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キーデル、会議場

「それはどういうことですか!グレン。」

スライル様がグレンに詰め寄る。

グレンも何が何だかわからないようでただただ困惑した目で俺を見つめる。

驚くのも無理もないトルニエ様はスライル様と並ぶこの国の第一人者。

現場を離れたとはいえこの国の成長を誰よりも望んでおられる方だ。

その方が反乱を起こすなど到底考えられない。

そして、仮に反乱を起こしたとしてそんな簡単に捕まるわけがない。

あの人は一か月前まで前線で指揮を執っていた人だ。

勘が鈍ったということもあるまい。

そう考えるのが普通だろう。


ただスライル様がここまで動揺するとは……。

二人には俺が想像できないほどの強い絆があるのだろう。


おっと、眺めている場合ではない。

俺は俺の仕事をしなくては!

「スライル様、私から説明させていただきます。」

とにかく俺の知っている情報をスライル様に伝えなくては!

「私はゴルジオ軍の参謀補佐のキーデルです。そこのグレンとは旧友です。

このたび、我々ゴルジオ軍が見回りということでノーザンに向かいましたところ、何やら武器を手にした怪しげな集団と遭遇いたしました。そこで我々が乗り込み、武装放棄させ、主犯を検挙しますとそこにはトルニエ様がいらっしゃいました。私はもともとトルニエ様のもとにいましたので見間違いということはありません。今は留置所にてトルニエ様を拘束しております。」

「それは本当にトルニエだったのですか?」

スライル様は震える声で尋ねる。

「はい。」

「見間違いということは?」

「ありません。」

それを聞くとスライル様は小難しい顔をしたまま黙り込んでしまった

スライル様にしては稚拙な質問だ。それだけ動揺して頭が回らないのだろう。

他の大臣たちも言葉を失ったまま立ち尽くしている。

彼らの場合は単純に理解が追い付いていないのだろう。

ポカンとした表情をしている。


「動機は聞き出せたの?……でしょうか?」

不意に遠いところから質問が飛んでくる。フレロレだった。

「いや、俺は報告のために早馬で急いできたからわからない。とにかく知らせなきゃって。でもどうして?」

「だって信じられないもの、トルニエ様が反乱を起こそうとするなんて。きっと何か理由があったんじゃないかなって思うんだけど。」

フレロレにしてはいい質問だ。

「確かに俺もそう思う。何か引っかかるんだよな……。グレンはどう思う?」

「え……。ああ、確かにおかしいな。」


その言葉を聞いてスライル様はようやく顔を上げて、いつも見る堂々とした態度で言った。

「そうです。我が親友であるトルニエがそんなことをするはずがありませんでした。これから彼の無実を晴らすために全力を尽くします。」


そうだ、さすがスライル様。

素晴らしい行動力だ。よし、俺も我が師のために全力を尽くすぞ。


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