表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セイクリッド・ブレイカー  作者: あすぎめむい
第2話 日常 VS黒衣の人狼
19/31

フェイズ3

・今日のカード紹介。


爽「今日のカード紹介。お相手は、作者に『よく負ける主人公』と言われている夢咲 爽と――」


みき「作者に『初心者だけど伸び城が大きい』と言われている花園 みきがお送りいたします」


爽「紹介するカードは、《竜王 イグドラシル》だ!」


みき「あれ? 夢咲君も竜王ってカードを持っていませんでしたか?」


爽「ああ、あれは《竜王 メイルシュトローム》だね。他にも青には《竜王 シュトロム》だとか、《竜王 ノア》だとか……、まぁ、それはともかく。《竜王 イグドラシル》は、強力な足止め能力と、高いパワーを持つカードだよ」


みき「竜王はカード名のスケールが大きいですね。嵐に、ノアの箱舟に、北欧神話の大木ですか」


爽「竜王は一部の例外を除いて災害の名前がつくんだ。イグドラシルは災害じゃないけど……」


みき「レーヴァテインに焼かれて、神様の時代は終わってしまうんですよね……」

「出撃ステップ、2体目の狩人を出撃。メインステップ、狩人の効果を使用する。四葉のパワーをプラス2、そしてパワーを上げた四葉でイクリプスを攻撃!」


 イクリプス7→4


「そんなもん、痛くもかゆくもないぜ」


「そうか? その油断が敗北を招かなければいいな」


「何だと!?」


 大野先輩を逆上させかけるが、鷹野先輩は無視して自分のターンを再開する。


「そのままソウルステップ。手札から4枚、デッキから1枚をイグドラシルだ」


 大野先輩は焦っている。場の主導権を握っているのは大野先輩だが、鷹野先輩に3ダメージしか与えられていないのだ。対して彼はイクリプスの効果でライフは残り7。イクリプスがいるのでまず無いが、直接攻撃を食らえばそれだけでゲームが終わってしまいかねないのだ。


 鷹野先輩は最後まで冷静を保っている。ずっと劣勢なのにものすごい精神力だ。


「俺のターン! 『出撃ステップ』で《氷牙フェンリル アイスピック》を出撃。……今度こそ四葉を倒してやる。アイスバーンとアイスピックで狩人を倒せ!」


 狩人3→2→0


 ……なんか、狩人ずっとかませ犬だなぁ……。


「さあ、イクリプス! お前の出番だ! 四葉を倒せぇ!」


 今度は鷹野先輩もどうしようもないようだった。


 四葉3→0


「これで終わらせるぜ! 2体目のイクリプスをセット。ソウルに6枚置いてターン終了だ」


 インターセプトが発動すれば、連続攻撃は防がれてしまう。厳しい展開だ。


「……お前は一つ間違いをしている」


 鷹野先輩は誰にでもなく――どう考えても大野先輩に言っているのだが――つぶやいた。


 もちろんそれに大野先輩が反応する。


「なんだよ」


「俺は四葉を守っていたのではない。お前を四葉を倒すことに集中させただけだ。そして、これがその証拠だ。俺のターン、《竜王 イグドラシル》を出撃させる! イグドラシルの効果を使用! 出撃時、コストを支払うことで相手ユニットを待機ゾーンに戻す!」


「な、なんだと!?」


 《竜王 イグドラシル》 色:緑 所属:ナチュラル・ドラゴン コスト:9 パワー7


 効果:[自動(このカードの出撃時)]コストX このカードの出撃時、コストを支払っても良い。払った場合、コストX以下のソウルを持つユニットを全て待機ゾーンに置く。


「4コストを支払い……、大野のユニットを全て待機ゾーンへ」


「な!? 俺の場のモンスターが!?」


「お前の待機ゾーンにはインターセプトを持つユニットがいるが……一撃で終わらせれば何も問題は、無い! イグドラシルで大野を攻撃!」


「対抗策が、無い……。俺の、負けだ」


 そう言うと、大野先輩は椅子に深く腰掛けた。


「よっし。これでパンは僕の――」


 拍手の音がする。後ろを振り向くと梓さんが手を叩いていた。


「よい勝負だった、ごちそうさま。……で、なんで戦っていたのかい?」


 ん、なんだ? 今、「ごちそうさま」って言わなかったか?


 固い動きで大野先輩と鷹野先輩が梓さんの方を向く。


「「ここにメロンパンが置いてなかったか?」」


 梓さんはキョトンとして答えた。


「ここにあったメロンパンなら私が頂いたが。何か問題でもあったか?」


 梓さんは首を傾げて良く分からないという表情する。が、俺と花園さんは、滝のように冷や汗を掻いていた……。ゆらりとした動きで二人の先輩が立ちあがり、そして同時に叫ぶ。


「「ちーーーー! ひーーーー! ろーーーーっ!!」」


「なんだ!? なんだね、二人とも!?」


「「勝負だッ!! 千尋ッ!! 許さねえッ!!」」


「勝負? いいよ、面倒だから二人とも同時にかかってきなさい」


「「今日こそぶっ倒す!!」」


 そう言って先輩方が勝負を始めてしまった。


「……今日は俺たち二人で特訓するか」


「そうですね。今日もお願いします夢咲君」


 俺たちも席について勝負を始める。


 これが俺たちの日常だった。


 ちなみに勝負の結果は二面打ちという高等テクニックの上、一軍を使っていないのにもかかわらず、梓さんが二人を終始圧倒して、勝利を収めた。……合掌。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ