第6話:月の門を開け――地球への帰還
第6話:月の門を開け――地球への帰還 をお届けします。
第6話:月の門を開け――地球への帰還
“月の鍵”を手にした私は、ミツキと共に月の最深部へと向かった。
そこには、古代の月の民が築いた巨大なゲート――“月の門”が眠っていた。
「この門は、かつて地球と月を繋いでいたワームホール装置です。鍵を使えば、一度だけ開くことができます」
「一度だけ……?」
「はい。門が開いた瞬間、月のエネルギーは枯渇し、二度と開くことはできません」
私は静かにうなずいた。もう迷いはなかった。
◇門の起動
“月の鍵”を門の中央に差し込むと、巨大な装置が低く唸りを上げた。
空間が歪み、門の中心に青白い光が渦を巻く。
「……これが、地球への道」
「かぐや様、最後にお伝えしたいことがあります」
ミツキが、少しだけ寂しそうに言った。
「私はこの門の守護AIです。門が閉じられると、私の機能も停止します」
「……え?」
「あなたを導くために生まれ、あなたを見送るためにここにいます。どうか、地球で幸せになってください」
私は言葉を失った。
でも、ミツキは微笑んでいた。まるで、ずっと私の旅を見守ってくれていた親友のように。
「ありがとう、ミツキ。あなたがいたから、ここまで来られた」
◇帰還
私は門の光の中へと足を踏み入れた。
その瞬間、全身が光に包まれ、重力も、空気も、音も、すべてが変わっていく。
そして――
目を開けると、そこは青い空と緑の大地が広がる、地球だった。