第3話:部活動
最近寒くなってきましたね。作者も最近寒さのせいか、風邪気味なんですよ。
ここ神奈川県立○×高等学校は、生徒の部活入部率が9割という部活動の盛んな学校であった。拓人は学校の掲示板の中で部活動の貼り紙を見ていた。
「へ~、いろいろあるんだな。」彼の前いた群馬の高校ではここほど部活動が盛んではなく、部活動の種類も少なかった。しかし、この学校では、野球部やサッカー部などのメジャーな部から、アウトドア部やボランティア部など群馬の学校にはなかった失礼な言い方だが、マイナーな部活などもあった。
「なあなあ、みんなは一体どこの部活に入ってるん?」
「部活?」竜介と直美、そして休み時間に毎回ここに来る美代が口を揃えていった。
「私は新聞部・・・」
「それは知ってる。」見よが言っている途中で拓人が言った。美代から視線(もちろん悪い)を感じるが気にしないようにして竜介と直美に聞いた。
「俺は”熊を倒そう部”に入っているが。」
「なんだその部活!?」またおかしな事を言ってきた竜介。
「知っているか!熊はな、”地上最強”の動物なんだぞ。3m近くもある巨体に、強靭な筋肉から放たれるパンチはどんな動物もKOする!それを生身で倒すのを目標にしているのがこの”熊を倒そう部”だ!」
「だぶんKOどころか即天に召されると思うぞ。」修造のように熱く語っている竜介に拓人は少し引いているが、拓人はそんな竜介にこんな質問をしてみた。
「思ったんだけど?その部活ってほかに誰が入ってるの?」
「ん?俺ひとりだが。」
「えぇ!?」また思っていたことと違う答えが帰ってきて驚く拓人。
「たーちん、”熊を倒そう部”ってたしか承認されなかったから部活動ではないはずだよ。」さらっと直美が言った。それを聞いて拓人は「そらそうだろ!」と思った。
「なぁ拓人、頼むよ。たぶん承認されなかったのも人数の問題だったと思うから一緒に入ろうぜ。」
「たぶん人数の問題じゃないと思う。」拓人は竜介に冷静な突っ込みを入れた。どんなやつでもこんな部活を承認する奴はいないと思う・・・たぶん。
「そういえば犬神さんは何部に入ってるの?」竜介の訳の分からない話を頭から切り替えるために拓人は直美に質問した。
「わたしは・・・ですね」直美は手を顎にあて、考える人のようなカッコになってしばらく考え込んで、答えた。
「まずヒント、私のいる部活の在籍人数は210名いるんですよ」なんかいきなりクイズみたいになっているが、まぁ、面白そうだから乗ってやるかと拓人は思った。ちなみに、この高校の生徒数は2100名である。つまり、210名は全校生徒の1割もいるのである。
「・・・ん?待てよ・・・」拓人は何かを思い出した。この学校の部活加入率は9割・・・もしかして。拓人の頭はあることを考え出した。
「犬神さんもしかしてだけど、君の入っている部活って・・・”帰宅部”?」
「はい!」明るく元気な声で答える直美だが、拓人は呆れた表情を浮かべていた。
「犬神さん・・・帰宅部は部活じゃないですよ・・・」ため息をつきながら発言する拓人だが、それでも直美は言った。
「でも、”部”ってついているから部活ですよ。それに帰宅部は帰宅部なりに”やること”があるんです!」今度は得意げな声で直美は言った。
「それは・・汗水たらして必死に練習している運動部に早く帰れる姿を見せることです!!」
「なんて悪趣味な!」”ドーン”という擬音が聞こえるようなドヤ顔で堂々とした声で直美は言い放った。
「おかしいと思ったんだ。無所属のお前がいつ部活に入ったんだと思ったら。」と後で竜介が呟いた。
数日後、結局彼は帰宅部に所属したという。