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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

夢記録①

作者: 埋め太郎

あったかいオレンジ色にどこか安心できる赤色と柔らかな白。

そんな3色がグチャグチャに混ざった。

滲み出る光は眩しいけど消して不快じゃない。

閉じかけた目にそんな色が映った。

心地いい。

凄いいいよ。

ただでさえ瞼が半開きでうとうとしてるってのにこんな心地いい光がカーテンの隙間からから差し込んでるなんて。

これは瞼をとじざるをえない。

それに、いい感じに窓から風が吹いてる。

休日の午後はこれだから。

幸せだ。





9月12日

PM.5時


学校の帰宅途中。広い歩道に横一列で四人が歩いてた。

風が吹いてるのにあまり寒くはない。もう少しで秋に変わろうと夏の風は消えかけていた。

あたし以外3人はクラスが同じだからたまに3人の話に入れない時がある。そんな時は3人の間に挟まることは出来ないから基本一列の道路側の端に避ける。これなら話がわからなくても大丈夫。あたしは前方に迫る妙にスカートの短いJKを避けながら髪型を整える。あたし以外の3人は可愛いポニーテールやら大人びたセミロングやらヘソまで伸びたロングやら。あたしは子供っぽく見えるショートボブ。この前美容師さんにかっこいいワックスの付け方を教えてもらったのに。自分でやるとどうもうまくいかない。以前にクラスメイトの友達にワックスつけない方がいいよとか言われちゃったから、今は付けてないけど。頭のてっぺんを何度も手ぐしでとかしているうちに大きな十字路に差し掛かった。信号を渡ろうとした時あたしたちの前に一台の白い車が勢い良く突っ込んできた、

どわぁっ!?

思わず変な奇声が出た。

ちょっと!危ないじゃんかそこの車!中学生を四人跳ね飛ばすつもりか!?

幸い四人だれも怪我なんかしてなかった。全員の安全を確認している間にあの白い車はもう見えなかった。

その上謝りもしないのかよ!

なんて奴だ!!

そう愚痴を思った時、信号が変わった。これはもう渡れないなと思って四人とも元の位置に引き返した。

それにしても、さっきの車危なかったね。

ホント、何考えてるんだか!

会話をし始めたあたしたちの真横から男の子が走ってきた。その男の子はそのまま道路へと飛び出して行った。



一台の大きな車がその男の子に徐々に接近してくる。





え?え、えっ、え?ちょっと待ってよ。

あたし達健全な中学生にこれから劇的な惨状をみろって言うのか?

冗談じゃない。


そんなことを思った時あたしは瞬間移動をした。

いや、正確には瞬間移動の様に思えるけど実際はもうずっと前から自分の体は動いていたんだ。



男の子と車との間隔

は後わずか。




いつの間にかあたしの頭には男の子を助けることでいっぱいだった。




男の子を引き戻すことや押し避けることが出来ないなら。





あたしはやっと男の子までたどり着くとそのまま男の子の身体を覆う様に抱きしめた。


誰かが頭が痛くなるくらい高い声で叫んでる。誰だろ?

顔を上げると信号の向こう側に多分この男の子のお母さんらしき若い女性が物凄い顔をして叫んでる。

ガッッッ!!!!




あぁ、予想通り凄い痛いやつだこれ。

あたしは男の子を抱きしめたままかなり遠くまで跳ね飛ばされた。

最初に打ったのは背中。次に、顎。膝、肩。

男の子は無事かな。跳ね飛ばされたときには目を開ける余裕なんてなかったけど、しっかりと抱きしめていたから大丈夫なはず。

そう思って十字路の中心らへんに横たわってるあたしは男の子の無事を確信した。

あぁ、良かった。

なんか、凄い痛いのが勝っちゃうけど自分、かっこいいかな。


男の子はあたしの腕から出ると泣きながら親の元へ走って行った。

さっきからずっと突っ立ちっ放しの3人はそのうち一人が泣いてる。もう二人はあたしに近寄ってきた。

あぁ、もう安心だ。

でも、思った以上に出血量が多い。




寝たまま助けが来るまで思い返す。

あたしは、男の子を抱えて、

車に跳ねられて。

でも、幸運な事に。車と接触した部分は背中で、中学校ならではの厚い大きなカバンを背負っていたからそんなに重傷じゃない。


よかったよ、ほんと。


こんな時だけこのカバンの創りを考えた人に感謝だね。


あぁ、でも、やっぱ痛い。










目を覚ます。

濁った青色と幽かな紺色その全体を黒が渦巻いている。

あぁ、心地いい。

凄いいいよ。

怪我してなくて安心した。何処も痛くない。


起きると汗でぐっしょりだった。

あぁ、あれ。夢か。








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