第2話:月の影を越えよ――亡霊たちのささやき
今回は少しダークで神秘的な「月の影」の試練が始まります。
第2話:月の影を越えよ――亡霊たちのささやき
ルナ・モスによって酸素の確保に成功した私は、次なる目的地へと向かっていた。
「次の試練は“月の影”を越えることです」
ミツキの声は、いつもより少しだけ低く響いていた。
「そこには、かつて地球を憎んだ月の民の記憶が残されています。彼らの亡霊に触れれば、精神を蝕まれる危険があります」
「亡霊って……幽霊ってこと?」
「正確には、月の記憶に残された精神エネルギー体です。ですが、あなたには“かぐやの血”が流れています。耐えられるはずです」
私は不安を抱えながらも、ミツキと共に“月の影”と呼ばれるエリアへと足を踏み入れた。
そこは、まるで光を吸い込むような黒い砂漠だった。星の光さえ届かず、スーツのライトだけが頼りだった。
「……誰か、いる?」
ふと、耳元で声がした。
「なぜ、地球に帰ろうとする……?」
「今の、誰!?」
「地球は裏切った……我らを見捨てた……」
「違う! 私は……私は帰りたいだけ!」
私は叫んだ。すると、黒い影が私の前に現れた。人の形をしているが、顔はなく、ただ虚ろな目だけが光っていた。
「かぐや様、心を強く持ってください! 影に飲まれてはいけません!」
ミツキの声が遠くなる。影が私の心に入り込もうとしてくる。
「お前も、ここに残れ……永遠に……」
「……嫌だ。私は、帰るって決めたの!」
その瞬間、胸元のルナ・モスが強く光を放った。影が悲鳴のような音を立てて消えていく。
「……やった、の?」
「はい。あなたの意志が、影を祓いました。これで“月の影”の試練は突破です」
私はその場にへたり込んだ。心臓がバクバクしている。でも、確かに一歩前に進んだ気がした。
次回予告
次なる試練は「月の塔を登れ」。
そこには、かぐや姫の記憶を封じた“月の書”が眠っている――。