フェイズ2
・今日のカード紹介。
爽「今日のカード紹介。お相手は主人公なのにこの作品中ではまだ一度しか闘っていない夢咲 爽と――」
みき「先輩の勝負についていけません。花園 みきがお送りいたします」
爽「紹介するカードは、《黒衣の人狼 イクリプス》だ!」
みき「狼男ですね、少し怖い……かな」
爽「仲間を犠牲に何度でも生き返る、呪いのような体をもっている。前回紹介した四葉とは全く逆のカードだ!」
みき「私はあまり好きではありません……」
「俺のターン、5枚ドロー、『出撃ステップ』通過、『メインステップ』! イクリプスで四葉を攻撃!」
四葉のソウルは残り2つ、イクリプスのパワーは4なので簡単にやられてしまう。だが、そう簡単にはいかないのがカードゲームの面白さだ。
「速効タイミングで、《新緑の加護》を使用。効果でこのターン中、迷い子に能力【守護】を与えます」
これで大野先輩は自分の持って言うイクリプスと同じように迷い子を攻撃できなくなった。
「コストは迷い子から。大野、攻撃を続けるか?」
「当たり前だ! イクリプス、迷い子を倒せ!」
イクリプスの牙が迷い子を捕えた。迷い子はソウルが無くなり消滅する……。
「『ソウルステップ』、手札と城の効果で6枚のカードをアイスエイジに置き俺のターンは終わりだ」
そして鷹野先輩のターン。彼は出撃ステップで《若葉の街の剣士》を出撃、『メインステップ』に入り、四葉の攻撃でイクリプスのソウルを1枚減らす。
「さらに剣士でイクリプスを攻撃する。剣士はアタック時、コストを1支払うことでパワーを+2、つまりパワーを5にできる。これでイクリプスのソウルは0だ」
イクリプス5→0
「イクリプスが倒されてしまいました!」
「いや、花園さん。まだだよ。あのカードはこんなところでは倒れない」
そう、ソウルが全て無くなったにも拘らず、イクリプスは場を離れることはなかった。
「なんでですか!? ソウルが0になったユニットは捨て札にされてしまうはず……」
「花園、まだ俺はイクリプスの効果を解決していねえ。イクリプスの効果! 偵察兵から1コストを支払うことで、ライフから1枚をイクリプスのソウルにする。その後、偵察兵を破壊!」
イクリプス0→1
「そんな……仲間を犠牲にして自分を復活させるなんて……」
「これがイクリプスにかけられた呪いの力。ソウルリボーンだ! もう鷹野の場に攻撃できるユニットは無いよな?」
「2枚目の《幸せの葉 四葉》をセット、《ソウルステップ》で2枚目の四葉に4枚、狩人に1枚のソウルを置いて、1枚目の四葉の効果を使用。剣士のソウルを1回復させる」
「俺の番だな、ドローして『出撃ステップ』。さあ、出番だぜ。《氷牙 アイスエイジ》!」
「アイスエイジ? 初めて見るカードだな、効果を確認しても良いか?」
「おう、いいぜ」
《氷牙 アイスエイジ》のカードを鷹野先輩に渡す。
《氷牙 アイスエイジ》 色:黒 所属:アダプション・ビースト コスト8 パワー6
[自動(自分の場に他の未行動状態のユニットが存在している時)] このユニットはアタックできない。
[反応(このユニットが効果によって場から直接、捨て札された時)] 相手ユニット1体を選び、行動状態にする。そのユニットは次の相手のターンの開始時に未行動状態に戻らない。その後相手プレイヤーにXダメージを与える。
Xは選択したユニットのソウルに等しい。
カードを鷹野先輩から返してもらいゲームを再開する。
「『メインステップ』だ。イクリプスで四葉を攻撃する」
四葉1→0
「そしてアイスエイジの攻撃条件クリアだ! アイスエイジで剣士を攻撃!」
剣士6→0
「強そうな剣士が一瞬で……! 鷹の先輩は大丈夫なんですか!?」
「……正直、厳しいかもしれない。でもさ、花園さん。鷹野先輩の目を見てみなよ」
「先輩の、目」
花園さんが鷹野先輩の眼を見る。その眼に絶望はない。
「《氷牙 アイスバーン》をセット。手札を4枚ソウルにおいて終了だ」
「――先輩は諦めてなんか、いない」
「僕のターン。ドローからの『出撃ステップ』、《幸せの葉 四葉》と《若葉の街の狩人》を出撃。さらにもう1枚狩人をセット。四葉でイクリプスを攻撃する!」
《若葉の街の狩人》 色:緑 所属:ワイルド・レジデンツ コスト3 パワー2
効果:[通常(自分のメインフェイズ中)]このカードを行動状態にする。 コストを払った場合、自分の緑のユニットを1体を選びパワーを+2する。
イクリプスに四葉のアタックがヒットしソウルが0になる。
「だが、それでもイクリプスは倒れない。ソウルリボーン! アイスエイジからコストを7支払い、ライフから7枚のカードをイクリプスのソウルに置く! その後、アイスエイジを破壊だ!」
「やっぱり使うのですね、その効果……」
「まあ、カードを投げ捨てても、勝利よりは軽いからな」
「夢咲君。私、その考え嫌いです」
花園さんがそっぽを向いてしまった。……どうしたんだ?
「そして、氷牙は自らの魂を牙とする! アイスエイジの効果、ファング・オブ・フリージング! 狩人を行動状態に、そのユニットは次の鷹野のターンに未行動状態に戻らない! さらに、この効果で選択したユニットのソウル分のダメージを相手に与える。鷹野! 3ダメージ受けてもらうぞ!」
これで、大野先輩のライフは7、鷹野先輩は12になった。……ライフなら鷹野先輩が圧倒的有利に立っているのだが、イクリプスの壁は厚い。
「《竜王 イグドラシル》をセット。ソウルは手札から2枚とデッキから1枚をイグドラシルだ」
「俺のターン、《氷牙 アイスバーン》を出撃。メイン、イクリプスで四葉を攻撃!」
手札を1枚場に出す。
「もう1枚だ、《新緑の加護》を狩人からコストを払い使用する。狩人に【守護】を与えるぞ」
四葉に何か思い入れでもあるのだろうか。鷹野先輩は頑なに四葉を守っているような気がする。まあ、守り切れずにやられてしまうこともあったが。
狩人が四葉を庇い、捨て札される。
「……ならば、アイスバーンで四葉で攻撃だ」
四葉4→3
「《氷牙 アイスピック》をセット手札を3枚ソウルにおいてターン終了だ」
「この勝負の決め手は、イグドラシルが間に合うかどうかだな……」
梓さんがつぶやいた。確かにイグドラシルならば逆転できるかもしれない。
「僕のターン」