ゴルジオ、南駐屯所
数日前、夜の遊び場が多い北区に行ったらまさかの大物が捕まった。
直接1対1で戦ったら間違いなく俺の方が強いが軍対軍なら間違いなく勝てない。あの人が軍を起こす前に捕まえられたのは大仕事なわけで、これで今までもすべての汚名を返上でき、ゴルジオ将軍やっぱすげーって国中がなると思ってたのに……。
「こんちわ、メンデル様の側近だったオーネンスです。本日付でゴルジオ軍に配属になりました。よろしく。」
目の前に立つ独特な、裏表ありそうな暗い雰囲気のメガネの男はそう言った。
「ああ。よろしく。」
「これからゴルジオ様の力になれますよう誠心誠意お仕えしますので会議などの際はぜひお呼びください。基本的に私は自室にいますので……。」
そう言い残し俺の部屋から出ていった……。
……なんだあの男は?なぜあいつをよこしたんだ、メンデルは。
いいことしたじゃないか、俺は。
ゴルジオよくやったなっていうところじゃないのか?
何で今このタイミングで人材を派遣してきたんだ?
しかもあいつメンデルの近くにいるところを何回か見たことあるぞ!
あいつは俺の何に不満があるんだ?
まったくよう。
もともと平和になった今、反乱を起こそうとする人自体稀だ。
トルニエさんの件がある意味初めての仕事だというほどに……。
この国は俺ら政府の役人だけじゃない。
その辺普通に歩いている人にもスライルさんの考えは浸透しているし、それに不満があるという話は見たことも聞いたこともない。
だから俺だって毎日やることなくて酒飲んで女を抱いてってやってるだけなのによ……。
……あの野郎!俺はこれからどうしろってんだ!
「旦那、浮かない顔でどうかしたんすか?」
昔からの部下ギミーが部屋で一人イライラしていると、部屋の外から声をかけてきた。
「別に何でもねぇよ。」
基本的に俺の部下は頭が悪い奴が多い。
昔の荒くれ者だったころの子分だった奴がそのまま部下になった感じだ。
能天気な奴ばかりだ。
……いや、こいつは違った。
「ギミー、ちょっと来い!」
嬉しそうに寄ってくるギミーをとりあえず思いっきり殴った。
吹っ飛んで壁に背中をぶつけたギミーは驚いた顔でこっちを見ている。
「すまない。ちょっと溜まっててな!」
「またですか……、もう。」
またってのは建国記念日の時か……。
「それも含めてお詫びにどっか連れてってやるよ!どこ行きたい。」
「じゃあ、あのかわいい子がいる最近できたバーに連れてって欲しいっす。」
「いいぜ。」
最近、こいつの面倒を見るのが数少ない俺の癒し……。