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機械の夢  作者: Toa
8/14

花嫁

その夜、私はミアに花嫁衣裳を着せる夢を見た。美しく成長したミアは、最初に服を買い与えた時と同じ顔をして純白のドレスを身に纏い、私の頬にキスをした。私は嬉しくて、思わずミアを強く抱き締めていた。少し苦しかったのか、私の腕の中で小さくジタバタさせたあと、私に抱きついて何かを言った。その何かがよく聞こえず、聞き返そうとしたところで目が覚めた。

私が、眠け眼でフラフラと廊下を歩いているとドタドタと近づいてくる足音と

「おっさん、おはよう!」という元気な声が聞こえ、私の身体にトンと小さな衝撃が走った。その衝撃のせいで少しよろけてしまったが、そのまま後ろをふりかえってみると私の腰に抱きつくミアの姿が見えた。

「あぁ、おはようミア。相変わらず朝から元気だな。」そう言って苦笑していると

「んふふ、でもおっさん、嫌いじゃないでしょ?」とニヤッとしながらミアは、そう言った。

「あぁ、嫌いじゃない。むしろ、その元気を分けてもらってるほどだ。」

「ふふ、嬉しい」

そんな微笑ましい会話をしながら、私は身支度をしに自分の部屋へ向かった。


「おっさんまだー?」と退屈と言ったようなミアの声がドアの外から聞こえてきた。恐らく、待ち疲れたのだろう。これ以上、放ったらかしにすると拗ねてしまうので、私は急いで服を着替え、ネクタイを絞めた。

「待たせてしまってすまないな。さぁ、朝食にしようか。」そう私が言うと「うん!」という元気な声が返ってきた。

2人揃って朝食を食べたあと、ミアが朝食中に読んで欲しいと言った本を両脇に抱えて持ってきた。あまりの多さに驚いたが、昨日寂しい思いをさせてしまったお詫びとして、その本を全て読み聞かせた。途中、絵本の挿絵に翡翠の瞳をキラキラさせてその絵を指でなぞっていた。

「で?次は何を読んで欲しいんだ?」

そう私が聞くと、ちょっと待っててと言って図書室に消えた。暫くして、分厚い本を3冊ほど抱えてフラフラしながら、図書館からミアが帰ってきた。

「おっさん、これ読んで」と少しダミ声になりながらドスンと重たい音を鳴らして本をローテーブルの上に置いた。

「これを全部読むのか!?」そう私が驚いていると、ミアは満面の笑みを浮かべて力強く

「うん!」と言った。

さすがにこんな分厚い本を一日で読める自信が無い。そう私が唖然としていると、

「おっさん、だめ?」とミアが猫なで声と上目遣いで聞いてきた。幼い頃からのあざとさは変わらず発揮され、私もつくづく弱いなと思いながら、「いいだろう。読んでやるから、膝の上に来い。」と言って自分の太ももを軽く叩いた。すると、ミアは少し恥ずかしいのか躊躇う雰囲気を見せた。

「膝に乗らないと、読んでやらんぞ。」と意地悪に笑うと「やだ!読んで!」と言って私の膝にいそいそとあがり、ちょこんと座った。

そして、1番ページ数が少なそうなものから順に読んでいった。

分厚い本の中には図鑑があり、内容は私が作るような機械人形や計算石を使った特殊な懐中時計に羅針盤など様々な道具がイラスト付きで紹介されていた。読んでいる間、チラッとミアを見てみると昨日作ったクッキーを食べながら、小難しい文章を必死に理解しようとしていた。

「ミア、疲れただろう?少し読むのをやめて出掛けようか。」と言うと、ミアが勢いよく振り返って「うん!行く!」と言った。

「じゃあ、どこに行きたいんだ?」

「うーん…ミア、この絵本みたいに船に乗って海を見たいな。」そうミアが読み終わった絵本を指さして言った。船か…今の天気なら出ているだろうが、甲板に多くの人が集まると考えると吐き気がする。しかし、ミアが行きたいというのなら我慢するしかないだろう。一応吐き気止めを飲んで、なるべく視界を遮るメガネでもかけて行こう。

「分かった。準備してくるから少し待っていろ。」

「うん!わかった!」そう返事したが、ミアすぐに少し困った顔をした。

「どうした?」

「ねぇおっさん、ミア、帽子持ってないかも。」そう不安げに言った。あぁ、そういえばカチューシャなどは買っていたが、帽子だけ買っていなかったな。

「ならミア、今から帽子を買いに行こうと思うんだが、着いてくるか?」と聞くと、今日の天気と同じ、いや、それ以上の笑顔を見せて「うん!着いていく!」と言って走ってクローゼットのある部屋へ行った。


暫くして、ミアが淡い水色のフリルが控えめなワンピースを着て、ローヒールの靴を履いて出てきた。本当にミアは、何を着せても似合うなと思い、見とれていると

「おっさん、早く!帽子買いに行こ!じゃないと、船に乗れないよ!」そう頬をふくらませて、急かしはじめた。

「分かった、分かった。急いで帽子を買いに行こう。そして、遊覧船にでも乗って海を見ようか。」

「うん!」

「私とミアは出掛けてくる。私達が帰ってくるまで、お前たち、留守番を頼んだぞ。」

そう私が言うと、Silkyたちが

「「イッテラッシャイマセ、マスター。」」と言って微笑みながら、私たちを見送ってくれた。


馬車を走らせ、急いで行きつけのブティックに行った。

店に入ると、ミアはすぐに帽子のあるコーナーに小走りで行った。

「ミア、これがいい!」そう言って手に持っていたのは、服と同じ色のベレー帽だった。

確かに、服には似合うと思うが、甲板に出ると考えると麦わらの方がいいのではないだろうか。そう思い、麦わら帽子を手に取り

「こっちの方が帽子のつばが影になって涼しいし、何より日差しで肌が焼けないと思うが、どうだ?」と聞くと、ミアは少しムゥとした顔をし

「これも買ってくれるなら、今日はそれを被る。」と言った。

今まで我儘を聞いてやれる時間もなかったため、私はミアの選んだ帽子と麦わら帽子を買ってやった。

店を出ると、ミアはすぐに帽子を箱からだして被った。まぁ、自分の選んだベレー帽だったが。

「ミア、今はそれを被っていてもいいが、船に乗る時はこっちの帽子をかぶるんだぞ。いいな?」そう私が言うと「分かった!」と満面の笑みで返事をした。

船着場は、ここから歩いて行っても出航には十分間に合う距離にあるため、ミアと手を繋ぎ、たわいのない話をしながら歩いて行った。

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