ファンタジー小説における“剣士vs魔法使い”問題――なぜ剣士は勝てるのか?
わたしは趣味で、ファンタジー小説を書いていて、いつも心のどこかで引っかかる問題がある。
「剣士は、本当に魔法使いに勝てるのだろうか?」
王道のクライマックスでは、剣を携えた主人公が最強の魔法使いに立ち向かう。
だけど、どうしてもこう思ってしまう。
「弓兵なら、詠唱中に矢で射抜けるかもしれない。でも、剣士は無理だろう?」
魔法使いの射程は圧倒的だ。
炎、雷、氷、目にも留まらぬ速さで放たれる強力な術。
剣士は、その間合いに入る前に燃え尽き、吹き飛ばされるのが当然じゃないのか。
最初は、物語的に「勝たせる方法」をあれこれ考えた。
「魔法を打ち消す剣」「主人公だけが持つ伝説の加護」「地形の有利」――
でも、書いていてふと手が止まる。
それで本当に読者は納得するのか?
それで本当に、自分は面白いと思うのか?
考えてみれば、戦場での常識はリーチがものを言う。
槍は剣に勝ち、弓はさらにその上から制圧する。
それは古代から続く絶対的な戦術の理。
では、なぜ剣士なのか。
どうして、自分はそれでも剣士を書こうとしているのか。
答えは、今も出ていない。
ただ――
剣士が、魔法で焼け焦げ、腕を失い、歯が砕けても、それでも前に進む。
その姿を描いているとき、わたしの心の中で、何かが少しだけ動く。
だから今は、それでいいのかもしれない。
答えはいつか見つかるだろうし、見つからなくても、きっと困らない。
単に、物語を読んだ誰かが少しでも満足してくれたなら。
今は、それで十分な気もしています。
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そして、わたしのファンタジー作品も読んでもらえると嬉しいです!
『アデン大戦記 ―反逆の血盟ネオフリーダム―』
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