一章
出会い
春・それは出会いの季節でもある
真新しい制服を着て、はじめての学校の校門を潜る。
俺の名前は三神 遥斗
今日からこの私立 星徳学園の生徒になる。
「…勉強漬けな毎日にさよならだな、やっと苦労して入れたんだ。」
この私立 星徳学園は勉強に力を入れている所謂、エリートが通う学校といったところか中高一貫校でもあり
俺は高校からの進学になる、殆どは中学からの知り合いがいるだろうが俺は友達すらいない状況だ
…まぁ、別に友達なんてあとからでもいくらでも作れるだろ。
今は新しい教室に早く行かなくては。
自分のクラス表を確認し、教室に向かう
ドアの前で深呼吸をし恐る恐るドアを開いた
教室の中にはほとんど人が居て、もしかしたら
編入してきたのは俺以外いないのではないか?
というぐらいもうグループが出来上がっている
皆の視線が俺に集まる。そんなジロジロ見られると緊張してしまうじゃないか…
早く自分の席に座って大人しくしておこう
キョロキョロと辺りを見渡し、自分の席を探す
だが、自分の席にはもう誰かが座っているようだ
「…あの、そこ…俺の席みたいなんですけど…間違ってたりしませんか?」
誰だって間違えたりすることもあるだろうし
この人ももしかしたら俺と同じで編入してきたのかもしれない。
…けど、よく見たら制服が俺と違う。
星徳学園の制服はブレザーだ、けどこの人の制服は学ラン…何かの不手際で間に合わなかったのかもしれないし…なんて思いながらもなかなか退けてくれないその人に少し苛立ち、その人の肩を軽く触れた
「ッ…!」
肩に触れた瞬間ビクッと驚いた表情をする
やっぱり席を間違えてしまっただけなのか…
と思った瞬間にゆっくりと口を開いた
「……僕のこと見えるの?」
と、その人は俺の目を真っ直ぐ見つめながら言った。
…なんだ? そういう不思議ちゃんか何かか…?
でも教室中を見渡すと不思議そうに見られている方は俺の方だった。
…あれ?もしかして、俺が疲れてるだけで
見えてるのは幻みたいなやつ…?
「ご、ごめん…つい嬉しくなっちゃってさ…今すぐ退けるね!」
そわそわとしながら俺の席から離れるその人は
本当の幽霊だった
入学式も終わり、ホームルームも終わり自己紹介もやり終わった初日に話しかけられたのは
俺の周りをウロウロとする人。
「…そういえば、幽霊かなんかなの…?俺以外には見えていないみたいだし…」
教室には下校した生徒がほとんどで俺以外誰もいなくなっていた。
「そうそう!僕、ずっと前に死んで何十年もぶらぶらしていたんだよね…誰とも話せなかったからさ、君が僕の姿が見えたって分かってすごく嬉しかったんだ!」
と、俺とそこまでかわらない年齢層にみえる
少年(?)は俺の手をぎゅっと掴み、ニコッと嬉しそうに微笑んだ。
「自己紹介がまだだった!僕の名前は三ヶ嶋 優!好きな物は甘い物!嫌いな物は苦い物!よろしくね!因みに幽霊だから誰にも見えないよ」
やや早口混じりに俺に自己紹介をしてくるこの三ヶ嶋優という少年は幽霊らしい…
幽霊って本当にいたんだな…。
「えっと…三ヶ嶋、くんだっけ?…なんで俺は君のことが見えるんだ…?」
元々、霊感なんてものはないはずだし見えたことだって一度もない。…けど、目の前にいるこの三ヶ嶋優という少年は嬉しそうに再度口を開いた
「きっと、僕の願いを叶えてくれるんだろうね。キミは」
幽霊の願いってなんなんだ…?まさか体を差し出せとか…?いやいや、そんな心霊的なことあってたまるかよ…
「え、えっと…願い、とは…なんでしょうか…」
掴まれたままの手はひんやりとして冷たい
本当にこの少年は幽霊なのだと確信した。
「あのね、僕を殺した人を探して欲しいんだ」
春、それは出会いの季節。
俺は一人の幽霊と出会い、これから起こる様々な出来事に巻き込まれていくことになる。