選択A
A:かな を選ぶ(尻尾を巻いて逃走)
「かな、逃げるぞ!」
「で、でも かの が!」
「きっとハッタリだ、だって、一応元メイドだぞ。家族構成くらい調べてあるさ」
確証はない。だって先刻もいったが、見覚えのない顔だった。俺狙いなのに調べるだろうか?
「…わかった」
声は震えていた。仕方のないことだろう。逃げるしか方法がないのだから。
「…すまない」
「…いいよ、別に」
俺たちは駆け出した。
あの場には、幸いか 綺羅さん はいなかったので、同じく逃げただろう。かの も一緒のはずと信じて…
数日は逃げた。何とか追われずには済んだが、綺羅さんたちとは音信不通だった。
いろいろと周った。おってこない保証さえないのだから。ビジネスホテルで数日は転々としながら過ごした。シャワーとかだと流石にドキドキしてしまうかと思ったが、その余裕さえなくなっていたのにはおどろいた。
余裕の笑いができる奴はきて欲しい。あの『声』でもいいとさえ思う。奴なら上手くやってくれそうだ、と見たことのない奴のことを考えたりもした。
でも、決断も必要だろう。
数日ぶりの帰宅。
散々な家の中
血の匂い
赤い絨毯
それらにより吐き気
あの『声』は、あの日以降聞こえない。
今となっては懐かしく思う。
あの日から かな は喋らなくなった。いや、喋れなくなったのだ。
選択は正しかったのか?
バラバラになった かの の死体。
近くにはメイドたち
見たことはないが、料理長の 吉原さん
メイド長の 宇佐美さん
そして…
「…お母さん」
と、数日ぶりに発した かな の声は、しかし弱々しかった。そう…
綺羅さん が一番ひどい状態だった
全身からのアザ
千切れる手前の血管の繋ぎ目
えぐられた目
切り落とされた五本の指や腕
床に、血で書かれた
『お前はもっと残酷だ』
の字。
「いや…いや…嫌だ…こんななら…」
…死んでた方がマシよ
そうよ
死のう。
無茶言うなよ。どうやって…
タッタッタッ
………………………………。
グシャ
ハッとした。
そうだった、ここ五階だ。
「…後はあなただけなのね」
キレイ、そう思えるほどの笑い声。その主は………言うまでもないだろう。
どうやら、飛び降りでの自殺はさせてくれそうにない。
「どう、楽しんでもらった?私のショウ」
仕掛けもタネもない、現実味もないものが楽しめるものか?
もしドッキリなら、今見えるその鎌はすごいファンタジーっぽいな〜、て言えたのに。
まあ、もうどうでもいいけど。だって…
…ゲームオーバーだから
「おやすみなさい♡」
GAME OVER
…………………………………………CONTINUE?