気分転換
「ヨッシャー!私の勝ち〜!!」
現在、0勝50敗。この人、できる!!
「てか《ス○リート・ファイ○ー》とか、いつの時代のもんですか!?もう古いっすよ」
「あー、君今全国のハイランカー格ゲープレイヤー敵に回したー。フルボッコに合うからねー」
「・・・確かに危険かもな」
俺はついつい納得してしまった。確かにリアルむきむき男がいたら殺されるかもな、精神的に……
てかこの人、性格的にはそれっぽいのに、それ以上の実力を持っていた。俺、昔強かったと感じていたけど、それ以上とは。てか俺昔やってたのか?それならスゲーな俺って
「てか、やっぱ『会長』って人に見えねーな」
「そうかなー?」
「だって、もう学校の見本になる人だろ?」
「学年はトップよ?」
「いやいや、学力だけじゃなくて運動はい」
んちき、と言いかけた時、目の前に座って画面を向いていたはずの庄子はいない。そしてその理由を俺は知っているし、それに気付くことはあったけど、もう手遅れだった
「ん?何かなー?」
「……いえ、何も」
後ろから、裸締めのスタンバイをされた
「あ、そうそう」
「あの、離してくれません?」
「ダーメ」
そしてこの会長は人目を気にせず、ただ抱きついている女子と、抱きつかれている男子にしか見えない。てか、意外と胸があるから余計だ
「いや、マジで離してください」
「でさー、話があってさー」
どうやら無視する気らしい。斎木、お前の気持ちが少しわかったよ
「だが断る」
「あーっ」
俺はなんとか脱出した。さすがに今の時間にゲーセンに来る人など限られている。こんなことしてたら危険極まりない
「あーあ、せっかく抱き心地良かったのに」
「俺は抱き枕じゃありません。それよりなんですか?」
「いや、君は抱き枕に向いてるよ。そうそう、インチキついでに君に折り入って頼みがあったのだよ」
「その認識改めてください。それと、面倒な頼みならドタキャンするデメリット付きですがそれでいいなら」
「認識は改めないよー。それで構わないさ」
なんという事だ。二つの話題を同時進行している、だと……まあ俺もできてるか
「いやー、君になら適役かと思ってね」
「敵役には回りませんよ」
「特撮の時はよろしくね」
「嫌だからしませんよ」
「ごめーん…話折らないでくれる?」
そういうや、少しハイライトなくなった目で、そして腹にはブローが飛んだ。痛い。冗談抜きで痛い。あのゲームに物理的に参加できそうだ。○竜拳よりも威力あるかも
実を言うと、実際痛くないから
みなさん忘れてないでしょうか。俺の能力は『強弱逆転』。つまり《力が反転する》のだ。どんな基準でかはわからないけど...
子供の拳くらいでノックダウン、ボクサーのアッパーでかすり傷な正反対さ。それで痛くないって事は、絶対痛いやつだろう。精神的にダメージがデカイ俺。一般人じゃなくてよかった