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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ドコカのアレがココでソウなった

作者: HORA

2025年1月のこと

冬休みも明け間もない頃。小学校に白昼堂々と包丁を持った殺人鬼が侵入。6年1組の児童や教師に襲い掛かり、合わせて13人を死傷せしめる。

当初は学校の防犯意識の低さ・警備体制や犯人の素性や過去の経歴・犯歴の話が主だった報道内容であったが次第に事件の内部情報に焦点が集まる。


 犯行の日、犯人は包丁を両手に持ちながら校舎に侵入。奇声を上げながら6年1組のクラスの後ろのドアから侵入。すぐ近くで座っていた小学生の背中を刺す。クラスの小学生はその様子を見て、わずかの沈黙の後にパニックに。担任の男性教諭は犯人を取り押さえようと真っ先に駆け寄るもすぐに腹部を刺され倒れてしまう。前のドアから逃げた児童は助かったが、クラスの中で恐怖で逃げられなくなっていた小学生を次々と襲う。その間にかけつけてきたさすまたを持った教師数名が犯人を壁際に拘束。僅か2分程の出来事であったが13人に対し凶刃を振るった。2本の刃物は真っ赤な血を滴らせ、2本ともが大きく欠けてしまっていた。 6年1組のクラス内はピクリとも動かない小学生の血だまりがそこら中に見られ大惨事と言える状況。小学校には多くの救急車、パトカー、少し遅れて報道の車や野次馬、上空にはヘリコプターが飛びかい大騒ぎとなった。そんな中で犯人は教師数名から警官に引き渡され、奇声を上げる中でパトカーで連行されていった。

担任や児童はすぐ救急車で運ばれ、担任は重症を負ったものの一命は取り留めたが、児童は8名が亡くなった。


学校は1カ月もの間、臨時に全学年休校となり児童たちのランドセルはもちろん、筆箱ノートすら授業をしていたそのままで学校に置きっぱなしの状態で自宅待機となった。そのクラスに通っていた児童はもちろんのこと、同小学校に通っていた児童のPTSDが懸念され、全児童を対象にカウンセリングが行なわれた。全国でも大きなニュースとなり、関係のない遠く離れた地域の小学校であっても、親が警戒して児童を学校に通わせないということが相次ぎ大きな社会問題となった。


2月のこと

しかし、1カ月が過ぎ事件の捜査や学校関係者への聞き込みから別の側面を見せる。亡くなった小学6年生は8名。その8名全てが6年1組の児童では無かったのだ。遺体は間違いなく6年1組に存在しており警察が検死まで行なっている。6年1組に在籍する児童で亡くなった児童は1人もいなかったのだ。その8体の小学6年生の遺体はその小学校があるA県から遠く離れたZ県にある小学生。不登校になっていた児童8名の遺体であった。なぜ当時Z県の自宅にいたはずの児童8名がA県における犯罪被害に遭い6年1組で亡くなっていたのかは到底警察やマスコミの理解が及ばなかった。


3月のこと

追悼のためにも卒業式は行う運びとなり、登校日が設けられる。退院しある程度快復していた6年1組担任が事件後の登校日にその謎を6年1組の児童に明かした。

「先生の家系は特殊でな。

身代わりの護符を作ることができるんだ。

実はZ県の小学校に研修で行った時に

こっそりお前らの身代わりの生徒を準備しておいたんだ。

人として間違った事をしているのは分かっているが

俺はお前たちの方が大切だからな。

お前たちを卒業式で1人も欠ける事無く中学に送り出す事が先生の務めだ。

6年1組は1人も減っていない。

他のクラス、他の学年では引っ越してしまった児童がちらほらいたが

被害に遭った6年1組の児童は全員がこうして登校してきてくれて

先生は嬉しく思う」


6年1組の皆は何も言えなかった

担任を非難する事もなかったが、

ありがとうと感謝する気も起きなかった


卒業式3月9日のこと

式はしめやかに執り行われ、胸に赤いバラを付けた児童たちが教室に戻ってくる。

担任がチョークを子気味よくカッカッカッと鳴らし

卒業おめでとう!と黒板に書く


そして振り返り

「そ…」


担任が消えた


チョークが1m80cmの高さから斜めに傾いたままスーッと落ち地面にカツンと落ちた

エアコンのコォーーッと吹き出る音や、校庭で話をしているであろう不明瞭な保護者や先生の声が聞こえてくる

クラス内…誰も声を発しない無音の数秒の中で6年1組の児童たちは思った

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