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今、君に恋をしよう  作者: 十色
5/5

*4

「何を読んでたの?」


自然と、心の手元に目がいく。

心が持っていたのは、表紙にリンゴの写真が付いている

文庫だった。

タイトルは「本当の恋を知った日」。

携帯小説か何かでありがちなネーミングだな、と思った。


「携帯小説を書籍化したものなの」



僕の考えなんてお見通し、とでも言うように

心が僕の目を覗き込んでいた。



「ふーん、やっぱり。でも珍しいね」

「ん?何が?」

「心も携帯小説とかって読むんだ?」



僕の言葉に苦笑しながら、心は持っている文庫を

手渡してきた。

それを受け取り、きちんと読むのではなく、パラパラと

ページをめくっていく。



「あんまり得意じゃないんだけどね」

「だよね。」


「でも……その本は全然抵抗なく読めちゃうの」



へー、と大して興味なさ気に呟く。

僕はライトノベルなどは読むが、どうしても携帯小説は

好きにはなれなかった。



「どんな話?」

「ふふふ、自分で読んでみたら?」

「読む気ないから聞いてるの~」



ただ字を眺めただけの本を心に返す。

受け取りながら、心は「読めばいいのに……」と

笑った。



「主人公がね、友達の女の子に恋をしちゃうって話なの」

「……つまり……百合ものってーこと?」

「まぁ……言うなれば、そう……かなぁ」

「それで?その主人公と友達はどうなるの?」



僕の問いかけに、心は寂しげな笑顔を浮かべて答えだした。





主人公はどこにでもいる中学生。

その主人公には大好きな幼なじみの女の子がいた。

可愛くて優しい幼なじみは、みんなの人気者で……ある日

そんな彼女に彼氏が出来た。

そこで、やっと主人公は自分の本当の気持ちに気付く……。





そこからはケンカもあったり、自傷行為とかのシーンもあったりと

一携帯小説的な内容となる……らしい。






「んー……なんか……微妙……?」

「ちゃんと読んでみたら良さが分かるって!貸すよ?」

「読みたくなったら言うよ。その時は貸して」





ぶーと口で言いながらむくれる心が、ものすごく可愛く感じた。

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