選択B
B:かの を選ぶ(無謀と承知で救出)
「かな、かの を助けに行くよ」
「うん」
恐怖がないわけではない。それどころか罠かもしれない。でも…
見捨てて逃げたらいけない、そんな気がしていた。
もし罠でなかったら、かの が死ぬ。見たわけでもないのに、あり得ないとはどうしても、どうしたって言えなかった。ただ…
「…ただ、俺一人で行くよ」
「なっ、何いってるのよ、私もー」
俺は手を かな の頭に、ぽむっ、とのせた。
「俺なら大丈夫だって、何とかあのシスコンの かの を取り返してくるって!」
「…ほんと?戻ってくる?」
頷いた。言葉に出せなかった。
かの を助けても、俺も助かるかわからない。声に出すと、何か口走ってしまいそうなくらい…
怖いのだ、行くことに対して
罠、ではないとは思ってしまう俺にうんざりする。罠だ、と分かってたら逃げようと思うだろ、普通。それを かな も連れてくことまでだと、なにもできなくなってしまうほどの不足の事態になった時、共倒れになってしまう。
簡単に、足手まといなのだ、かな は。
察してくれたのか、かな は笑った。
「じゃあ、『あの場所』で待ってるから、早く来てよ」
あの場所、すなわちお店だろう。
「ああ、お前らにたらふく食わせてやるよ」
「お、忘れるなよ、親分!」
「ッたりめーだ、兄弟!」
「それを言うなら、『姉弟』でしょ」
「俺下なのか!?」
プッ
笑いあって、別れた。
「「約束!!」」
「忘れないどけよ!」「忘れないでよ!」
血の匂い
メイド隊の壊滅=『ただじゃ済まない』のお墨付き…いや、『生きて返さない』だろう。
料理人達も全滅だったのは、明らかだろう。
ただ、メイド長と料理長がどこにもいない。
生きてるのかな?
「姫君をおいて、死はせんよ」
「うわっ!」
と、俺の心を聞いたかのように答えたのは、中年にしては若い方な男であった。
隣には、メイド長の 宇佐美さん がいた。
「君は初めてだね。この人が『料理長兼事務員長』の『吉原』さんよ」
「どうも、こんにちは」
いや、こんばんは、だろ、今の時間。てか、『事務員長』!!
「ってか、冷静ですね」
「まあ、今までいろんな戦争を見てきたからな」
と、冷静に説明されてもなあ〜。
「ところで かな様 は?」
「あ、かな は…」
と、説明になぜか30分かかった。
「…では、私は かな様 の元に行きます」
と、宇佐美さん は、一瞬で消えた。
「よく一人で来た。褒めてやるわ」
と、女は言った。ほんときれいで困る。あれ?いま 吉原さん から刺さる視線がきたような…
『わたくしは、ここで相手の行動を見ています』
酷くない!?いくら条件付きだからって!
「まあ、そっちにいるのはどの道始末したけど」
パチン!
いい音色の指パッチン。
ボトッ!
何もないところから、肉の塊が…
「よ・し・わ・ら・さん、で〜す!」
疑えなかった。完全に刺さる視線がなくなったからでなく、気配事体がなくなったからだ。
奥には、かの がまだ生きてた。
「約束守ったもの、当然でしょう?」
心読まれやすいな、俺。
「でも、『能力者』に守る約束はないんだよね」
涙目だった かの の首が
落ちた
怒りがわかない。だって、さっきまで生きてたんだぞ。しかも、刃物なしだし。
「貴方もどお?」
結構ですよ
「能力者ってなんだ!」
「あれ、知らないの?突如発生した『流行性アルツハイマー』の真実?」
「真実、だと?」
「そうだよ。だって、ここがあの『研究者』の実家だからてっきり……………あれ、知らないの?」
「知ってるも何も、数日前からの記憶がないんだよ。帰ってくれない?」
まあ、これで引くなら好都合。しかし、勝利を確信した顔で、
「やだ」
の返事だった。
「あのさ、かな に迷惑かけられないのさ。かの を直して帰ってくれよ」
「死んだ人は直せないよ?それに」
かな って子も死んだけど
何言ってるのさ…いま
「宇佐美 ごとね」
あははははははははははは!!
笑い声、綺麗だな。
馬鹿げたことで現実から目をそら…させてくれない
ゴロン
五人の生首
「イッツ・イリュージョン!!どう?」
拍手していた
「では、種も仕掛けもないマジックの終焉でーす」
ありがとうございました!!
まあ、もう思考が回らなかった。グロいマジックだな、これ。
終わりはなんだろう?
終わったら元通りかな?
それが、最後の思考だった。
GAME OVER
…………………………………………CONTINUE?