形勢逆転
悪夢から目が覚めた。いや、戻ってきたのだ。
…お疲れ〜、ネツ
「やっと戻ってこれた〜」
「え?何から?」
と、状況のつかめていない者、1名。
「それは後だ。それより、かの を助けに行くぞ!」
「き、危険だって!警察を待とうよ」
「警察で対処できればだけどな」
…まあ、無理だろうね
同意見だ。
「かな、君は…」
と言いかけて、出そうになった言葉を飲み込む。
「かな、一緒に来てくれないか?」
ーでないと、かな も死ぬ
そう何故か思えた。
「…うん。私も行くわ」
「ありがとう。あと俺から半径15メートルは離れないでくれ」
「…なんか、中途半端な円ね…分かったわ、守るわ」
「すまない」
…でないと、発動距離から外れるものね
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
血の匂い
メイド隊の壊滅=『ただじゃ済まない』のお墨付き…いや、『生きて返さない』だろう。
料理人達も全滅だったのは、明らかだろう。
ただ、メイド長と料理長がどこにもいない。
生きてるのかな?
てか、デジャヴ?
「あ、宇佐美さん だわ!」
と、駆け出す かな
早速忘れてるようだ
俺も距離をとられないように駆け出す
安心したのか、かな は涙をこぼす
なだめる 宇佐美さん
宇佐美さん の隣にいる、中年にしては若い男は、恐らく『料理長』の 吉原さん だろう。
かな が落ち着いた頃に自己紹介された。
「わたくし、『料理長兼事務員長』の『吉原 鈴木』と申します」
と、一見優しそうな人に見えたが、目が『お嬢様をたぶらかすハエは、私が殺す』と言っていた。
「で、宇佐美さん、あの女の人って…」
「残念ながら、把握できてなかった私どもが原因です…かなお嬢様、申し訳ございません…」
「いいえ、あなたのせいではございませんよ、宇佐美さん。私たちも分からなかったもの」
「ですがー」
「まあまあ、宇佐美 の嬢ちゃん、誰も悪くないんだから、自分を責めるな。お嬢様の前で…」
なんか説得力があるな、この人
「…正直言いますと、彼女は武器をもっていません。ですが、不可思議なのです」
「不可思議、とは?」
「はい。武器なしなのに、銃声があり、実際に打たれているんです」
「そんな………」
3人は絶望している。しかし、この状況で冷静に把握してるのは俺らしい。
…やっぱり
ああ、やっぱり
『あの能力者』の部類だろう
相手の能力を知る必要がありそうだ
「じゃあ、行きますか」
「「「えっ!?」」」
バカを見る目だった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「とっつにゅう!!」
と、陽気に行く俺
「バカーーー!」
と、泣きながらくる かな。
「…クスッ」
と、笑気味の 宇佐美さん
「やれやれ…」
と、後で説教する目つきでの 吉原さん
「ねえねえ、バカなの?ねえ、バカなの??」
と、笑い出す手前で聞いてきた 美人
「あっ、その言い方、も〜らいっと……ああ、バカさ。宇宙一のな」
「あはは、アハハハハハハハ!!いや〜、面白いね、君。『希少種』だからかな〜?」
「いや、元々さ」
「クハハッ!まあ、いいけどさ」
奥にはちゃんと かの がいた。
「その奥のシスコン、返してくれないかな?」
「や・だ・ね!!」
「…そうか……ならー」
ー 力尽くで行くぜ!!
ダッシュ!
「ネツ!!」
かな は叫ぶ
「ヒャハハッ!バーカバーカ!!」
と、指を鳴らす 美人。てか、下品になってきたぞ、この女
タン
銃声だ
しかも胸に命中だ
しかし
「な、なぜ動けるのよ、あんた」
…そりゃ痛くないからだよ〜
俺のセリフ、奪うなよ
…いいじゃん、減るもんじゃないし
俺のセリフが減るわ!
「余裕かましてんじゃね〜ぞ、ガキ!!」
とうとう上品に見えなくなった女王が、かの を殺そうとしている。
「これ以上近づくなよ、希少種!!この女がどうなってもいいのか!?」
切羽詰まってるらしい。早く楽にしてやろう。
「ち、近づくなー!!」
「やめて!ネツ!!」
「ネツ様ー!」
「やめろー!少年!!」
なんか仲間まで止めに来たぞ、これ。後で叱られそうだな
カツ、カツ、カツ
足の音が響く
カツ、カツ、カツ、カツ
「来るなー!」
タン
俺に向けた、目に見えない銃弾は、威力を持たなかった。
カツ、カツ、カツ、カツ、カツ、カツ
「来るな!来るな!!来るなー!!!」
タン
今度は かの に向かってだ。
崩れ落ちる かの
顔を覆う かな
涙を流す 宇佐美さん
怒りに燃える 吉原さん
勝ち誇った 美人まがい
笑い出した、『声』改め『板井』
驚愕の顔でいる、美人まがい
信じられない光景を見る、後ろ三人
笑いこける 板井
「お姉様がしゅ……」
と寝言を言う かの
「な、な、な」
「何故かって?流石に『能力』までは知らないのか」
ビクン!とはねた。
至近距離で話す
「お姉さんも、『四字熟語意味発揮能力者』でしょう?お姉さんは、どんな『四字熟語』なの?」