鹿原の心 (1)
……殺す
…あいつは許されないことをした
……あいつは裏切った
…あいつを殺す
……その前にあいつの周りを殺す
…誰を殺す?
……誰が適任かな?
…あいつに深く関わったやつがいい
……あいつの思い人が適任
…ならばあいつが一番だ
……誰が一番かな?
…そんなの分かっているくせに
コロシテ、『サラシクビ』ニシヨウ………
…………………………………………………
キーンコーン、カーンコーン♫
「………」
「……えっと…鹿原、さん?そろそろ下校時間よ?」
「あ、すみませんでした。すぐに下校します」
校舎の見回りの当番だった担任教師に一礼し、校舎を出た
奴は午後をふけた
その事実は、即急に対処しないといけない現状になったことを彼女に思わせたのだ
校舎を出て、人通りが少ないところに来た
誰がに付けられている
彼女はその事実の対処にも勤めないといけない。付けられる分には構わない。しかし、それでもしもの時に相手に情報が漏れるのは避けたい
彼女は廃墟ビルが囲む外周区に来た
「………」
「…誰だ!」
彼女はスカートに隠していた短刀を背後を向いて投げた。それを相手は軽々と避けて、姿を見せる気がないのか、廃棄を活用して走って逃げていった
逃す気は、ない
短刀に付けていた鎖を引いて手元に戻した彼女は、追う
「待ちなさい!逃す気はありません」
「………」
相手は完全に見えなくなる前に捕捉した。相手はフードを深くかぶっていたため顔が見えない上、服装自体がマントなので体型がわからないし足も見えない
「警告します。直ちに停止し、事情説明さえあれば場合によっては見逃します」
「………」
相手は止まる気すらないらしく、だんだんと差を開いてきた
彼女は唇を噛んだ
「…ならば、戦闘行為を再開します」
そして鎖をまわし、狙った
相手の足に刺さる
「…!?」
相手は足に刺さる短刀による激痛で脚を縺れさせて倒れた
短刀には毒も塗られていて、二〜三日は動けないだろう。致死にまでは追い込まない。情報を受け取るまでは
鎖のもう片方にもある短刀を相手に向けた
「……慈悲をあげましょう。そのフードを脱ぎ、あなたの––––」
そこで予想外なことが起きた
相手は手に携帯を持っていた。その携帯の画面をこちらに向け……
……て、夕焼けが一変して夜になり、相手が消えていた
「…逃げられた」
彼女にとって、初めて対象を逃した瞬間だった
「……クク…アハハ……アハハハハハ!!」
あまりにありえない現象。ならばこれは能力。さらにはその能力者ですら逃げられない私の戦闘の能力を使う前に……
ヤツの仲間、ヤツの友人…
そこまでわかれば、あとは絞れるだろう
彼女は廃墟ビルの街の中心で笑った