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アラフォー主婦の異世界転移~この年でありえない・・・  作者: Rapu
第四章 獣王国

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63 獣王国の帆船 


 ジークが攫われた!どうすればいい?考えなきゃ……。


 まず、<港街オース>の警備兵がいる詰所を探して、急いで向かう。


「助けてください!仲間が攫われたんです!」

「何!?落ち着け、どうした?」


 40代ぐらいの警備兵さんが、話を聞いてくれた。


「今、港で<獣王国>の王女カミラと名乗る人が、私の仲間を薬で寝かせて連れ去ったんです!さっき出た船に乗せられているはず、助けたいんです!」

「何だと!獣人による誘拐は、たまにあるんだが……。う~ん、悪いが出港後だと、<獣王国>に陳情書を送る事しか出来んなぁ。必ず、<獣王国>に陳情書を送るから詳しく教えてくれ」


 そう言われて、さっき起こった出来事を詳しく話した。警備兵さんは、<王都>にも陳情書を送ってくれると約束してくれた。


 船が出る前なら何とか出来たのかな?でも、船は直ぐに出港してしまったし。他国の王族相手だと、何も出来なかったかも知れない。被害届を出せたと思えばいいのかな……。自分に折り合いをつけて、次は商業ギルドに向かう。


 商業ギルドに行き、1番早く出航する<獣王国>行の船を聞く。そして、馬を連れて行けるかも確認する。


「2日後の船になります。1番安い客室で、馬1頭の預かり代金を合わせて金貨17枚になります」


 2日後……、しかも、<獣王国>まで船で7日も掛かる……。値段が高いのか、安いのかさえ分からない。


「それでお願いします」


 言われるがまま代金を払い、チケットを貰う。


 次は何をすればいい?じっとしていられない……。市場と屋台に買い出しに行こう。シーダンの食事も準備しておかないと。食料を買い込んで、宿屋に戻る。


 厩舎へ向かい、シーダンに会いに行った。そして、シーダンを撫でながら話しかける。


「あのね、シーダン。ジークが、攫われたの……」

「ブルルルッ、ヒヒーーン!」


 突然、目の前からジークを攫われた……。


「シーダン、私の話が分からなくても聞いてね。それだけで、少し気が紛れるから……」


 涙がこぼれる……。


「ブルルッ」

「シーダン、<獣王国>までジークを助けに行くの…。シーダンも付いて来て欲しいの……」


 頭を撫でていると、シーダンが頭を擦り付けてくる。慰めてくれているのかな。優しい子ね、ありがとう……。


「シーダン、明後日の船に乗るからね……」

「ブルルッ」




 出発日の早朝、日が登る前から<獣王国>行の船の前でシーダンを連れて待っていた。映画に出て来る海賊船みたいな帆船だ……。シーダンを撫でながら、はやる気持ちを抑える。


 ジークが攫われてから、心配で眠れなくて、あれこれと考えてしまう……。早くジークを追いかけたくて、朝までじっと待っていられないから、夜中にシーダンを連れて宿を出た。


「シーダン、船の中は狭いけど我慢してね」

「ブルルッ」


 ジーク、待っていてね……。


 日が昇り、徐々に船の乗組員がやって来た。獣人ばかりだ。ジークを攫った獣人達のせいで、みんな悪い獣人に見えてしまう……。


 船に乗り、飼育係の若い犬の獣人にシーダンの手綱を預け、一緒に厩舎まで行く。毎日、シーダンの様子を見に行くつもりなので、厩舎の場所を覚える為だ。


「シーダン、明日来るからね。いい子にしていてね」

「ブルルッ」


 馬はシーダンだけの様なので、この若い犬の獣人さんが世話をしてくれるんだろう。彼にチップを渡し、シーダンをよろしくと頼む。人顔の獣人さんだ……。


「チップが金貨とは、お前の主は気前がいいな!」


 そう言って、飼育係の若い犬の獣人はシーダンを柵に入れた。私は、軽く頭を下げて客室に向かう。



 客室に入ると結界を張る。シーダンに会いに行く以外は部屋から出ない。周りは獣人ばかりなので警戒心が湧いてしまう。なるべく、関わりを持たない様にしよう……。


 ふう~。取り敢えず、ジークを追いかける事が出来た。それにしても、あの女獣人……。


『お前、可愛いわね。私の相手をしなさい』


 ジークに何の相手をしろと……?ムッ。


『可愛いのを見つけたから、連れていくわ。返してほしければ、<獣王国>の王宮まで取りに来なさい』


 連れて行くじゃなくて、攫うでしょう!薬を使ったら、どっちも誘拐で犯罪よ!取りに来いって、ジークは物じゃないのよ!ムムッ。


『私は、<獣王国>の王女カミラ。王宮まで来たら返してあげる。あれが、帰りたいって言ったらね。アハハ!』


 意地悪そうに、睨んでいた。王女だからって何よ!ジークは、帰るって言うに決まっているじゃない!思い出すと、段々と腹が立って来た……。ムッカー!


 いくら貞操観念のない恋愛の世界でも、薬を嗅がせて攫うって有り得ないでしょー!ムカツクー!





 ◆    ◆    ◆





 目が覚めると、知らない部屋だった……。ここはどこだ?


『ニャ~ン!ニャ~(ジークが起きた~!2日も寝ていたよ~)』

「ノアール……、ここは何処かな?」


 うぅ、頭がフラフラする……。


『ニャ~ン!(ジークはさらわれて、船の中だよ~!)』


 そう言えば、何か薬を嗅がされた。ハッ!


「ノアール、ミーチェは!?」

『ニャ~。ニャオ~ン(ミーチェが、僕を呼んだの~。ジークがさらわれたから、探して守って欲しいって~。ミーチェは、追いかけて来るよ~)』


 ミーチェは追いかけて来るのか……。誰と?


「えっ、ミーチェは1人じゃないか!ノアール!ミーチェの所に戻ってくれないか?」

『ニャ~。ミャ~オ!(海の上はダメなの~。ミーチェが危なくなったら、主が助けるよ~!)』

「ルシーが?そうなのか?」

『ニャ、ニャ~ン(あ、誰か来るから隠れるね~)』


 ノアールは、僕の影に入って消えた。凄いな、ノアール。



 扉がいきなり開いた。入ってきたのは、あの時絡んで来た獣人達だ。女の獣人と護衛らしき二人の獣人。


「目が覚めたようね。私は<獣王国>の王女カミラ。時間が無かったから、連れて来たの。お前、私の相手をしなさい。可愛がってあげる。フフフ」


 虎の獣人か……。王女?


「断る」

「なんですって!?私の言う事が聞けないの?」


 身勝手な……。


「僕は、<獣王国>の者ではないよ。<東の王国>にいたんだ、何故<()()()>の王女の命令を聞かないといけないんだい?」

「王女の私に口答えするなんて!可愛げのない人間ね!」

「お前!!カミラ様に向かって無礼だぞ!」


 護衛の一人、狼の獣人が声を荒げる。


「お前は、自分の立場が分かっていないようね!」


 もう一人の虎の獣人は、王女に意見する。


「カミラ様。他国の者を攫うのは不味いですよ。早く返さないと……」

「黙りなさい!私が良いと言うまで、返さないわ。そうね~、お前の連れが、王宮まで探しに来たら考えてもいいわ。アハハ!」


 僕を指差して、大笑いする。


 <獣王国>の王族は、この程度なのか……。







評価して頂いた皆様、ブクマして頂いている皆様、ありがとうございます。

第4章は、少しストレスを感じる(自分で書いて・読み直して)ので、ほのぼのキーワードを外しました。早めに投稿します。



・大まかな獣王国のマップです。■=街・港街



ΨΨΨ森Ψ             Ψ森ΨΨΨ

 ΨΨΨ森Ψ   【魔の森】  Ψ森Ψ【東の王国】

山  ΨΨΨ森ΨΨΨΨΨΨΨΨΨ森ΨΨ 山 

 山  ΨΨΨ       ΨΨΨΨ 山ΨΨ山 

山 山 ■           ΨΨ山 ΨΨ ■

 山 ΨΨΨ   【獣王都】   山ΨΨ【オース】

山 Ψ森ΨΨ     ■      ΨΨ森Ψ

Ψ  ΨΨ               ΨΨ海~

ΨΨ        ΨΨΨΨ 【イースルー】海~

森ΨΨ      ΨΨΨΨΨΨ   ■海~~     

ΨΨΨ  ■  ΨΨΨ森ΨΨΨΨ 海海~~

Ψ海~海~海~海ΨΨΨΨΨΨ海~海~




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