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61 ミサンガ   


 翌朝、出来上がったミサンガをジークの両手に付けた。


「ジーク、このミサンガはね、弱体耐性を付けたから『魅了』を弾くはずよ。ミサンガは切れてしまうから両手につけるけど、切れたらすぐに教えてね」


 私の魔力をいっぱい込めたから、ラミアの『魅了』なんて弾くはず!ただ、ジャイアントスパイダーの糸って、どれぐらいの耐久力があるか分からないので両手に付ける。予備もたくさん作ったよ。


「ミーチェ、ありがとう。嬉しいよ」


 ジークは嬉しそうにミサンガを見ている。


「はっ!私も付けないと……」


 私が『魅了』を掛けられて、ジークに魔法を撃つ羽目になったら、目も当てられない。


「ミーチェ、お揃いだね。フフ」

「そうね~、ふふ」


 2人でゆっくり進む。ラミアが出てきても、1度も『魅了』にならずに倒せた。


「ミーチェ、これ凄いね。『魅了』にならないから、ラミアに突っ込んで行けるよ」

「良かった。ちゃんとミサンガが効いているのね。でもジーク、気をつけてね」


 ラミアが落とすアイテムで水の杖と言うがある。レアアイテムで、水魔法(+5%)と珍しくゴミじゃない使える武器なのです。ちなみに、ギルド売りで金貨10枚。


「ねぇ、ジーク。この水の杖、1つ貰ってもいいかな?」


 格好をつけて、魔術師っぽく握ってみる。


「フフ。水の杖?いいけど、ミーチェ何に使うの?」

「ナイフ以外に武器が欲しくて。何かに使うかもしれないしね」


 ゆくゆくは、この杖に付加魔法を付けて全属性の杖を作るかも?使わないかな……。


 

 29階でノアールが来たので、お昼にする。ふふ、ノアールがお昼の合図になっています。食後は30階のワープを目指して進んだ。


『ニャ~、ニャ~ン(ジークは、『魅了』に掛からなくなったね~)』

「ああ。ミーチェが、耐性の付いたミサンガを作ってくれたんだよ」


 ふふ。そうよ、エロラミアの好きにはさせないわ!


『ニャオ~ン(ミーチェ凄いね~、バッチーンがないね~)』

「ノアール、それは何だい?」

「ノアール……」


 私は、ニコニコしながら心の中で、言わないで!と念じる……。


 ノアールは、私の目を見て頭を傾げながら言った。


『ニャ~ン?(う~ん、秘密~?)』


 ノアール良い子ね。今度プリンを作ってあげるね。



 それから、まもなく30階のワープクリスタルに到着した。今日は、このまま野営する事にする。


「最近、海鮮が多かったから、今日は上質肉のステーキにしたよ。みんな頑張ったから、たくさん食べてね~」

「ミーチェ、今日も美味しいよ。もぐもぐ……」

『ニャ~ン!ゴロゴロ……(美味しいよ~!ゴロゴロ……)』


 今日も目がキラキラしている2人、可愛いね~。


「ミーチェ。30階のボス戦は止めておこうと思う。また、実が出たら、あの職員に絡まれそうだしね」

「確かに、もし30階のボスで実が出たらギルドに売りにくいね…。じゃぁ、ダンジョンを出て、港街オースに戻る?」

「そうしようか。あの2人も、もう街にいないだろうし、ゆっくり出来るね」


 あぁ、あの2人の事すっかり忘れていた……。カニ身と宝箱に夢中だったよ。


『ニャ~ン(ダンジョンは終わりなんだね~)』

「ノアール、狩りを手伝ってくれてありがとね」


 お礼にと、ノアールをいっぱい撫でる。自分がそうしたいだけだけど。ふふふ。


「ノアール、明日ダンジョンを出てミーチェと<港街オース>に戻るよ」

『ニャ~ン!(分かった~、明日ね~!)』


 ノアールは、ルシーの所に帰って行った。


 ジークが近寄って来て、ニコニコしながら言う。


「ねえ、ミーチェ。僕もノアールみたいに、いっぱい撫でていいよ」

「ええっ!ジークは猫じゃないよ……」


 ジーク、私がお礼にかこつけて、ノアールをいっぱい撫でていたのを見ていたのね。


 ジークが諦めないので、ソファーで膝枕をして頭を撫でてあげた。嬉しそうなジーク。くっ、可愛いじゃないか……。



 翌日、ギルドで換金してもらった。25~30階の魔物は、換金率も高くて、金貨300枚にもなった。


「ラミアの魔石がこんなにも……。ジークさんが、ランクCっておかしいですよね……」


 買取りカウンターで、いつもの若い職員さんが言う。30階のボス戦をしなくて良かった。


「まだ、申請書を出していない。2人パーティーで、指名依頼されるのも困るしね」

「はぁ~。ジークさん、すでに資格はあるんですね……。2人パーティーだと、無理に言われる事はないと思いますよ。断っても問題ないですし」

「そうか。今から<港街オース>に向かうから、時間があれば申請書を出すよ」

「時間があれば、ですか……。ジークさん、今から手続きをしますので、ここにサインだけ下さい。後はこちらで処理をしますので」


 若い職員さんは、申請書を出してジークにサインさせた。ほぼ、強制だよね。


「ジーク……」


 ジークは、心配している私を見て微笑む。


「ミーチェ、大丈夫だよ」


 そっか、セバスさんに見つかったから、ランクが上がっても大丈夫なのね。


 買取りカウンターの職員さんが、手早く手続きをする。青銅のプレートだったジークのギルドカードが、シルバーに変わった。


「ジークさん、ランクBに昇級おめでとうございます。こちらが、ランクBのギルドカードです」

「ああ」


 ジークは、素っ気なく答える。すると、若い職員さんが、


「普通、みなさん喜ぶんですけどね……」


 しかたないよ、ジークは、ランクアップなんて興味がないんだと思う。でも、おめでたい事だからね!


「わぁ~!シルバーのギルドカード。ジークにピッタリね!ジーク、ランクBに昇級おめでとう~!」

「ありがとう。ミーチェに、おめでとうって言われたら嬉しいよ。フフ」


 ジークは嬉しそうに微笑む。ジークに、何かお祝いを考えないとね~。



 ギルドを出て、シーダンを迎えに行き、のんびり<港街オース>へ向かう。その途中でお昼を取る為に、街道から離れて休憩を取る。


「ねね、ジーク。ランクBに上がったお祝いに、ジークのアイテムバックを拡張しようと思うんだけど、良いかな?」

「ええ!ミーチェは、そんな事も出来るの?もちろん、良いよ」

「たぶん出来ると思う。じゃぁ、ジークのアイテムバックを貸してみて~」


 ジークのバッグを受け取り、魔力を込める。そして、失敗しない様に心の中で強く思う。ジークのアイテムバック(中)を、(大)位に拡張したいと……。


 しばらくすると、魔力の流れが止まった。


「ジーク出来たよ。どうぞ~、鑑定してみてね。ふふ」

「ありがとう、ミーチェ。どれどれ……!」


 優しく微笑んでいた、ジークの顔が固まった。あれ?失敗している?


「ミーチェ、これアイテムバック(大)より大きいよ。馬車15台分入るし……、しかも時間停止も付いているよ……」

「良かった。ジークが変な顔するから、失敗したかと思ったじゃない~。思ったより少し大きくなっているけど、問題ないよね?」


「うん、問題はないよ……。ミーチェ、ありがとう。大事に使うよ」


 ジークはそう言って、私の頬にキスをしてくれた。


「うん。ふふふ」




 




誤字報告ありがとうございます。

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