危機、迫るもの…
「たっだいまー!」
『バーン!』と音を立てて、かなは帰ってきた
「おうおかえり」
俺はその元気娘に迎えの言葉を送る
「うん帰っ……いたーー!!」
「………っさいな。耳がキーンとしたぞ」
「だって!ズル休みするなんて私は許しませんよ!!」
「いや、会長に振り回されただけだ」
俺はいつもテンションが高いかなに感心だ。そのテンション、少し消してこい。てかお前ならあの妹のテンション吸っても同じだ。てか吸え、俺の平和のために
「今週はあの二人はいません」
俺はその後に帰ってきた超元気(かな限定)娘も座らせて、険しいと思う俺の顔で言う
「もしかして……」
「まさかそんな……」
「うん、俺の険しい顔の理由を別解釈したようだな」
明らかに二人は真っ赤に、ゆるゆるな顔で、手をこねたりくねくねしたりにぎにぎしたり、明らかにマークを作ったりしている
「別に恋の逃避行とかのピンク思考じゃないぞ」
「なーんだ」
「ざーんねんですわ」
さて、こいつらどう調理してやろうか、凄く気にしていないな、この事の重大さを
「…コホン。あー、吉原さんと宇佐美さんはちょっと屋敷の整理と、別件で調べる事があるらしくて、短くても一週間はいないらしい」
「なんで知ってるの?真っ先に私に言われそうだけど?」
「ああ、それは数時間前にいきなり決まって、さらに一時間前にたじたじで帰ってきた俺と入れ違いだったからだよ」
「一時間前に……」
「…ジト目はやめろ。予想より辛いから」
かなは冷ややかなジト目で俺に抗議してくる。返しようがないから特に辛い。そしてかのはかなにべったりニヘラニヘラ……スゲー、密着時間俺史最長だ
「さて、本題だ」
もう閑話休題で行くしかない
「…まあいいけど」
そういうや、かなはかのを引き剥がした。凄くひっついているから、最後には突っぱねすぎて壁に転がっていったけど。てかここ一応八畳のリビングだぞ
さてここで説明。この物件、一階のみなのはいいけど、ほぼマンションやアパートに近い狭さ。ただ、ローンとかがないこの家は一番楽らしい
貯蓄はまだまだあるらしいが、さすがにあそこにいた時と比べて酷い減りではあるらしい。あれからあの二人は午前はバイトに出ている。俺もそろそろするかな
なので飯も豪華ではなく……まあ俺はこっちが好きなんだが、かのが少しうるさい時があるくらい。あの宇佐美さんの目はほんと怖い……作ってるの吉原さんなのにね。本当に出来てたりして………なんか悪寒がした
と、言うことは……
「…これから一週間、飯は俺たちで作らないといけない」
目で俺はかのを見た
…協力しろ、死にたくなければ
それに対しての答えは、目でわかった
…やぶさかではありますが、一枚噛みましょう
「そんなの、わた」
「あー!ならばファミレスはいかがでしょうか?」
いいタイミングでかなの発言をかのは遮った。さすがのシスコンも身の危険は感じているらしい
「いや、わ」
「おー!それはいい!たまにはファミレス行こう!!」
「えっと、だからわ」
「でしたら出発ですね!『すぐ』に!!」
「そうだな。『すぐ』!!」
「だーかーら、わた……ってきゃあ!!」
「「さー出発だ!」」
「なんか団結してない?!」
「「仲良しだから!!」」
そのまま、反論を許さないままかなを引っ張って家を後にした
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『では、私達はしばらく空けますので』
『了解です』
『最悪の時のことは考えて……ファミレス代は渡しときます…三食含めた一週間分は』
険しい顔で渡された金額は、想定の倍くらいだ。やはり危機は感じているらしい、かなの料理には。下手するとレトルトも……ダークマ…
『では、後は任せました』
『生きて会えると信じてます』
『不吉なことは言わないでください、吉原さん。そう言えば内容は?』
『はい。一番は屋敷の整理ですが……』
『有力な情報があったので、私たち直々に調査です』
言うたびに端切れ悪くなった宇佐美さんに代わり、吉原さんが答えた
『有力な情報?』
『はい。それも3つほど』
『それも直々に出るほど…ってことは』
『はい。その通りでございます……お嬢様方には御内密に』
……綺羅様とご当主様、そして襲撃してきた『クニコ』の目撃情報がありましたので確かめにです