表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/75

36★見た目


 ルシーにお願いして、ジークの所に連れて行ってもらう事になった。抱っこされたままです……。


「ルシー、下ろしてください。歩けますから」


「さっき、へたり込んでいたようだが?」


「うっ、お手数をおかけします……」


 壁の文字を通り過ぎて、そのまま行くと、魔法陣が現れた。反対に進んだのね……。


「ミーチェ、そのパーティーメンバーが、残っていればいいな」


「ふふ、心配してくれるんですか?いなかったら、帰還石でダンジョンから出るので、問題ないんですよ?」


 ルシーの顔が、近い!見慣れない美形は毒ですよ……。イケメンジークには、最近やっと慣れてきたけど……。


「ルシーは、この後どうされるんですか?」


「そうだな。しばらくは、<魔の森>でゆっくりする」


「ルシーは、<魔の森>に住んでいたんですね。ふふ。私は<魔の森>で生まれる様に、転移して来たそうです。あ、私が迷い人って事は、秘密にしています。知っているのは、私を拾ってくれた人だけなんですよ」


 私は、にっこり微笑む。


 ルシーが、そうかと言い、私を抱っこしたまま魔法陣に入った。そして、光に包まれ、眩しくて目を閉じる。フワッと、浮く感じがして目を開けると、そこにはジークが立ち尽くしていた……。


 ジーク……。


「ル……、ありがとうございます。下ろしてください」


 ルシーに下ろしてもらい、ジークに近寄った。ジークは、突然現れた私達に戸惑っている。


「ジーク?」


 目が腫れている……、泣いていたのかな?ごめんね、心配させて。


「ミーチェ……?ミーチェなのか!?」


 ジークは、目を見開き、走り寄ってきて私を抱きしめる。ふえ~、苦しい……。ジーク、ちょっと力を緩めて……。


「ミーチェ!小さくなってる?何故、どうしたの?」


「ジーク、ちょっ、放して……。く、苦しい……」


「あっ、ごめん……」


 ジークが、腕の力を緩めてくれた。なんか、ジークの反応が……、キョリ感が、おかしい?


 ルシーが、呆れたように見ている。


「ミーチェ、私は行くぞ。また、助けが欲しければ呼ぶがいい」


「あっ!はい、ありがとうございます。助かりました」


 ルシーは優しく微笑んで、霧になって消えた。凄いね、消えたよ。


「ミーチェ。どういう事なのか、話して欲しいんだけど……。彼は、誰かな?ねえ、ミーチェ?」


 うん、ルシーの事は、ジークにだけ話す。封印を解いたって言ったら、怒られるかな?


「うん。ジークに相談したいんだけど、ここだとマズイの。起動しないと思うけど、さっきの魔法陣が動くと困るから。でも、この姿だと、ダンジョンを出た時、知ってる人に見られたら……、どう言えばいいか……」


 帰還石を使って1階に飛び、ワープで5階に飛ぶ事にした。そして、小部屋に入って、魔除け石と結界石を置きテントを張った。


 テントに入った途端に、ジークに優しく抱きしめられた。あれ?やっぱり、何だかおかしい?


「え?ジーク?」

 

「ミーチェ、ごめんね。やっと、記憶が戻った」


 ええっ!記憶が?ジーク、嬉しい~!


「えっ!記憶が戻ったの?良かった~。ではジーク、質問です」


「うん?」


「私たちが、初めて出会った所は、どこでしょうか?」


「フフ、<魔の森>だよ。ミーチェは、0歳だったね」


 ジークが、愛おしそうに見つめる。


「嬉しい~!!ジークが、戻った!」


 だめだ……。嬉しくて、涙が出て来る……。そんな私を見て、ジークは抱きしめる。


 ぐふっ、苦しい……。ジーク、潰れちゃう……。力を緩めて……。ぐすっ。


「そうだ、ジークに報告?話があるの。でも、すっごくお腹が空いていて……、食べながらでもいい?」


 ジークが、愛おしそうに微笑んで、涙を拭いてくれる……。


「ああ、いいよ」


 ソファーに座り、バッグに入っている料理を並べる。食べながら、光って飛ばされた後の事を話した。


 洞窟に飛ばされた事。壁に迷い人のメッセージがあった事。黒猫に付いて行った事。封印の間で魔人に出会った事。彼は1,000年も一人ぼっちだった事。鑑定さんに手伝ってもらって、封印を解除した事。契約した事。迷い人ってバレた事。子どもになっていた事。魔力が無い事。ジークに会いたいから、連れて来てもらった事。


「そうか……、アイツは、封印されていた魔人なのか……。鑑定に手伝って……」


 ジークは、つぶやいていた。


「そうなの。ジーク、封印を解いた事怒ってる?」


「いや、怒ってないよ。それよりミーチェ、大丈夫だった?魔人に何かされてない?」


 うぅ、契約のキスの事は言えない……。


「大丈夫よ、優しい魔人さんだったよ。そうだ!ジーク、またステータスが、おかしいのよ!」


「ミーチェ、興奮しないで。おいで……」


 ジークは、そう言って私を膝の上に乗せる。……えっ?


「ジーク、なぜ膝に乗せるの?」


 ジークは、どこかに消えない様にと言う……。あぁ、ごめんね……。あっちに帰ったと、思った?だから、泣いていたの?目が腫れている……。


 ジークに、ステータスを見せる。


 名前   ミーチェ

 年齢   10歳

 HP/MP 108/ 10(80)

 攻撃力   67

 防御力   63

 速度    90

 知力   155

 幸運    96

 スキル

   ・鑑定S ・料理A ・生活魔法 ・空間魔法S

   ・火魔法A ・土魔法A ・風魔法A ・水魔法A

   ・光魔法S ・闇魔法A ・無属性魔法S 

   ・雷魔法A ・氷魔法A ・聖属性魔法S 

   ・短剣D  ・回復魔法A ・時空間魔法S


「これは……、初めて会った時の0歳もビックリしたけど、これも凄いね。(80)ってなんだろうね。スキルSになってるのもあるし、う~ん、HPが5じゃないだけマシって考えようか……」


 ジークがいて良かった。相談できる人がいるって、心強いです。


「そうね、HP5に比べたらマシだよね。ねぇ、ジーク。子どもになったこの姿をどうしよう?」


 ステータスは隠せるけど、この姿はね~。


「そうだね……。ミーチェ、その姿は隠せないから、呪いを受けた事にしようか」


「えっ!呪い?」


「うん。呪いって、色んなのがあるからね、魔導士や魔術師、特有の呪いだってある。だから、魔物に呪いで魔力を盗られて、子どもになった事にしようか。その姿は隠せないしね」


「うん、この姿は隠せないよね……。服も買わなきゃ……」


 なるほど~、ジークがいて良かった……。


「鑑定が身体の魔素を使って、と言ったんだね。じゃぁ、また魔物を倒して、干し肉を食べたら戻りそうだね。フフ」


「ジーク!私も、そうかなって思っていたのよ。この呪いは、その内に戻るって事にした方がいいのかな?」


「そうだね。ミーチェは今まで通り、余り喋らなくていいよ。ところで、ミーチェの10歳って、凄く可愛いね~、こっち向いて、顔をよく見せてよ……」


 ジークがフードを取って、まじまじと見てきた。うぅ、近い……、恥ずかしい。


「そ、そんな事ないから、あんまり見ないで~!恥ずかしい!もう、今日は疲れたから寝ます。おやすみ、ジーク」


 ジーク、記憶が戻った途端に密着し過ぎ……。ドキドキし過ぎて苦しいです。 


「ミーチェ、僕も今日から、一緒に寝るからね。そういえば、どうして、一緒に寝てるって言わなかったの?」


 ジークは、にっこり笑って、頭にキスをした。


 そんなの……、


 恥ずかしいからに決まってるじゃない……。


 






誤字報告ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ