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セイクリッド・ブレイカー  作者: あすぎめむい
第1話 始まり VS先陣の聖騎士
3/31

フェイズ1

 『セイクリッド・ブレイカー』


 最近世界で流行りだしたカードゲームだ。


 俺、夢咲(ゆめさき) (そう)もそのカードゲームにハマった一人だ。


 俺は数少ない友人を集め、競い合い、そして――。






「……はぁ。正直、面倒だなあ」


 今日から俺は高校生なのだ。


 俺がこの高校を選んだ訳は家が近いことと、校風が自分好みだったからだった。


 入学式を終えて、自分のクラスに仕方なく向かおうとした時、一人の女の子とすれ違った。


 制服を見る限り、俺と同学年。背は高校生として……というか中学生としても低く茶色の髪は少し長めだ。


 気になったのは彼女が大事に抱えていた、『みき』と書かれた小さな箱。ちょうどカードが入るくらいの大きさだった。


 この容姿、どこかで見たことあるような……。


「ま、気のせいか」


 同じ学校ならまたどこかで合えるしな。俺はそのまま自分のクラスへ向かった。






 先ほどすれ違った女の子の名前は花園(はなぞの) みきというらしい。


 俺と同じクラスだったのだ。


 彼女は数日でクラスに打ち解け、マスコット的存在になっていた。


 どうしても入学式の日に持っていたあの箱が気になるのだが、俺と彼女に接点など無かった。


 一方俺は……。


「結局、誰もカードゲームをやっていない、か……」


 俺は肩を落とした。


「おいおい、爽。なんでそんなに落ち込んでいるんだ?」


 このクラスで初めての友人の勇気(ゆうき)が訊いてくる。


「俺はカードゲームはできないけど、きっと誰かはやっていると思うぞ」


 この数日間話して分かったのだが、彼は苦学生らしい。流石にカードゲームに誘うのは気が引けた。


「ありがとな、勇気。気長に探してみるよ」


 突然、勇気は声を落として聞いてきた。


「ところで、さっきから花園さんが、お前をちら見しているんだが……?」


 俺は花園さんの方を見てみたが、彼女は女子たちと雑談を楽しんでいた。


 こちらなど気にしていない。


「気のせいだと思うけど……?」


「……まあ、いっか。そんで、部活は俺は普通に運動系にするがお前はどうするんだ?」


「ああ……、もちろん『TCG同好会』。……昔のちょっとした知り合いに誘われて」


「爽の知り合い、ねえ。まあ機会があったら俺にも紹介してくれよ」


 その後も他愛のない話をした後、授業のチャイムが鳴った。






「ここか……」


 放課後、俺は学校の端にある部活用教室の前にいた。ドアには『TCG同好会』と書かれてある。


 今日は仮入部の日、他の男子は運動系の部活を見に行っている。この部屋の前にいるのは俺だけだ。


 ドアノブを握るのにいくらか躊躇った後、決心して俺はドアを開けた。


「あの、梓さんはいま――」


「え? ……夢咲さん?」


 ……目の前にいた花園さんと目があった。

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