表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アラフォー主婦の異世界転移~この年でありえない・・・  作者: Rapu
第四章 獣王国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/75

65  魔物の襲撃


 船に乗って5日目、朝早くシーダンの所に向かう。


「おはよう。シーダン、調子はどう?」

「ブルルルッ!!ヒヒーーン!ヒヒーーン!!」

「あれ?シーダン、どうしたの?」


 シーダンは、いつもと違って凄く興奮している……。急いで感知魔法を広げて確認する。


「ヒヒーーン!ブルルッ!」

「魔物ね!大きいのが近付いてきている!シーダン、教えてくれてありがとう!」

「ヒヒーーン!」


 飼育係の若い犬の獣人ジョンが、入って来た。


「珍しく、興奮しているなぁ~。シーダン、どうした?」

「あっ!ジョン、大変よ!魔物が、近付いて来ているみたい!」

「なんだって!それで、シーダンは興奮しているのか!?うわ~!こうしちゃあいられない!船長に知らせないと!」


 ジョンは、慌てて出て行った。


「シーダン、ここの柵は外しておくね。結界を掛けておくから、船が沈まない限り大丈夫だと思うけど、危なくなったら逃げてね」

「ブルルルッ」


 柵を外して、結界をかける。シーダンのリボンにも魔力を込める。


「じゃあ、シーダン後でね。外の様子を見て来るね」


 甲板に出て、感知魔法を確認する。後方から……、近付いて来る。魔物はクラーケンのようだけど、凄く大きい……。


「ミーチェ!魔物はどっちから来るか分かる?」


 ジョンが、数人の乗組員を連れて来た。


「ジョン!後ろから近付いて来ているよ。大きな魔物……」

「大きな魔物だって!クラーケンか!?」

「嬢ちゃん、どっちだ?」


 乗組員の獣人が騒ぐ中、魔物が来る方向を指さす。遠くに波打っているのが見える……。


「あれか!デカイな……。オレは、船長に報告してくる!」

「おう!頼む。まずいな、クラーケンみたいだ……」


 乗組員の一人が、急いで船内に入って行った。私を、嬢ちゃんと呼ぶ熊顔の大きな獣人さんが、乗組員を仕切ってテキパキと支持を出す。


 クラーケンって、<港街オース>のギルドの資料室で見たけど、ランクAの魔物だったはず。イカ?タコ?どっちだっけ……。


「嬢ちゃん、ここは戦闘になるから隠れていろ!教えてくれてありがとな!」

「ミーチェ、あっちに行こう。ここは危ない!」


 乗組員の獣人が、船の甲板に備え付けてある槍の様な武器を持って待ち構えている。私が邪魔になるのか、ジョンに船首の方へ連れて行かれた。


 すぐに、武器を持った獣人達がわらわらと甲板に出て来た。獣顔の獣人20程と、杖を持った人顔の獣人が数人。


 人顔の獣人は、魔力を持っているってジークが言っていたから、魔法が使えるのかな?杖を持っているし……。


 杖を持った乗組員達が、船縁近くで魔物を迎え撃つ為に並んでいる。槍を持った乗組員は、そのすぐ後ろに待機している。


「クラーケンだ!攻撃するぞー!!」

「「「「「「おおー!」」」」」」

「魔法撃てーー!!」

「「「「おおーー!!」」」」


 クラーケンが近付き触手を伸ばした時、乗組員達が一斉に魔法を放った。


 ドッカーン!バシャバシャ!ドッカーン!バシャ!


 クラーケンは、魔法にひるむ事なく触手を伸ばして船に取り付こうとする。その触手を槍を持った獣人達が攻撃するけど、あまり効いていないみたい……。クラーケンの頭が見えて、更に触手を伸ばしてくる。


「船に上げるなー!!頭が見えた!魔法は、目を狙えーー!!」

「「「「おおーー!!」」」」


 あぁ、クラーケンはイカなのね……。


 ドッカーン!バシャバシャ!ドッカーン!バシャ!


 ん~、攻撃が効いていない……。火力?魔力が少ない?攻撃力が低い?このままでは、船にダメージを受けそうよ……。


「大きいクラーケンだな……」


 本当に大きいね……。体長は触手の先まで入れると、この帆船と同じぐらいあるんじゃないかな……。


「ジョン、船は大丈夫かな?」

「ああ。ミーチェ、大丈夫だ。最悪、緊急ボートを出すから逃げられるよ」


 それは、大丈夫じゃないよね……。それに、ボートだとシーダンを乗せられないじゃない……。こういう時は、何でも知っている鑑定さんに聞くのが一番ね。


 鑑定さん!クラーケンを倒す魔法は、何が効果的かな?


【クラーケンは、水・風の属性を持っています。火・土魔法もしくは、氷魔法が効果的です】


 了解。鑑定さん、クラーケン倒すのを手伝ってね。


【分かりました】


「ジョン、船が壊れると困るから手伝って来るね」

「えっ!ミーチェ、危ないよ」

「大丈夫よ。私、魔法使いだから」


 ゆっくりしていたら、船が壊れてしまう。驚くジョンに、にっこり微笑んで、船首から甲板の中央に移動する。そして、クラーケンを狙って魔力を込める。


 鑑定さん!クラーケンの頭を狙って氷魔法を撃つわ!船に、傷が付かない角度の調整をお願い!力を貸して!


【ミーチェの意思を確認】


 みんなに聞こえる様に大声で叫ぶ。


「魔法を撃ちます!!気をつけてください!!」


 ヒューー、ドッカーン!!ヒュー、ドン、ドン、ドーン! 


 大きな氷の柱の様な塊と数本の氷の槍が、クラーケンの頭に突き刺さる。船の甲板に乗り上がっていた触手の動きが止まった……。


「「「おおお~!」」」

「やったか!?」

「「「すっげー!!」」」


 乗組員の獣人達が、歓声を上げる。


【クラーケンの討伐、終了しました】


 鑑定さん、ありがとう。助かったわ。


 仕切っていた熊の乗組員さんとジョンが近寄って来た。


「うっほー!嬢ちゃん、凄げえな!クラーケンが一撃だぜ!」

「ミーチェは、凄い魔法使いだったんだ!」


 そんな事より、聞きたい事があるの。


「はい…。あの~、クラーケンって食べられますか?」

「ああ、美味いぜ!」


 おぉ!美味しいんだ~。


「少し分けてもらってもいいですか?触手1本ほど……」

「もちろん!いいぜ。あのままだと危なかった!嬢ちゃんが、倒してくれて助かったぜ!魔石と触手の半分持って行っていいぞ~。船も無事だったし、ホント助かったぜ!ありがとな!」


 熊の乗組員さんが、気前よく魔石と触手の半分もくれると言った。良い人だ~。でも、バッグに余裕がないの。はぁ~、アイテムバックもっと大きくしておけば良かった……。


 乗組員の一人が、魔石を持ってきてくれた。大きいリンゴ位の魔石です。


「ありがとうございます。じゃぁ、魔石と触手を1本だけ貰っていきますね」

「1本でいいのか?遠慮しなくていいんだぞ!」

「はい、バッグに入らないので……」


 腰に付けているナイフで、クラーケンの触手を切った。付加魔法を付けたナイフなので、力を入れる事もなくキレイに切れた。切った触手をバッグに入れる。


「嬢ちゃん、そのナイフの切れ味抜群だな!それに、アイテムバックまで持っているのか!」


 ふと見上げると、みんなが見ている。大きな獣人さん達の視線が……、20人以上に囲まれると怖いね。心なしか、目がキラキラしている様に見えるけど……。


「ええっと、冒険者ですから……」


 早く、シーダンの所に行こう……。そこに、ルシーが現れた。


「ミーチェ、どうした?ん?クラーケンか……」

「あ!ル、部屋に戻りますね!」


 助かった~!ルシーの顔を見てホッとする。ペコリと頭を下げて、その場を後にした。


 あぁ、そうか……ジークが側にいるだけで、守られていたのね。


「ルシー、来てくれて助かりました。ありがとうございます」

「うん?何もしてないぞ?もう少し、早く来れば遊べたのに……、悔やまれる」


 ルシー……。



 







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ