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「............」
無言で目を瞑り過ごす。
気配もきっぱり消して、私の存在を認識出来ないようにする。
ガヤガヤとした声が次第に聞こえてくる。
「おっはよー!」
その大声が聞こえた時、生徒と思わしきガヤガヤが消え、一斉におはようございますと言う。
そこで目を開けた。
元気な挨拶をした栗毛の女性は先生のようで教卓に立っている。
「報告があります。今日、編入生がこのクラスにやってきます! パチパチパチパチっ!」
「「「「「おお!」」」」」
「でもね、肝心の編入生さんがきてないの」
「「「「「おお......」」」」」
反応が面白いクラスなのね。
って私、編入生だけど来ている......
気配を消してることを忘れていた。
たまに抜けてると言われるのはこういうところか。
気配を強めに出す。
「すみません。もう来てます」
そう声をあげ立ち上がる。
「え? 学園長室行ったかしら?」
「そういう部屋があるのですね。言ってません」
言っておく。
私は本当に学園というものの知識がない。
教室に入るのも学園自体も見たことがこれが初めてだ。
そんな呆れられたような顔でみられても何にも言えない。
「と、とりあえず、彼女がアルティアさんです。パチパチパチパチ!......」
「よろしくお願いします」
「さあ、学園長室へ、行きましょう」
隣に来ていた先生に背中を押されて教室から出る。
「最初に学園長室に寄って行きなさいって誰かに言われなかったの?」
「言われてません」
「あー、ま、仕方ないでしょう。私はあなたの担任の瑠花よ。よろしくね! あなたについては担任だから教えてもらったのだけど、まさか蒼月様だとは思いませんでしたよ。こんなに若いとはね」
「教えられてましたか。瑠花先生とお呼びしますね」
「あら、クラスの男子からは瑠花ちゃんって言われてるわよ」
「つまり?」
「蒼月様にも呼び捨てでもいいから先生なしで呼んでほしいかな」
「......瑠花」
「なんだか嬉しいわね。自分より強い方の担任になれるなんて!」
そういうもの......?