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影の執事  作者:
8/8

最終章 新しい物語と影の語り部


 数年後。

 奇跡が起きた。

 ヴェルナ様が目を覚ましたのだ。

 医者たちは唖然としたが、彼女はこう言った。


「私は死ぬわけにはいかなかった。まだ、誰かに伝えたいことがあったから」


 その後、回復した彼女は私の書いた記録を読んだ。


「……あなたは私の声になってくれたのね」

「いいえ、お嬢様。私はただ、お嬢様の声を拾っただけです」


 彼女は久しぶりに笑う。

 悲しみのない、本物の笑みだった。


 ヴェルナ様は屋敷を出て、小さな村で暮らすことにした。

 名前を変え、花を育て、子どもたちに読み聞かせをする毎日。


「おばあちゃん、昔お姫様だったの?」


 そう尋ねる子どもに、彼女は微笑んでこう答えた。


「いいえ。ただの一人の女の子だったわ。でも誰かが私の物語を、ちゃんと聞いてくれた。それだけで、私は救われたわ」


 私は今も、ヴェルナ様の事を執筆し続けている。

 この物語が誰かの心に届くなら。

 誰かが悪役とされる人にも、悲しみと希望があることを知るなら。

 私は影の執事として、彼女の声を伝え続ける。


 悪役令嬢ではない。

 ヴェルナ・エリゼ・ヴァルモンドは、ただ運命に翻弄された一人の少女だった。


 私は決して、彼女の物語を決して忘れはしない。


THE END

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