表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SELECT REMEMBERS 【修正前版】(旧「remember」)  作者: ヨベ キラセス
第三章 私闘と死闘
40/42

ディナーと疑問

「お姉様!これなんか美味しいと思いますよ?」

「うーん、でも高いしねー」

「まあ、金はもらってるから食え食え」

「……ネツのお金じゃないのにね」

「刺さることをいちいち言うなよ」

 そう言いながら、控えめに《安くてめちゃウマ!ハンバーグ》を頼んだ。お嬢様二人は《イチオシ!びっくりステーキ》を頼んでいた


「…うん、分かってたからよこせ」

 結末、二人ともダウン

 ここ最近わかってきたけど、この二人は変なところで似ていた。まあ姉妹だからだけど

 すごく辛い顔をしている二人の皿には、明らかに顔ほどある大きさのステーキがまだ半分も残っていた

 この二人は、食べれもしない大きさのものを頼む癖があり、どうせ止めても聞かないし、終いにはこうなる

「……ごめん…なさい」

「む…無理ですわ……」

「お前らいい加減、食べ物を粗末にしすぎて雷落ちるぞ」

 そう言いつつ、この二人の残り物を俺は平らげるのだった。うん、普通のファミレスでは食わないウマさだ

「ほれ、(俺が持って来た)野菜ぐらいは食うだろ?てか食え。胃にいいから」

「「…いただきます」」

 ムシャムシャと二人はキャベツやトマトなどが入ったミックスベジタブルを食べていた。まあ、サラダバーから厳選したやつだけど

 にしても、肉が好きなのもそうだけど、野菜自体好き嫌いがない二人を見ていると、やはり宇佐美さんや吉原さん、そしてなりより母親の綺羅さんの教育方針の賜物なのかもしれないな。方針知らないけど



 飯を済ませた後、ケロっとしている二人は軽やかに歩いている。それにひきかえ、俺はすごく胃にきている。すごくうまかったのにね

「ほら、早く帰ろうよ〜」

「お姉様〜、彼は置いて帰りましょうよ」

「所詮は一時的な協定が……」

 すっかり嵐は去ったのか、かのはもう俺に慈悲はない

 しかし、さすがにまだ9時前か。よくよく考えたら明日は土曜日。そして何より大人がいない日。これはハメ外していいかもな。しかし今日はテレビで何もないし……

「…なあ かな。今からコンビニ行かないか?」

「え、なんで?」

「いや、菓子食いたい気がしてきたからな。ついでにビデオ屋に行ってなんか借りるか?」

「えー、でもね〜」

「どうせ明日は休みだし、いつもできないようなことしてみようぜ!」

「いつもできないような……先にビデオ屋に行ってるね。お菓子任せた!」

「あ、お姉様!待ってください〜!」

 そう言って、お嬢様はビデオ屋に消えていった。さすがに女子二人は危険な気がするけど、まあ早めに合流すればいいか。それにかなには《複雑怪奇》だって……



 ………何か見落としてる


 そもそも『若年性アルツハイマー』なる病気はあるか?

 そこで挙げられるのは『アルツハイマー』だ。

 前に一度調べた時、大きな特徴は『思考能力、記憶などがゆっくりと障害され、最終的には日常生活の最も単純な作業を行う能力さえも失われる病気』と言うことだ。でも実際俺は今はこうして普通に生活している。それにアルツハイマーは60歳以上に発症するに対し、それよりも若い10歳くらいから発症するから『若年性』となった

 さらには、発症すれば治る可能性は無く、80歳で発症すれば、3、4年しか生きられない

 あくまで調べたのが古いから今は分からない


 しかしこの二つの『アルツハイマー』には決定的に違うところがある

 一つは、もちろん『発症年齢』、さらに一つは『感染型』と言うこと

 そしてもう一つは、『若年性アルツハイマー』には『対抗薬』があること。それにより、記憶などは早くても1年以内には戻っている

 その開発者は、かなの父親『染崎ソメザキ 岸夜キシヤ』。開発当時は36歳という若さで、まだ かなが小6と思われる年の頃だった。彼は様々な功績を残していて、その会見でも

「私は二年前から発症している『若年性アルツハイマー』の特効薬を作りました。これにより、さらなる医学の発展と世界の健康は進むことでしょう」

 と唱えた。今までの実績を踏まえ、世界は彼に注目した。しかしどうしてか、動画で見た時のあの表情は、笑っているはずなのに、凄く怖ろしい目をしていた


 会見から二年後、救世主ともなった岸夜は家族から姿を消した


 彼が残した資料を以前綺羅さんに聞いた

『若年性アルツハイマー』の特効薬には続きがあり、治った後、一定の確率で能力がつく副作用があるらしい。『強弱逆転』はその延長だろう



 さて、ここからがおかしい点だ

 俺が初めて会った時、かなは道路で倒れていたという。それは間違い無いのだろう

 しかしながら、俺も多分『若年性アルツハイマー』だったのだろうし、身体の動かし方は覚えているから、薬は使ったと思っていた。しかし《記憶が何一つ戻らなかった》事がおかしい。これでは俺はどうしてあそこにいたのかわからないし、その後も俺の身内というものは現れる事無く今ここにいる

 さて次に、かなはどうだろう?あいつに記憶障害はなかったし、あいつ自身が気付いていない。しかしあいつには《複雑怪奇》がある。つまり発症者のはずだ

 さらに言うなら、爽果高校にきて分かった《レプリカ》と言うもの。《レプリカ》は基本、《オリジナル》の能力者が力を少量分け与える形で出来るらしい。しかし個人差はあり、俺の《強弱逆転》はそもそも論外らしい

 そして一番はあの《選択肢》とい––––



「……あ、板井の飯どうしよう…」

 すっかり忘れていたもう一人の同居人は、今どうしているだろうか……野たれ死んでればいいな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ