婚約破棄モノってどういうもの?
婚約破棄ざまあ報復モノってどういう物語?
婚約者に無実の罪を着せられる令嬢が報復する物語。
どんな無実の罪?
他の令嬢を虐めたりとか、陰謀を画策したりとか、とにかく悪い事。
中には、その虐めた相手が婚約者の新しい婚約者だったりする。
意中の女性を手に入れたい男が、現在の恋人が邪魔になり、冤罪を企てて謀殺しようとする話。
陥れられそうになった恋人が、手助けする。
(自分の意志決定でも良い。しかし、より上の大きな力が気を効かせて助けるなどの能動的な助けはダメ。自発的な行動が大事)
自分で動くことを決意した主人公は、この危機的状況を打破するため、周囲に協力を求める。
もしくは自分の持つ能力でチートする。
とりあえず何か動き出す一歩を踏み出すことが大事。
そしてその時の状況を詳しく詳細に知らせることも大事。
心理描写はどうなのか台詞はどうなのか。
テンプレで言うとこの場所で誰かが助けに入る。
そして、婚約破棄を突きつけた相手が断罪される。
まずここまでが一通り。
人生における岐路に立たされた令嬢が、その問題を克服し、新たな人生の第一歩を踏み出すための物語のはずなのだが、婚約破棄においてはまず最初にその大問題がやってくる。
さらにそれは2万文字程度。
つまり、最初の出会いにおいて解決されるべき物語であり、そこで大きなドラマがあるはずなのに一つのドラマに集約してしまっているということが、婚約破棄ものの大きな欠点でもある。
普通の物語ならそこに行くまでの経緯を二人のドラマを詳細に描くはずなのだ。
もしくは物語が急に始まった瞬間に婚約破棄をされたとしても、過去にさかのぼってその経緯を読書に知らしめ、そして最後に婚約破棄をして新たな一歩を踏み出すというところまでは10万文字ぐらいで捉えないとこの物語は成立しないと思われる。
ところがなろうにおいては婚約破棄ざまぁ報復をさっさとを2万文字以内で済ましてしまいその後はスローライフへと転換する流れが大きいつまり新しい人生をそこで読みたいという読者のニーズがそこにある。
そうなると一番最初のイベントで敵である殿下というのは、ファンタジー世界における【ドラクエのスライム】のようなもので、特に大した大きな障害ではないということになる。
単なる雑魚キャラ。
その後により大きな障害がもたらされるか、もしくはそれが最大の障壁であり取り除いたことによって主人公はこれまでの抑圧された人生から解放され、自分の好きなように生きることができるようになる。
現実的にはそうはいかないけれど。
その自分の好きなように生きる人生が結果的に周囲を幸福にし自分の人生を彩りさらに国まで発展させることになるという奇跡のストーリーがそこには存在する。
そこまで大きくなくてもいいような気もするけども。
婚約破棄する、相手に報復する、新しい自分の人生の生き方を決める、新しい男性が現れるもしくは次の人生を手助けしてくれる便利なアイテムが現れる。
第二のトラブルが発生する(これはそんなに大きなトラブルでなくてもいい村とか一つの街とかそれぐらい困る程度のトラブルでいい)それを解決する。
最初に出た大きなトラブルの元婚約者がちょっかいをかけてくるなどの事柄も必要かもしれない。
そして彼女は第二の相手と幸せを手にするのが、ゆったりとしてよい流れではないかなーと思ったりする。
またざまあもやり過ぎは良くない。
婚約破棄したから、毒殺、焼殺、惨殺、撲殺。
いろいろなバリエーションはあるけれど、殺しは良くない。
そんなところにカタルシスを感じるのは、その時点での感触は良いが、あとからの読後感に欠ける。
それもざまあ報復系の欠点であると思われる。