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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

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婚約破棄の現場でアクシデント

婚約破棄の現場で~スキルが発動した場合~

作者: Ash

「ヴィーナ・イマジナリー! 俺は性格のねじ曲がったお前とは、婚約破棄をする! 代わりに、心優しい■■を新たな婚約者にする!」

「お言葉ですが、殿下の一存では婚約は取りやめられません」

「煩い! ■■の教科書を破ったり、転ばしたり、形見のブローチを壊したり、罵っていたお前が、王族の妻になることが正しいとでも思っているのか?! リブロ、牢屋に連れていけ!」


 身におぼえのない罪状を並べ立てる王子の命に従って近付いてくる騎士団長の令息に、ヴィーナは危機感を抱いた。


「・・・!」


(スキルを不用意に使ってはいけない、とおっしゃられていたけど、身に危険が迫った時は使うようにも、おっしゃられていたわ)


 不安で掴んでしまうのは、スキル使用訓練が完了した時にもらった金の鎖のネックレス。ペンダントトップを自由に変えられるように造られたそれは、ただの金の鎖だが、ヴィーナの心の支えでもある。


「”スキル:狂信者”」


 ヴィーナのスキルは常時発動型ではないが、威力は非常に大きい。


(王子の様子がおかしいと思った時に、あの生徒を排除していれば、これを使う必要もなかったのに・・・!)


 内心、臍を噛んでしまうのは、狂信者というスキルが凶悪すぎる効果を持っているからだ。

 狂信者は精神魔法と魅了魔法の混じったスキルである。魅了魔法でいうなら、心酔・盲信。精神魔法の気分高揚。単体だけなら危険性は低いが、重ね掛けすると、一気に凶悪になる混ぜるな危険の組み合わせだ。


 本来なら、ヴィーナはスキルの内容が判明したと同時に神殿に入るはずだった。

 だが、現国王はそのスキルの有用性に気付き、王子の婚約者にしてしまった。

 ヴィーナができることは、スキルの使用と使用中止などの切り替えを訓練して、無暗矢鱈に使わないようにすることだけ。


 王子が■■と呼んでいる少女のことをヴィーナは噂では知っていたが、二人きりであったこともなければ、王子との結婚を諦観していたので、歯牙にもかけていなかった。

 それが、避けていたスキル:狂信者を使う羽目になった。


(皮肉な物だわ)


「イマジナリー公爵令嬢の手で教科書を破られただと?! 家宝ものじゃないか!」

「イマジナリー公爵令嬢に転ばされた?! イマジナリー公爵令嬢に手を出してもらえるなんて、差別だわ!」

「イマジナリー公爵令嬢に形見のブローチをリフォームしてもらえるなんて! わたしもしてもらいたい~!!」

「イマジナリー公爵令嬢に罵られるなんて! なんて羨ましい!」


 ヴィーナの近くに居た学生たちがまず狂信化する。

 ドMにしか聞こえない発言も一部、混じっているが、虐められたと訴えている内容がそのまま羨ましい内容に受け取られる。


「イマジナリー公爵令嬢に触れてもらったのは、この足か? このどこを触れて、転ばせてもらったんだ?!」


 変態チックに聞こえるが、スキル:狂信者にかかった場合はヴィーナにされたことがご褒美になるのだ。


「キャアッ!」


 ■■に掴みかかったのは、腕にしがみつかせていた王子。それに傍で二人の味方をしていた王子の側近たち。

 近くで成り行きを見ていた他の学生たちも■■に殺到する。


 スキル:狂信者の効果はヴィーナの周辺10メートルほど。それが飛沫感染して増えていく。

 狂信化した者が話せば話すほど、呼吸すればするほど、その周囲の人間が狂信化していく。


 まだ狂信化していない者が、狂信者たちの行動に恐れをなして逃げ惑う。

 あたりには悲鳴と、狂信者の叫び声と、逃げ惑う生徒たちの声と足音。


 すべてが終わった時には、ヴィーナに婚約破棄を突き付けた愚か者たちは血の海に転がっていた。

 ヴィーナの為に戦った狂信者たちは言う。


「やつらは勝手に殺し合ったんだ」と。


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― 新着の感想 ―
いや王様、ヴィーナのスキルを使って何させようとしたのよ?(汗) 結末よりそっちの方が気になってしまいました。
商業作品を例に出して申し訳ないのですが、魅了の究極形態は『富江』なんだろうな〜と、こちらの作品を読んで思いました。愛が強すぎて最終的に殺してしまう。 あとは、グロい話をすると「食べちゃいたいくらい愛し…
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