プロローグ1
「我の名は……ノブナガ、覇王なり。我が覇道を妨げる万物は、我が覇王軍の力で無きものにして見せようぞ……!」
浮遊する移動要塞オワリにて、王の座に就いた一人の男が呟いた。
彼の名はノブナガ。赤の国を我が手に収めんとする、絶対なる覇王だ。
「覇王様、準備が整いました」
「大義だ、トウキチよ。では、この戦、貴様とダンジョウに任せる。勝利を手にして、必ず我の元へ戻ってくるのだ」
「「はっ!」」
革命軍の本拠地にて。
「トモシ! 大変だ!」
一人の若い男が司令官らしき男に声をかける。
司令官の名はトモシ。赤の国の革命軍、その若き司令官の一人である。
「どうしたんだ? レツ。そんなに慌てて、お前らしくもない」
「どうしたもこうしたもねえよ! 最前線にヒラグモが出現した! こちらのウォーロイドが押されている!」
「なにっ!? くっ……、ダンジョウが現れたか。このままじゃ、前線が崩壊するっ……!」
「では。お姉さま、騎士王さま。私も出陣いたします」
「すまない、出来れば私自ら出陣したいものだが……」
「分かっております、我が騎士王。そのために私がいるのでしょう?」
「ああ、頼む」
城の中を小さな少女が歩みを進める。彼女の名はアリス。聖騎士の称号『聖』の二つ名を前代未聞の年齢で授かった、幼き騎士だ。
彼女は大広間にたどり着く、足元には巨大な転移召喚陣が広がっている。
「赤の国……、もしかしたら君に会えるの? トモシ……」
彼女は陣に自分の背丈ほどもある巨大な剣をつきたてると、光に包まれて消えていった。
「このままではこちらにも被害がっ! トモシ、どうにかならないのか!?」
トモシの友人であるレツが声を張り上げる。
「何とかヒラグモさえ倒せれば……。……俺が行こう」
そう言ってトモシが立ちあがった。
「待て! お前は司令官だろう! 本陣はどうする!」
「退かせる。仲間の命の方が大事だ」
「しんがりを務めるというのか!?」
「レツ、お前は仲間を誘導して安全な場所へ退避させてくれ。ヒラグモは俺の部隊で何とか持ちこたえる」
「だが――!」
「大丈夫さ、こんなんじゃ俺は死なない」
そう言って若い司令官が前線に赴こうとした時、本拠地にて一人の女の子の声が響き渡った。
――なら、私も力を貸してあげる――
トモシ達の本陣に巨大な紋章が広がる。
「これは――、黄の国の転移召喚陣!?」
レツが叫ぶ。
瞬間、アリスが召喚陣より現れた。
「――久しぶり、トモシ」
「お前――アリスか!?」
この二人の会話に周りの面々は驚きを隠せないようだ。
「『先陣の聖騎士』と『夜明けの灯』が知り合いだとっ……?」
「そもそも何故、こんなところに『先陣の聖騎士』が……?」
所々から動揺の声が上がる。
「騎士王の命により参上しました。『加勢をしてやれ』と」
「……そうか。アリス、お前ならヒラグモを倒せるか?」
その問いに彼女は首を振った。
「無理、私一人じゃそこまで強くないもん。でも、トモシがいるし、私にはこの剣があるから。何とかなるよ」
「そうだな。みんな! 俺たちはこれより撤退戦を行う! 俺の部隊はヒラグモを抑え、残りの部隊は仲間を拾いながら安全な場所まで退避! ――行くぞ、アリス。ついてこれるか?」
「当たり前!」
懐かしき人との言葉を交わし、二人の若き戦士は前線へと駆ける。
『誇り』
――PRIDE――
『絶対に守って見せる!』
ダンジョウ「あれ、わしの出番は?」
え? カードゲーム小説ですよ?
この回の意味は後でわかります。
決して伏線とかではないので。
……ちょっと、Z/○っぽいのは気にしないで。