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生涯の毒  作者: さざなみ
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~POISON LIFETIME~

「本当に可愛くないからそんな風に言う訳ないじゃない。」

朝起きるといつもその言葉を思い出す。

もう10年以上も前の話だ。母はそう言った。

私は四人家族の次女で、父と母、姉の四人家族だった。

幼いころから母は姉を可愛がり、父は私を可愛がってくれていた。

それは極普通の家族とは消して言えなかった。

うまくいかないことがあると父は姉にあたり、母は私にあたった。

父はとてもやさしい人だった、母も大切にしていた。

いつから狂ってしまったのだろうか、物事が壊れてしまうのは本当に簡単なことだ。

些細なことから崩れていく、幼い私にはその音は聞こえなかった。


いつからかうまくいかなくなった家計の仲を取り持つのはいつも私だった。

会話の無くなった夫婦、心を閉ざしてしまった姉。

できるだけ普通で居たかった。

父はそのうち他に女を作って出て行ってしまった。

いつも味方をしてくれていた父はもうそこには居なかった。

それからは母の祖父母と姉と暮らすようになった。

母は父と暮らしている頃から何度も私を殴り、

「お前なんていらない。産まなきゃよかった。」そう言って時には裸にし段ボールに入れて外に出した。

今の時代ではこれを「毒親」とでも言うのだろうか。


母の暴力は年々酷くなっていった。

いつまでも父を思う、父に似ている私が許せなかったからだ。

母を嫌いになったことは何度もあるが、子は母を捨てられない。

何度嫌いになっても何度もまた好きになるからだ。


今の母は本当の母ではない。

髪を引っ張り、殴り、蹴られてもその時に何度もそう思うのだ。

殴られれば殴られる程、生きていることを実感できるようにすらなり、痛みすら忘れていくようになった。

私が此処にいる意味を感じることができた。


痛みを忘れた私は、心の中ではいつも笑っていた。

母はその顔が腹が立つと何度も表情一つ変えない私に暴力を振るい続けた。

感情的になる母をいつも「可哀想な人。」と心の中で嘲笑っていたことを見透かされていたんだろう。







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