっと、それで明けて事件の日、南区の駐屯所に帰る途中で異様な人盛りを発見して、様子を見に行ったら反乱を企てているグループで、その中にトルニエ様を発見したって感じ。その中に中心になっていた人物がいなかったから捕まえられなくてね。取り敢えず大人物であるトルニエ様を抑えた。他の人はなんか反乱を起こす気はあったみたいだけど、全員収容できる牢がなかったから住んでる場所と名前を控えて解放したらしい。トルニエ様を捕まえた時点で俺はスライルさんに報告しなきゃって焦って王宮に向かっていたからな。」

「ふーん、何度もごめ――。」

「なんだか元気な声が聞こえてくるわね。そんな元気なお客様にちょっとサービス……。って!ちょっとグレン!こんなところで何してるのよ!」

扉がいきなり開いたと思ったら大きな声でグレンの姉ちゃんが入ってきた。


……忘れてた。ここは台風の通り道だってことを。

始まる前はすぐに台風が来て場所を追われることになると思っていたけど、フレロレの意見に反対するのに躍起になっていたらすっかり忘れてた……。


「うわ!なんだよ、姉ちゃん!」

慌てるグレン……。

こうなることは予想できただろうに……、何をそんなに……。

「なんだよじゃないわよ!あんた今日仕事探しに行ったんじゃないの!?」

「そんなこと言ってねーじゃん!それより勝手に入ってくるなよな!」

「何言ってんの!仕事クビになったくせにこんなところで油売って……。何考えてんの!」

この捜査が非公式だからスライルさんのところに行かなくなった以上そう言うしかなかったのだろう……。

哀れ、グレン。


そう言えば第2世代捜査隊って名前ダサいから変えようって言いたかったんだけど……。

「あんたをこんなにだらしに子に育てた覚えはないわよ!大体あんたは――。」

もう、終わりそうにない。


フレロレと目を合わせ、苦笑いをする。

こうして第一回報告会は微妙な感じで終わった。


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