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グレン、3

長らく放置していてすみませんでした。

このままだと……、気分が悪いので今日から再開します。

それに際して、以前まで上がっていた分を話の内容はそんなに変わってはいませんが一度再編集しました。


どうぞよろしくお願いします。


トルニエ事件から早3か月、あの日から俺たちは一つも成長していない。


トルニエ事件は一般には知られていない。トルニエという名前は国民には恐ろしいほど力がある。情報封鎖までして国民の耳には入らないようにしている。

ただそのせいで捜査にかかわれる人材も限られてしまい、大々的に捜査することができない。捜査員はスライルさん、メンデル様、ブローム様、バルテニー様、ナートル様に俺とフレロレがスライルさんのサポートとして、あと検挙者であるゴルジオ様……の代わりでキーデルの8人いたのだが、スライルさんとメンデル様、そしてキーデル以外は積極的に参加しようとしなかった。それから徐々に熱が冷めていき、進展しない事態と5人会議の多忙化などを理由に消滅してしまった。いやもちろんまったく会議がなくなったわけではないが、一番の原因はスライルさんだろう……。トルニエ様が牢に入ってから何週間かは考えたり、見張ったりいろいろと忙しそうに捜査していた。それと同時に国の様々な政策を決め、多忙を極める中、何とかやっていたが、あれからトルニエ様の周りでというかこの国のどこにも何も起こらず、次第にボーっとする時間が増えた。今では5人会議の方も手につかない始末だ。

対策本部ももうただの空き部屋に戻ってしまった。


このままではまずい……。

俺たちは何一つ変われていないが街は、人は変わっていく。

この街に日に日に仕事や出世を求めて人が流れて来る。

日々新しいものが生まれる。

このままでは人が溢れ、統制がとれなくなり、国が……。

俺に何かできることはないのか……。

トルニエ様を牢にとどめた張本人としてこのままでは寝覚めが悪い……。


「なあ、フレロレ。これから俺たちはどうしたらいいと思う?」

王宮のテラスで風に当たりながら一緒に昼飯のサンドイッチを咥えてながらぼそっと聞いてみた。

「……何の話?」

突然の質問に困惑した表情で聞き返すフレロレ。

質問が突飛すぎた……。

というか順を追って説明したとしてこの話は意味があるのだろうか。

国がどうこうという話は俺たちの仕事ではない。それでもここに誕生したこの国が悪くなるところは見たくない。俺にできることがあれば何とかしたいと思っていたが……。何も思いつかない。所詮俺は戦うために生まれた戦闘マシーン。敵の国を亡ぼすことはできても自分の国を支えることはできない……。


「いや、なんでもない……。」

何もできない無力な俺を太陽があざ笑うように頭上で輝き体から嫌な汗が流れる。

「はっきり言わないとわからないよ、最近グレンもグレンらしくないよね。」

こういう時はっきり言うフレロレのことは割と好きだが、今は黙っていて欲しい。


「じゃあ、言うけどこの国の話だよ!」

ぶっきらぼうに答える。ちゃんと言わないとフレロレは納得しない。言ったところでどうせフレロレだって同じだろ!


「確かにこのままじゃダメだね。この国はスライルさんだ。あの人に余裕がないままだとまたあの戦いしかない時代に戻ってしまうね。」

「そうならないためにはどうすればいいんだ?とは言っても俺たちにそんなたいそうなことはできないだろうけどな。」

「まず、スライルさんの負担を減らさないと!スライルさんが抱えているものは5人会議をはじめとした政策のこと、そしてトルニエ様が捕まった事件の裏にあるものが何かわからないこと。それだけでああなるとは思えないけど、表面的な課題は今のところその2つだと思うよ。」


「……、俺たちにできることはあるか?」

「政策の話は僕たちには、というよりスライルさんと代われる人はいない。からできるとすればトルニエ様の方だけど……。」


それは今までやってきたのではないか?

「……その対策本部はもうずっと動いてない。というか俺たちそれに参加していただろ?いまさら何ができるんだよ!」

何を言ってるんだフレロレは……。

「いやいや、今までやっていたのは話し合いだけだ。それも偏った見方からの一方的な……。捜査もしていたみたいだけど、実際手がかりを真剣に探していた人はいなかったと思う。スライルさんはトルニエ様にまつわる話、メンデル様はゴルジオ様にまつわる話ばかり、キーデルが話をまとめていたけどあまりうまくいってなかった。それもそう、スライルさんもメンデル様も二人の過去の行いからしか見てない。何かを結論づけられるほどの証拠がまだ不十分なんだよ。まあ、捜査員が少なすぎてまとまった方向性が見つかるまで動けなかったってのもあるけど……。」

「要するにフレロレが言いたいのは。新しいというか先入観を持たない人が捜査するべきだってのか?それが俺たちにできることだっていうのか?」

「要するにそういうこと!」

言われてみればあの話し合いはその人がどんな人かってものばかり……。かかわっているのが大人物なだけにそういう話になってしまっていた……。


そうか……。

「よし、それをやろう!俺達で!」

俺たちにできることがあるのなら迷うことはない!それをやろう!

そうだ、この国はスライルさんなんだ。

スライルさんの考えがこの国を支えていく……。

そのスライルさんを支えることがこの国を、この世界を守っていくってことだ。

それを誇りにしていたはずなのにいつの間にか忘れていた……。


……でもちょっと待て。俺たちがそっちの仕事をしてたら、

「スライルさんの警護はどうする?」

それがなんともならなかったら誇りとか言ってる場合じゃない。


「まあ、それはメンデル様に兵を何人か派遣してもらえれば問題ないんじゃない?けど……。」

「けど?」

「本当に僕たちでいいのだろうか?これは国全体にかかわる問題だよ。本当に僕なんかが……。」

フレロレはいつも自分に自信がない……。それが彼のネックだ。

だけど、それを差し引いてもフレロレの頭は俺なんかでは思いもつかないことを思いつける。考えられる。


「大丈夫さ!俺がいれば!俺にお前がいれば!」

俺はお前を知っている。

お前は俺の自信になる。

だから、そんなに心配すんな!

だめならその時また一緒に考えようぜ!




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