2 おかしいステータス
「えええ!なんで0歳?しかも名前ミーチェになってるし……」
「ね、おかしいでしょ?」
「こっちの世界に産まれなおしたって事なのかな?はっ!産まれたてでジークに言いやすい様にって……、ジークが名付け親?もしかして、私ジークにテイムされたの?それとも、ジークの子どもの位置づけ?」
えぇ~~、それは、どうなのよ……、ありなの?いや~、ないでしょ、私アラフォー主婦なんですけど……。
「あはは。ミーチェが好きに呼んでって、言ったからかな?ミーチェは人間じゃないの?僕の召喚獣になった?でも僕、召喚スキル持っていないよ、子どもかぁ……」
「私、人間ですよ。HP5とか、すぐ死にそうなんですけど……」
ジークは笑っていた顔が真面目になり、私の顔を見て言った。
「ねぇ、ミーチェのステータス見せてほしいんだけど。僕の鑑定じゃ全部見えないから、本当は誰にも見せない方がいいんだけど。いいかな?」
「いいですよ。教えてもらわないと解らないし、どうぞ」
ジークは、近寄って私のステータスを覗き込む。
「ほんとHP5って……、生まれたての赤ちゃんのステータスだね。名前の横のカッコの文字は読めないなぁ」
「あぁ、その文字は、私がいた世界の文字です。こ、このHPって……、こけるだけで終わりですよね……?」
このHPって、迂闊に歩き回れないよね……。この世界の基準がわからないから判断に困るけど。
「ありえるね。そのHPは問題だね。え?幸運94って凄いね。僕も幸運いい方だけど、聞いたことない数字だよ」
やっぱり問題なんだ。ん?幸運?
「幸運94って運がいいって事かしら?でも運がいいなら、今のこの状況になってないと思うんですが……」
スープを飲み終わって干し肉を齧りながら画面を見ていたら、いきなり画面が新しく切り替わった。
名前 ミーチェ(東山美智代)
年齢 1歳
HP/MP 10/10
攻撃力 2
防御力 6
速度 2
知力 55
幸運 94
スキル・鑑定A ・料理A 生活魔法
「えっ、ジーク!いきなり1歳になりましたよ……」
「え?ほんとだ何故だろう?ステータスも上がってるし、鑑定スキルもランクアップしてるね」
「う~~ん、どういう仕組みかな?」
画面の年齢の部分を指で触ってみると、説明書きの様な小窓が開いた。
【体内の魔素が少ない為、表記年齢のステータスしか獲得できない。このまま魔素が足りない場合、肉体も維持できず徐々に表記年齢になっていく。精神も表記年齢に近づく。
魔素の獲得方法
・魔物を倒し、魔物の魔素を得る。
・食べ物から魔素を得る。
・魔素を持つ人等と交わる。
・呼吸する事で大気中の魔素を得る。(少量) 】
う~ん、魔物狩りと食事を頑張ろうかな。3つ目はなしの方向で、主婦だしね。
「この説明って……、ジーク見えてる?」
「うん。この説明だと魔素を獲得しないと、徐々に若返って赤ちゃんになるってことかな?」
うわぁ~、のんびり出来ないね。大人でも生きていくの大変そうなのに、保護者のいない子どもとか、赤ちゃんって……、無理でしょ。
「ですよね。ん~、かなり困る事になってしまう……。精神もって……。とりあえず、ジーク!お願い干し肉をください!あと、魔物の狩り方を教えて欲しいです。お願いします」
精神も年齢に近づくって、思考も子どもになって行くって事?記憶は無くならないよね?ねぇ……?
「うん。赤ちゃんになったら困るよね。はい、お願いされます。とりあえず、干し肉食べながらスライム狩りかな。ナイフはこれ使って」
スライムいるんだ……。
ジークは人懐っこい笑みを浮かべて、腰に下げていたナイフを渡してくれた。ジーク!ありがとう。
それにしても、ジーク。その風貌で人懐っこいって、反則ですよ……。
ナイフを借りてスライムの狩り方、魔石の取り方を教えてもらった。スライムはまだいいけど、ウサギとか、動物の解体はキツイ。日本では、魚も切り身しか買った事ないですよ……。
ジーク曰く、魔物を狩るなら冒険者ギルドに登録した方がいいらしい。登録は12歳から、誰でも出来るから都合がいいそうです。
・アイテムを買い取ってもらえる。
・ギルドカードが身分証明になる。
・いろんな情報が得られる。
迷い人の私には、身分証が必要だもんね。異世界ものの小説でも、みんな冒険者登録してるしね。
あ、その辺の小説は読んでますよ。若い頃は、某有名ゲーム、ド〇〇〇とか、〇から始まるファンタジーとかね。
という事で、ギルド登録する為に街まで連れて行ってくれる事になりました。お願いされたからと……、ジークいい人だぁ。